「iPhone 16e」「Pixel 9a」徹底比較レビュー:カメラ、バッテリー、基本性能、AIが優秀なのはどちら?(2/4 ページ)
Apple製A18チップ搭載のiPhone 16eは高性能だが9.9万円と高価格、一方Google製Tensor G4を積んだPixel 9aは7.9万円で120Hz画面と超広角カメラを備える。どちらも最新AI機能を提供するミッドレンジの決定版という2機種を比較レビューする。
ベンチマーク上はiPhone 16eが高得点
両機種はともに2024年に発売されたフラグシップモデルと同水準のプロセッサを搭載する。iPhone 16eはApple独自設計のA18チップを採用。ただし、上位モデルと比べるとGPUは4コア構成で1コア少なくなっている。また、注目すべき点としてApple初の自社設計5Gモデム「C1」を搭載しており、通信チップの内製化が進んでいる。
一方のPixel 9aはGoogle独自設計のTensor G4チップを搭載、Pixel 9シリーズと同じプロセッサだ。通信モデムはSamsung製のものを内包しているが、実際の通信品質や安定性において両機種間に顕著な差は見られない。
メモリ容量はどちらも8GBを搭載している。日常的な使用では、SNSアプリやメール、Webブラウジングといった一般的な用途では両機種とも十分な性能を備えている。
Geekbench 6.4.0によるベンチマーク測定は、以下の結果だった。
- iPhone 16e:シングルコア3294、マルチコア7968
- Pixel 9a:シングルコア1340、マルチコア2919
GPU性能では、iPhone 16eのMetal APIで24130に対し、Pixel 9aはOpenCLで7715を記録している。
しかし、これらの数値はピーク性能を示すもので、実際の使用感とは乖離(かいり)することがある点に注意が必要だ。ベンチマークはマイクロアーキテクチャの差、API実装の違い、短時間のバースト処理を測定しているため、実際の長時間使用では差が縮まることが多い。特にPixel 9aは画像AI処理をTensor Processing Unit(TPU)がオフロードするため、実アプリでは体感性能が数値以上に優れる場面もある。
結論として、iPhone 16eは同世代Androidハイエンド機と比較してもCPUで約45〜60%、GPUで約70〜110%のピーク値優位性を示している。Pixel 9aは前世代Tensorチップと比べて30〜90%のパフォーマンス向上があるものの、Androidハイエンド機との差は依然として大きい。ただし、TPUを生かしたオンデバイスAI処理が強みで、実用面ではこの差が効いてくる。
バッテリー効率はiPhone 16eが優秀な結果に
バッテリー駆動時間いずれも普段使いでは十分な水準だ。公称値では、iPhone 16eはビデオ再生で最大26時間のバッテリー駆動時間を実現。Pixel 9aは通常使用で30時間以上、「スーパーバッテリーセーバー」使用時では最大100時間の駆動が可能としている。iPhone 16eのバッテリー容量は正確には公表されていないが、約4000mAhと推測される。一方のPixel 9aは約5100mAhの大容量バッテリーを搭載している。
Netflixアプリで動画視聴テストを行ったところ、iPhone 16eのバッテリー効率が優れていることが判明した。
Wi-Fi接続・内蔵スピーカー利用の標準条件では、以下の結果だった。
- iPhone 16e:1時間あたり3.8%を消費
- Pixel 9a:1時間あたり5.5%を消費
モバイル通信・Bluetoothイヤフォン接続という高負荷条件では、以下の結果だった。
- iPhone 16e:1時間あたり6.8%を消費
- Pixel 9a:1時間あたり9.3%を消費
両条件でiPhoneが約30%効率的であることが分かった。
物理的なバッテリー容量ではPixel 9aが優位だが、動画ストリーミングなど高負荷状況での電力効率ではiPhone 16eの最適化が光る結果となった。
充電性能はほぼ同等だ。iPhone 16eは最大20Wの有線充電と7.5Wのワイヤレス充電に対応。Pixel 9aはさらに高速な23Wの有線充電と7.5Wのワイヤレス充電に対応している。iPhone 16eはMagSafeに対応せず、Pixel 9aもQi2は利用できないが、サードパーティー製のマグネット内蔵ケースを装着する手段はある。
アップデート期間はPixelが7年を保証
ソフトウェアアップデートの面では、iPhone 16eは約5〜6年の長期サポートが期待でき、Pixel 9aも7年間のOSとセキュリティアップデートを保証している。日常的な使用感では、iOSとAndroidという基本的な違いが大きく、既存のエコシステム(Apple製品かGoogle製品か)に合わせた選択が合理的だろう。
総合的に見ると、処理性能の違いは体感できるほどの差はないが、バッテリー持続時間と充電速度では明確な違いがある。コストパフォーマンスという観点からは、より安価で長持ちするPixel 9aが優位といえるだろう。
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