ドコモが国立競技場やアリーナの運営に注力するワケ 「年間15日ほどは自社で興行できる規模」目指す(2/2 ページ)
全国で、スタジアム・アリーナなどの複合施設を中心とした街作りが進められている。この事業には複数の民間企業が参入しており、ドコモもその1社だ。なぜドコモは、スタジアム・アリーナ運営の取り組みを進めているのだろうか。
ドコモが目指す、コンテンツ重視のスタジアム・アリーナ施設運営
では、NTTドコモがこれらスタジアムやアリーナ施設の運営で具体的に何を目指しているのだろうか。
NTTドコモの櫻井稚子執行役員は「お客さまの心を動かすエンタテイメントを、リアルやオンラインを問わず、いつどこにいても最適な形で届けられることは、ドコモにとって重要な役割だと考えています」と語る。
スタジアム・アリーナ施設ではホスピタリティにも注力し、5GやIOWNなど最先端の通信環境を備えた、ファミリーで何時間でも滞在できるような環境を目指していく。
地域活性化でドコモが表にでる形ではないが、商業施設や雇用など経済の部分やDX化の面で貢献しつつ、dアカウントを通じて個々のニーズに応じた飲食店や交通機関、モビリティ、宿泊施設などの案内といった細かい部分に手が届くサービスを通じて地域を盛り上げたいとのことだ。
ドコモならではの特徴としては、自社で興行やコンテンツ制作に取り組んでいる点がある。また、吉本興業とのジョイントベンチャーであるNTTドコモ・スタジオ&ライブ通じて、映像制作、興行、アーティスト創出を行っている。「将来的には各アリーナで年間15日ぐらいは自社で興行できる規模を目指している」という。
2025年は通信とデータ、現実がつながった新しい体験に期待
通信事業者といえば、今ではスマートフォンや通信インフラが注目されがちだが、昔からビジネスはもちろん個人向けでも通信を用いた新しい生活スタイルを提案してきた。2025年通信事業者のビジネスでは、ドコモのスタジアム・アリーナ運営とそれに伴うスポーツやアーティストの公演の他、交通インフラやコンビニ、流通など新しい生活スタイルに関する発表や体験が増える年になりそうだ。
2020年代前半は、コロナ禍で急激に進んだ社会のデジタルシフトとスマートフォンを中心とした生活を、社会や個人が当たり前の物として受け止める期間だった。今後はさらにスマートフォンの利用を前提とした社会制度やインフラの整備、サービスの提供が広がることになる。
エンタテイメントに関しては、全ての人がスマートフォンを通じてどこでも効率よく楽しめる時代に入った一方で、現実空間のイベントがより注目を集めている。今後はスポーツや音楽だけでなく、新たな表現やコミュニケーションをもとにしたイベント企画をどれだけ増やせるかも重要だ。近年だとeスポーツやVtuberもリアルでの集客を増やしており、こういった興行の拡大と定着に関する動きもある。eスポーツに関しては以前からNTTグループも取り組んでおり、IOWN事業も含め相性はよさそうだ。ドコモを含め、2025年以降の各社の取り組みに注目したい。
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