“激安折りたたみスマホ”はなぜ生まれた? ZTEジャパンに聞く「nubia」ブランド拡大の戦略(2/3 ページ)
ZTEジャパンが投入する「nubia Flip 2」は、Y!mobileにMNPをすれば、2年後に下取りに出した際の実質負担額が2万円を下回る。端末はどちらかといえばキャリア向けの専用モデルが多かったZTEが、その戦略を大きく転換している格好だ。コンシューマー市場をどのように開拓していくのか。
MNPでの実質負担額が2万円未満 ここまで安く作れた背景は?
―― 本体価格に関しては、nubia Flip 2で少し高くなっています。これはなぜでしょうか。
黄氏 2号機は1号機より、いかに性能面を上げるかがテーマでした。耐久性や機能はもちろん、サブディスプレイを大型化し、ほとんどのアプリを閉じたまま使える改善もしています。ヒンジに関しては、30万回テストしたことをアピールしました。フリップ型は耐久性やアフターサービスも問われるからです。
―― とはいえ、Y!mobileで新トクするサポート(A)を使うと、MNPで実質価格が2万円を切ります。
黄氏 1万9680円(税込み)ですからね。2万円を切っているので、1号機と同じぐらいインパクトがあると見ています。販売価格はキャリアが決めることですが、総務省のルールに沿った形で踏み込めている。これはマーケットの中で、強い武器になると考えています。
―― ここまで安く作れる理由はどこにあるのでしょうか。
周氏 コストに関わる部分になりますが、基本的にソフトウェアは自社開発なので、そこでコストの削減ができます。また、グローバルで展開しているので、部材調達も海外と共通化を図れます。特にメインのチップセットメーカーとは戦略的なパートナーシップを組み、よりコストを下げられる構造にしています。
―― 利益を削って意図的にシェアを広げるようなお考えもあるのでしょうか。
周氏 経営の観点もあるのでゼロにはできないですが、必要最小限を確保した上でモノ作りをしています。
コンシューマー向けモデルはnubiaに一本化している
―― 少し話は変わりますが、もともとnubiaはZTEの子会社で、一時は関連会社にしてZTEの持株比率を引き下げていました。その後、再びZTE傘下になった経緯がありますが、今、このブランドはどういう扱いになっているのでしょうか。
【訂正:2025年3月3日16時45分 ZTEとnubiaの関係性について、一部、不正確な記述があったため、訂正いたしました。】
周氏 確かにおっしゃる通り、nubiaというブランドはもともと子会社発でした。一方で、グローバルでは2、3年前からnubiaを本格的にコンシューマーマーケットに向けてのブランドとして展開し始めています。現状、ZTEの中には3つのブランドが存在します。1つはZTEで、これはコンシューマーではなく、法人や企業向けのブランドです。2つ目がnubiaで、コンシューマーに関してはこちらに一本化しています。
もう1つはRedMagicで、これはやや特殊なゲーミングスマホという位置付けです。さらに、nubiaの下にはいくつかのシリーズが存在します。例えば、昨年のMWC Barcelonaで発表された「nubia Music」や、カメラに特化した「nubia Focus」のような機種もあります。RedMagicよりもう少し一般消費者向けのハイエンドモデルとして、「nubia Neo」のようなシリーズも展開しています。
―― 以前はハイエンドにAXON、ミッドレンジにBladeがありましたが、これは出さない方針なのでしょうか。
黄氏 宣言はしていませんが、実質的に終了していきます。ただし、古い機種は一部残っている状態です。
―― 今回、Y!mobile向けもLiberoからnubiaに変更されましたが、これもそのブランド戦略に基づいているのでしょうか。
周氏 昨年からキャリアとも交渉していました。nubiaに切り替えることで、キャリアビジネスとSIMフリーが一本化され、相乗効果を図れます。ただし、日本ではホームルーターもありますが、そういった製品にはnubiaの名前は使っていません。
―― ZTEはグローバルで端末を発売していますが、昨年と同様、nubia Flip 2もまだ海外では発表すらされていません。一般的には逆のことがほとんどだと思いますが、どういった意図があるのでしょうか。
周氏 伝統的に、日本はハイエンドのマーケットです。ZTEとしても、世界をリードしていくマーケットと位置付けているので、トレンドの商品は先に展開しています。nubia Flip 2もグローバル展開していきますが、日本で出ているという事実がそれを推進することにもなります。
―― フリップタイプのスマホは、どちらかと言うと中国市場で勢いがあるようにも見えます。何か市場ごとの違いはありますか。
黄氏 それぞれの国の個性や文化の違いもありますが、Flipは日本での割合が高いですね。中国市場もフリップ型(の浸透)が早いですし、欧州の一部でも流行っています。一方で、東南アジアでは、nubia Musicのような端末が受け入れられやすく、マーケットとして盛り上がっています。ゲーミングスマホも、そうですね。
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