Xiaomiの「ポータブルフォトプリンター1S」を試す 「チェキ」ユーザーが感じた決定的な違い(3/3 ページ)
筆者は普段、フジフィルムのインスタントカメラであるチェキで現物が出てくる写真撮影を楽しんでいました。そんな折、Xiaomiがポータブルフォトプリンターを発売しました。1カ月以上使い込んだので、チェキユーザー目線で比較を交えつつレビューしていきます。
みんなで楽しむライブ感に欠けるプリンタ 僕はチェキを使い続ける
ここまで言うと、チェキよりもプリンタの方がいいのではないかと思われるかもしれませんが、チェキにはプリンタにはない「ライブ感」があり、それゆえにプリンタではチェキを代替できないと断言できます。
Xiaomi ポータブルフォトプリンター1Sで写真を印刷するには、まずプリンタを起動してスマホと接続、アプリで画像を選び、印刷ボタンを押したのち約50秒かけてようやくできます。アプリでの画像の調整やキャリブレーションも加味するともっと時間がかかります。
対して、チェキの場合はカメラを起動して撮影するだけでフィルムが出てきます。フィルムの現像に時間が掛かる構造で、約30秒でおおよその写りが分かり5分ほどで色味が完全に仕上がります。このプロセスの違いは体験が全く異なるのです。
プリンタは、写真印刷するプロセスは失敗を避け最高のパフォーマンスを出すためのものです。失敗ショットはそもそも印刷対象にすらならず、ベストショットだけを印刷、やっていることは実用性重視の編集作業であって、どんな写真も満を持しての印刷になります。
そのプロセスは1人のアーティストとしての作業であって、友人と盛り上がるものではなく、頑張って編集した分、思い通りでない印刷結果だとテンションが下がるのです。そして、Xiaomiに限らず今のどのモバイルプリンタも出力された写真のクオリティーは得てしてスマホの画面より画質は悪いのです。
一方で、チェキは偶然性を楽しむもの。シャッターを切った瞬間、もう後戻りはできません。編集? そんなものはやぼというものです。撮影前にプレビューはできないし、出てきた写真がブレていてもピントが甘くても、それがその場のリアル!
すぐにフィルムが出てきて友人とその場で一緒に現像の様子を笑いながら見て落書きをする。写真はフィルム独特の色味や質感がノスタルジックな魔法をかけてくれて、そんな偶然の産物が宝物になりうる。そしてそんなライブ感はプリンタでは体験できません。
もちろん事前に編集できるプリンタの方がチェキよりも自由度は高いし、その中でもXiaomi ポータブルフォトプリンター1Sは特にコスパよく楽しめるいい商品です。友人と楽しむのではなく、自分が手帳や日記で情報をまとめたいなら、シールにできるプリンタの方が適しているでしょう。
要は、何を重視するかが大事であり、私は自分でアルバムを作るアート性よりも友人と撮るライブ性の方が大事だったというだけの話です(なお、カメラ付きのZinkプリンタがKodakやPolaroidから出ていたり、編集できるチェキがフジフィルムのEvoシリーズとして出ていたりと、市場はもうちょっと複雑です)。
さて、編集派のモバイルプリンタと一発勝負派のインスタントカメラ、あなたはどちらを選びますか。編集派であればXiaomiのポータブルフォトプリンター1Sは1万円以下でエッセンスを楽しめる、いいガジェットだと思うので、おすすめです。
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