メルカリが「Switch 2は出品禁止にすべきだった」と反省した理由 「安心・安全を損なう場合は出品禁止」へ方針変更(2/3 ページ)
Nintendo Switch 2は発売時に出品禁止にすべきだった――。メルカリが10月9日に開催した記者会見で、同社はこのように振り返った。マーケットプレースの基本原則に反しない商品を規制すべきかが課題だった。今後、ユーザーの安心・安全を損なうケースは、例外として出品禁止を含む対応を行う考えを示した。
外部有識者とSwitch 2の対応について議論 「安心・安全を損なった」と反省
マーケットプレースの基本原則は2020年〜2021年にかけて策定されたが、社会情勢に応じてアップデートする必要もある。そこで、メルカリは外部有識者を交えて「マーケットプレースの在り方に関するアドバイザリーボード」を定期的に実施しており、必要に応じて基本原則を見直している。
このアドバイザリーボードの第5回で議題に挙がったのが、Switch 2への対応方針だった。メルカリではSwitch 2の発売当初から、出品禁止の対象にしてこなかったが、迫氏によると、「会社の評判を守るという観点では、別の対応もあったのではないか」という意見も出たという。例えば、出品価格に上限を設けるといった対応だ。
しかし、Switch 2そのものは、安全を脅かすものや犯罪行為を助長するものではない。信頼という観点では、不正出品の排除に努めてきた。そのため、マーケットプレースの基本原則にのっとってSwitch 2の出品を禁止するという判断に至らなかった。
そこで議題に挙がったのが、基本原則では禁止できない商品を例外的に禁止すべきかどうかという点だ。例えば、経営判断で出品を禁止するという判断もある。経営判断は「伝家の宝刀」ともいえる手段で、出品を禁止すれば「批判もされず、意思決定のコストを抑えられる」と、アドバイザリーボードのメンバーとして参画してきた慶應義塾大学 経済学部 教授の坂井豊貴氏は振り返る。
「経営判断によって安易に出品禁止にする方が楽」(坂井氏)だが、その基準はあいまいだ。具体化するために、中期経営計画のKPI(目標)とひも付けるのはどうかという議論も出たという。つまり、Switch 2の出品が、メルカリの業績にマイナスの影響を及ぼすのかという点だ。「SNSでの一時的な盛り上がりだけで判断すべきではない」との意見も出た。
こうした議論の末、Switch 2については、基本原則では出品を禁止できないものの、誤認を招く出品や誹謗中傷など、マーケットプレースの安心・安全が著しく損なわれたと振り返る。メルカリとしては出品の削除やアカウントの利用制限などの対応を行ったが、「このような事象が発生したこと自体が、安心・安全を損なった」(迫氏)と判断。「Nintendo Switch 2は発売時においては、マーケットプレースの安心・安全を守るために、出品禁止すべきだったと考える」と結論づけた。
今後、不正出品やトラブルの急増、極端な価格の乱高下など、マーケットプレース内での安心・安全が損なわれるような可能性がある商品については、出品禁止を含む対応を行うことを明らかにした。
メルカリは、基本原則の在り方や、アドバイザリーボードでの議論の経緯を「ホワイトペーパー」として策定し、10月9日に公開した。メルカリの考え方を外部の開示することで、透明性の高いマーケットプレースを目指す。
「メルカリは、真面目にマーケットプレースを運営しているが、真面目さが世間に伝わっているとは限らない。そういうものをきちんと作るべきではとの意見が出た」(坂井氏
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Switch 2のはずが……発送されるのは写真や作文 メルカリで悪質な出品を見抜くコツ
「Nintendo Switch 2」の発売直後から、フリマアプリ「メルカリ」に高額な転売出品が相次ぎ、SNSでは批判の声が高まっている。希望小売価格を大きく上回る価格設定や、転売目的と思われる大量出品がその一因だ。そこで、こうした行為が“ルール違反”にあたるのかどうか、メルカリの規約や実際の対応をもとに整理する。
メルカリ詐欺被害に「全額補償」、トラブル解決に「積極的に関与」 不正利用撲滅の方針を発表
メルカリが5月21日、不正利用を撲滅するための施策を発表した。新たな方針として掲げるのが、不正利用者の「徹底的な排除」と、ユーザーの「徹底的な救済」。トラブルが発生したら、これまでよりも「積極的に関与する」という。
メルカリで詐欺に遭った話 不誠実な事務局の対応、ユーザーが「絶対にやってはいけない」こと
メルカリでカメラレンズを購入したはずが、届いたのがプラスチック玩具という詐欺に遭いました。メルカリに対応を求めましたが、1カ月以上たった今でも返金されていません。ユーザーとして絶対にやってはいけないことをお伝えします。
メルカリ、レンタルバッテリーの出品削除 ChargeSPOT運営元と協議の上で判断
フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ社と、モバイルバッテリーレンタルサービス「ChargeSPOT」を展開するINFORICH。ChargeSPOTのモバイルバッテリーがメルカリで出品されている問題を受けて、該当出品を削除する方針を明らかにした。ChargeSPOTの規約では転売や譲渡を禁止している。
レンタルバッテリー、「メルカリ転売ヤー」の餌食に ChargeSPOT運営元が注意喚起
モバイルバッテリーのレンタルサービス「ChargeSPOT」を運営するINFORICHは、貸し出したバッテリーがフリマアプリで出品されていることを確認。転売や譲渡を行わないよう注意を呼び掛けている。転売や譲渡は利用規約で禁止しており、場合によっては刑事罰の可能性もあるという。









