ヨシノパワーの固体電池ポータブル電源「Yoshino B300 SST」を試す リビングに置いても違和感のないデザインに注目(3/3 ページ)
「固体電池採用」を特徴に、日本市場にポータブル電源を投入したヨシノパワージャパン。その実力はいかほどのものか、エントリークラスの「B300 SST」を試してみた。
実際の使い勝手をチェック
せっかくの機会なので、USB Type-C端子回りを中心にB3300 SSTの使い勝手をチェックしていこう。
スペック紹介でも触れたが、USB Type-C端子は2つ用意されており、片方はUSB PDに、もう片方はQuick Charge 3.0に対応している。
USB PDに対応する端子は、スペック通り100WのUSB PDの出力に対応している他、3.3〜21V/5AのPPS(Programmable Power Supply)給電にも対応している。PPSに対応するスマートフォンやタブレットでは、急速充電時にきめ細かい制御を行える。このポートは、Quick Charge 2.0/3.0準拠の急速充電や、Appleデバイス(iPhone/iPad)における5V/2.4A急速充電にも利用できる。
先述の通り、本機はUSB PD対応のACアダプター、付属のACアダプター、自動車のアクセサリーソケット、太陽光発電パネル(XT60端子)のいずれかで充電ができる。ACアダプター/太陽光発電パネルでは最大100W、USB PDでは最大60Wの電源入力が可能で、100W入力時は最短2時間で満充電にできる。
バッテリーの充電状況は、本体正面のディスプレイの他、Yoshinoアプリでも確認できる。本機の電波ボタンを長押しして「接続待機モード」にしたら、アプリから接続設定を行うだけと設定はシンプルだ。以降、何度も接続設定をし直す必要なく、本機の状況をモニタリングできる。
充電中であれば入力電力のワット数と充電完了までの時間を、出力中であればポートの電源供給のオン/オフを簡単に制御可能だ。電池の温度や残り容量も視覚的に確認できるので、便利に感じる。
なお、ヨシノパワーのポータブル電源を複数台持っている場合は、まとめて管理することもできる
このUSB Type-C端子から手持ちのノートPCに充電してみると、ある程度充電された状態ということもあり、本機のメーター読みで「49W」で給電され始めた。USB PD対応のノートPCなら、ケーブルさえあれば別途ACアダプター用意せずにすむので、これはこれでよい。
「災害時の備え」という意味では、前面に付いているLEDライトも便利だった。ボタンを押せばすぐに点灯する上、“超大容量”のバッテリーで明かりを長時間保てるのは心強い。明かりをつけ続けられるのは心強い存在となる。
具体的なスペックは公称されていないものの、このライトは思った以上に輝度が高い。実際に自宅のベランダで夕方にテーブルとイスを出して食事をした際に利用をしてみたが、低い場所に置いたとしても足元全体を照らしてくれた。
それくらい明るいため、アウトドアの際の明かりとしてはもちろん、停電時といった緊急時の際にも十分な明るさを確保してくれるだろう。
公称ベースとなるが、B300は内蔵LEDライトは最長約19時間、ポータブルクーラー(25W)であれば最長約8時間、ミニ冷蔵庫(35W)は最長6時間、液晶TV(100W)でも最長約2時間稼働できる。消費電力の大きい調理家電の動作には不向きだが、情報収集に使う各種デバイスを稼働するためのポータブル電源としては十分だろう。
本機にはファンが内蔵されており、充電中や給電中に動作することがある。特に充電中は、ファンの音が大きくなるのだが、騒がしい感じはしない。自宅で運用しているDCモーターのサーキュレーターの「中速」程度の音だ。充電はリビングで行っていたのだが、TVの音が流れていると全く気にならないレベルだ。
固体電池で安心かつ長期間使えるポータブル電源 アウトドアにも停電対策にも
ヨシノパワーのB300 SSTは、コンパクトで安心して使える高寿命/高耐久性を備えるポータブル電源だ。消費電力の大きい家電を動かすには不向きではあるものの、PCやスマホの充電、扇風機やポータブル冷蔵庫の稼働くらいであれば十分に実用できるので、短期間のキャンプ、あるいは停電時の備えとして1台用意しておくのもよいだろう。
「もうちょっと出力の大きい家電を使いたい」「より長時間の稼働に対応するものがいい」という場合は、より大容量の選択肢も用意されている。アウトドア、あるいは停電時の備えとして、どのくらいの“能力”が必要なのか検討してみるとよいだろう。
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