ヨシノパワーの固体電池ポータブル電源「Yoshino B300 SST」を試す リビングに置いても違和感のないデザインに注目(1/3 ページ)
「固体電池採用」を特徴に、日本市場にポータブル電源を投入したヨシノパワージャパン。その実力はいかほどのものか、エントリークラスの「B300 SST」を試してみた。
地震や大雨、台風――日本は自然災害の多い国だ。その備えの1つとして、大容量のバッテリーを備える「ポータブル電源」に注目が集まっている。ポータブル電源は、キャンプをはじめとするアウトドア活動を充実させる意味でも人気の商品となっており、規模の大きな家電量販店では、ポータブル電源コーナーが設置されるほどだ。
これだけ盛り上がりを見せているだけあって、ポータブル電源に参入するメーカーも多く、選択肢も豊富だ。購入を検討する人から「どれを選べばいいのか悩ましい」という話を聞くことも珍しくない。
そんな中、従来は採用例がほぼ皆無だった「固体電池」を使ったポータブル電源を武器に、2023年末に日本参入を果たしたのがヨシノパワージャパンだ。
今回、同社からポータブル電源のエントリーモデル「YOSHINO POWER B300 SST」(実売価格5万円弱)をお借りして、その実力をチェックしてみた。
丸みを帯びたデザイン×カラーリングの妙でリビングにもなじむ
先述の通り、B300 SSTはヨシノパワージャパンが販売するポータブル電源としてはエントリーモデルで、内蔵バッテリーの定格容量は241Whとなる。バッテリーモジュールは同社の親会社「Yoshino Technology」(米カリフォルニア州)の兄弟会社が製図した固体電池で、上位モデルと共通のものを使っている(品質に差はない)。
肝心の出力スペックだが、定格値でAC(交流)出力が最大300W、USBポートを含むDC(直流)出力と合せて最大600Wとなる。上位モデルと比べると、AC出力はそれほど大きくないため、電子レンジや電気ケトルといった消費電力の大きい家電の稼働には向いていない。充電サイクル数(※1)は約4000回で、重量は約4.5kgとなる。
用途や利用環境次第な面はあるものの、充電サイクル数は比較的長めに確保されているので、非常用電源としては比較的長期間使えるようになっている。
(※1)定格容量の80%を維持できるバッテリーの充放電回数(基本的に容量と同じだけの充放電をすると「1」とカウントされる)
B300 SSTは、ヨシノパワージャパンのポータブル電源としてはエントリーモデルとなる。モデル名の数字はAC出力の定格出力を示しているので、AC電源の出力性能を重視する人はこの数字を見て選ぶとよい。当然、出力性能が高い(≒固体電池の容量が大きい)ほど値段は上がることになる
スペックに関しての前置きが長くなってしまったが、B300本体のデザインや備えるポート類について確認していこう。
ポータブル電源というと、四角形のまさに“バッテリー”という形状に、黒色や灰色をあしらったゴツゴツとしたデザインが思い浮かぶ。
しかし、ヨシノパワーの製品はひと味違う。全体的に丸みを帯びたデザインで、メインパネルには黄緑色をあしらっているのだ。このデザインは、米国の工業デザイン事務所「FuseProject(ヒューズプロジェクト)」が担当しているという。
実機を見ると思った以上におしゃれでありながら、いろいろな場所に違和感なく溶け込むので、リビングに常置していても問題ない。
コンパクトで持ち運びやすい スマホやPCの充電にぴったり
B330 SSTのボディーサイズは約25.5(幅)×15.6(高さ)×24.2(奥行き)cmと、ポータブル電源としてはコンパクトだ。重量は約4.5kgだが、ボディー上部に付いているキャリングハンドルを使って簡単に持ち運べる。
ハンドルの握り部分にはクッションも添えられているので、指への負担も軽減される。こういう心遣いは地味にありがたかったりする。
本体正面のメインパネルには、動作インジケーター(ディスプレイ)や各種電源出力端子の他、LEDライトも備わっている。緊急時はライトのスイッチをオンにすれば本体正面を明るく照らすことができる。
電源出力のポート類は以下の8系統を備えている。
- AC出力端子×2
- 100V/60Hz出力
- アースプラグ付きのAプラグ対応(日本で使われているプラグをそのまま利用可)
- 両ポート合計で最大300W出力可能(定格値)
- USB Standard-A端子×2
- どちらも5V/2.4A出力(最大12W)
- USB Type-C端子×2
- 1基はUSB PD(Power Delivery)対応で、20W/5A(最大100W)出力可能
- 本ポートは本機の充電にも利用可能(最大60W入力可能)
- 1基はQuick Charge 3.0対応で、12V/1.66Aまたは9V/2.22A(最大約20W)出力可能
- 1基はUSB PD(Power Delivery)対応で、20W/5A(最大100W)出力可能
- DC出力端子×2
- 12V出力
- 付属の変換ケーブルでシガーソケット(自動車用電源ソケット)に変換可能
- 両ポート合計で最大126W出力可能(定格値)
本機自身の充電は、USB PD対応のUSB Type-C端子の他、本体背面にあるDC入力端子およびXT60入力端子で行える。DC入力端子には、付属のACアダプターまたはシガーソケットケーブルを接続できる。
XT60入力端子は、外付け/移動式の太陽光発電パネルとの接続に使われる。別売とはなるが、XT60ケーブル(プラグ)に対応する太陽光発電パネルを用意すれば電源が全くない場所でも充電可能だ。
正面をよく見ると電波(Wi-Fi)アイコンのあるボタンが用意されている。これはスマートフォン用の「Yoshino」アプリとの接続用に用意されているもので、同アプリをインストールしたスマホでは電源の稼働状況をチェックしたり、動作設定を行ったりできる。
シンプルな付属品
本製品の付属品は、思ったよりもシンプルだ。取扱説明書や保証書の他には、先述のACアダプター、シガーソケット用の充電ケーブル、DC出力端子用のシガーソケット変換ケーブルと、XT60入力端子用のソーラーパネル接続ケーブル(「MC4」端子搭載パネルに対応)が付属している。
利用に必要なケーブルは一通りそろっているので、追加で購入せずとも充電すればすぐに運用を開始できることはありがたい。
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