クレカの「サイン決済」が原則できなくなるワケ 4月以降はユーザー/店舗にどんな影響がある?(1/3 ページ)
かつて、クレジットカードでの支払い時によく聞かれた「サインでお願いします」という言葉。このサインによる決済方法が、2025年3月末をもって原則廃止されることとなったのはなぜか? 原則廃止となる背景や、利用者視点での注意点や、店舗側にとっての懸念点を解説する。
かつて、クレジットカードでの支払い時によく聞かれた「サインでお願いします」という言葉。しかし、このサインによる決済方法が、2025年3月末をもって廃止されることとなった。クレジットカード所有者本人のサインにより、カード会社により決済が承認される「サイン決済」だ。
レストランなどでクレジットカードを利用する際、自席で伝票にサインをして支払いを済ませた経験がある人は多いだろう。文字通り、サインのみで決済を行えることから、暗証番号の入力は不要だ。
ただ、クレジットカード決済の際は基本的に暗証番号の入力が必要となっており、万が一クレジットカードの暗証番号を忘れた際の救済措置として、「暗証番号スキップ(PINバイパス)」という仕組みが導入されていた。これがサイン決済だ。
サイン決済の利点は何だったのか、暗証番号入力はなぜ定着したのか
サイン決済は、利用者が席を立って暗証番号を入力する手間を省ける便利な方法だった。わざわざ席を離れてクレジットカードの読み取り機(リーダー)のある場所へ行かずに済む。
メリットはこれだけにとどまらず、不正利用があった場合は、カード裏面とレシートの筆跡を確認して、本人による利用なのかを判断することに加え、筆跡の異なる署名が確認できた場合には、カード会社や店舗が不正行為を疑える。
もともと例外的な措置として導入されていたサイン決済だが、利用者と店舗双方にとって利便性が高かったことから、フルコースのレストランやホテルのビュッフェなどで広く浸透していった。特に、レジでの会計を必要としないレストランでは、この方式が一般的に用いられていた。
一方、暗証番号の入力はどのように浸透したのだろうか。
日本では、クレジットカードのセキュリティ強化の一環で、ICチップを搭載したICカードへの移行が欧米に比べて遅れていた。しかし、2020年の東京五輪を控え、ICカード対応が急速に進み、店舗にも対応が義務付けられることになった。その過程で決済端末の切り替えが求められ、暗証番号入力が普及した。
テーブル会計のレストランは、モバイル決済端末の導入が有効に
ここで、店舗側にとっての懸念点についても触れておきたい。4月以降、サイン決済ができない店舗の増加が予想される。これまでテーブルでの会計を行っていた高級レストランなどでは、テーブル会計の代わりにレジを新設するか、決済端末のある場所まで客を誘導しなければならなくなる。
こうした手間を避けるためには、据え置き型の決済端末ではなく、モバイル型の決済端末を導入することが有効だ。近年では、クレジットカードに加えて、コード決済や電子マネーといった多様な決済手段が普及したため、店舗はこれら複数の決済方法に対応したオールインワンのモバイル決済端末を選択できるようになっている。
例えば、三井住友カードが提供する決済プラットフォーム「stera」では、オールインワンモバイル決済端末「stera mobile」を提供している。この端末は、5型のHDカラータッチパネルを搭載しており、クレジットカードやPayPay、Suica、IDなど、さまざまな決済サービスに対応。無線(LTE)通信も行える。
オールインワンのオールインワンモバイル決済端末「stera mobile」。下の段は携帯のしやすさを追求したスマートフォンサイズの「stera terminal mobile」、セルフレジ・セミセルフレジ、有人レジへの組み込みに対応した「stera terminal unit」
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