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ヨシノパワーの固体電池ポータブル電源「Yoshino B300 SST」を試す リビングに置いても違和感のないデザインに注目(2/3 ページ)

「固体電池採用」を特徴に、日本市場にポータブル電源を投入したヨシノパワージャパン。その実力はいかほどのものか、エントリークラスの「B300 SST」を試してみた。

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固体電池採用のメリットは「長寿命」と「軽量化」

 先に掲載したインタビュー記事でも触れているが、本製品が採用する固体電池は電気自動車(EV)での利用を想定して開発が進められている。世界中の主要な自動車メーカーはもちろん、電池メーカーも開発にしのぎを削る……のだが、現状のポータブル電源で使われることの多いリチウムイオン(リチウムポリマー)電池と比べて、何がメリットなのだろうか? 一部にインタビュー記事と重複する部分もあるが、確認していこう。

固体電池
Yoshino Technologyの兄弟会社が製造している固体電池

メリット1:電池(バッテリー)モジュールの形状の制約が少なくなる

 固体電池は、電解質を固体としているので、原理的にいわゆる「液漏れ」が起こらない。そのため、電池(バッテリー)モジュールの形状や構造に対する制約が少なくなる

 例えば、汎用(はんよう)性に目をつぶれば「機器の形状にフィットした電池モジュール」も作れる。また、モジュールの薄型/小型化と大型化のどちらもしやすくなるので、今までよりも広いニーズに応えやすくなる。

メリット2:安全性が高く、劣化しにくい

 電解質を固体とすることは、電池モジュールの安全性向上にもメリットをもたらす。

 現状のバッテリーモジュールで起こりうる液漏れは、内部部品の腐食を進める原因になるだけでなく、蒸発(気化)が進むとモジュールの膨張や破裂につながる恐れがある。リチウムイオンバッテリーの場合、漏れた液体に引火する可能性も否定できない。

 繰り返しだが、固体電池は電解質が固体なので、液漏れによる各種トラブルを抑制できる。また、化学的安定度も高いため、極端な高温/低温環境でも性能が低下しにくく、長期間安定して使いやすいというメリットもある。

 今回レビューするB300 SSTの場合、稼働時の動作温度(気温)の範囲が−10〜60度の範囲となっている。リチウムイオン電池を利用する他社製品の場合、これが0〜40度の範囲となることが多く、特に高温環境での利用性能が高くなっている。夏場のキャンプ場など、暑い場所であっても安心して利用できるのはポイントが高い。

保管しやすい
本製品の利用温度/湿度を見てみると、リチウムイオン(ポリマー)電池を利用している他社製品よりも特に“上限”側が広く取られている

メリット3:電池自体の性能を高めやすい

 固体電池はエネルギー密度、つまり質量または体積あたりの蓄電容量を高めやすいというメリットもある。リチウムイオン電池よりも小型/軽量で、かつ蓄電容量が大きいというメリットは何事にも代えがたい。温度の変化にも強いため、急速充電のスピードも高めやすい

 エントリーモデルということもあってか、B300 SSTは同容量帯の他社製品と比べて特別に軽量ということもなく、重量面での変わりはほとんどない。しかし、フラグシップモデルの「B3300 SST」(定格容量2611Wh)は、同容量帯で40kgを超える製品がある中で、重量はわずか約25kgとなっている。大容量モデルほど、この差は大きくなるものと思われる。

B3300SST
フラグシップモデルの「Yoshino Power B3300 SST」は、定格容量2611Whとかなりの大容量だが、重量は約25kgと同等容量のポータブル電源と比べて軽い

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