Apple Watchで利用可能になった「高血圧パターンの通知」 どんな人に便利なのか?
「高血圧パターンの通知」が、12日4日から日本でも利用可能になった。Apple Watchを着けているだけで、高血圧の可能性が分かるというものだ。高血圧の検出には、ウォッチ背面に搭載されたPPGセンサー(光学式心拍センサー)を用いる。
2025年9月に「Apple Watch Series 11」が発表された際に、新機能として注目された「高血圧パターンの通知」が、12日4日から日本でも利用可能になった。Apple Watchを着けているだけで、高血圧の可能性が分かるというものだ。Apple Watch Series 9以降とApple Watch Ultra2以降で利用できる。なお、Apple Watch SEシリーズでは利用できない。
カフがないのに、なぜ高血圧の可能性が分かるのか?
Apple Watchには血圧を測るカフ(空気を送り込んで測定する器具)は搭載されていない。にもかかわらず、なぜ高血圧の傾向が分かるのか? その検出には、ウォッチ背面に搭載されたPPGセンサー(光学式心拍センサー)を用いる。ユーザーの血管が心臓の鼓動にどのように反応するかを30日間にわたって測定・分析し、高血圧のパターンが検出された場合にユーザーに通知される仕組みだ。
精度が気になるところだが、Appleは厳格な科学的検証に基づいているという。10万人を超えるデータを用いて、高血圧を検出するアルゴリズムを開発。さらに、さまざまな人種、年齢、性別の2000人以上の臨床実験によって、性能が確認されているそうだ。
なお、この機能を有効にする際に「22歳以上ですか?」「高血圧と診断されたことはありますか?」という質問が表示される。22歳未満や高血圧と診断されたことがある場合は対象外となる。あくまでも、これまでに高血圧と診断されたことがない人、そもそも高血圧を心配したことがない人に向けた機能といえる。
高血圧は重篤な疾患の要因となるサイレントキラー
帝京大学医学部内科学講座の柴田茂教授によると、「高血圧は心血管病による死亡の大きなリスク要因だが、症状がないためにサイレントキラーと呼ばれる」とのこと。日本の高血圧患者は4300万人と推定されるが、日常的に血圧を測定している人は、その4分の1にすぎないとのこと。「自分の血圧を知ることが、重大な疾患の予防につながる」と指摘する。
Apple Watchの「高血圧パターンの通知」は、高血圧の可能性がある人に、血圧計での定期的な計測や、医師の診断を受けることを促すものだ。対象機種を持っている人は、iPhoneの「ヘルスケア」→「ヘルスケアチェックリスト」→「高血圧通知パターンの通知」をオンにすることをおすすめする。高血圧パターンが検出された場合は、およそ30日以降に通知される。なお、検出されない場合は、何も通知されない。現在、健康な人も、この機能を有効にしておけば、いずれ役立つことあるかもしれない。
Apple Watchは、2015年に発売された初代モデルから心拍センサーを搭載。日本向けモデルでは、2018年に高心拍数の通知、2021年には不規則な心拍の通知、心電図、2022年には心房細動の履歴へと機能を拡張してきた。今回追加された「高血圧パターンの通知」によって、重大な疾患の可能性に気付く確率が高まったといえる。
iPhoneやApple Watchのヘルスケア機能を再チェック!
Apple Watchは、他のヘルスケア機能も強化させている。以前から計測できた「睡眠」は、100点満点の「睡眠スコア」を表示するようになり、より直感的に睡眠の質を確認できるようになった。睡眠中の呼吸の乱れを記録する機能もあり、中程度から重度の睡眠時無呼吸の兆候が検出された場合に通知される機能もある。
万が一の事態に備える「メディカルID」も設定しておくと便利だ。ユーザーの病状、服薬、アレルギーなどの情報を登録しておけば、緊急時に、緊急連絡先に登録した人に通知されたり、救急隊員が情報を確認したりできる。
2025年6月24日からは「iPhoneのマイナンバーカード」が開始された。健康保険証の利用登録を済ませたマイナンバーカードをiPhoneに追加しておけば、マイナンバーカードを持っていなくても、病院や薬局で健康保険証として利用できる。iPhoneのサイドボタンをダブルクリックして、顔認証(Face ID)をしてマイナンバーカードを表示させ、カードリーダーにかざすだけだ。ただし、まだ全ての医療機関で利用できるわけではないので、事前の確認が必要だ。
iPhoneやApple Watchを長く使っている人は、新たに追加された機能に気付かないケースもあるようだ。いま一度、まだ使ったことがない機能を確認して、健康維持や病気の予防に役立てるといいだろう。
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