楽天の「Open RAN」「エコシステム」が世界で注目を集めるワケ 三木谷氏はMWCで「殺人的なアポ」とうれしい悲鳴(2/3 ページ)
楽天の三木谷氏はMWCの基調講演で、完全仮想化によるOpen RANの優位性と独自エコシステムの強みを強調した。モバイルサービスから得たデータに基づき広告収益を最大化して大きな売り上げを獲得していることも示した。今後は衛星通信の年内開始や、楽天シンフォニーを通じたネットワーク外販による収益拡大を加速させる方針だ。
ネットワークとエコシステムを売って「1粒で2度おいしい」
講演修了後、三木谷氏は日本の報道陣からの質問に応えた。主なやりとりは以下の通りだ。
―― 世界のキャリアが(楽天グループのような)エコシステムを作るのはハードルが高いと思うが。
三木谷氏 でも興味はすごいですよ。大手キャリアも「このままだと難しい」という認識がありますね。
―― もっとポイントなどのエコシステムを入れていきたいと?
三木谷氏 そうですね。もともと、楽天ブランドじゃないリワードプログラムのプラットフォームがあります。アメリカだと大手銀行やコカ・コーラ、メジャーなエアラインとかに提供していて、結構大きいんですよ。今まであまりテレコムにそれを提供してこなかったんですけど、今は皆さん、非常に興味を持っていらっしゃる。
単純なリワードプログラム、ポイントシステムの提供もやりますし、それ以外では、例えば「Rakuten TV」だと、(フランスの通信事業者)Orangeさんなどいくつかのテレコム会社は同じようなビデオストリーミングプラットフォームを提供しているので、「だったら集約しましょうよ」ということで持ってきていただいたり。電子書籍もそうですし、いろいろな形で広がっていっていると思います。
―― 楽天は、ヨーロッパはそういう面で強いのか。
三木谷氏 Rakuten TVはヨーロッパで非常に強いですね。
―― 講演でAST SpaceMobileのことに言及していた。直前にSpaceXが次世代の話(第一世代の5倍となる巨大なアンテナを搭載し帯域幅も拡大。より高品質なブロードバンド体験が可能になる)をしていて、楽天がアピールしているようなスペックをSpaceXも実現する模様。これについて、競争上どう対抗していくか。
三木谷氏 衛星通信はその国にとっても重要な施策。1社だけというわけにはいかないだろうなと。2社は必要だとは思っています。
―― 楽天モバイルの回線が1000万契約を超えたことで、世界的な受け止めが良くなった部分はあるか。
三木谷氏 そうですね。1000万契約もそうですけど、先日「自律型ネットワーク レベル4」認定を取得しました。Open RANだと、うちだけがレベル4ネットワークになった。Open RANによってオートメーションがしやすくなり、ベンダーロックインから逃れることができる。うちでも40以上のベンダーの製品を使っている。それでしっかりと動いているということに対して、非常に興味を持っていただいているのだと思います。
―― 今日の講演はAIについての内容が相対的に少なかったと思うが。
三木谷氏 今日のオーディエンスは通信会社の人たちだったので「楽天シンフォニーの技術を買ってください」ということがメインのトピックでした。ついでに「エコシステムのプラットフォームも売りますよ」という売り込みだったので。
―― 楽天シンフォニーのネットワークとセット販売的にエコシステムが売れることもあるのか。
三木谷氏 「エコシステムを作るのを手伝ってほしい」という話がほとんど。1粒で2度おいしい、みたいな感じですね。何らかの取引があると、そこから広げやすいじゃないですか。入り口としてはそれもありかなと。
Open RANと自動化を組み合わせることでコストを下げられる
―― 楽天シンフォニーの技術を買っているキャリアは、今何社くらいか。
三木谷氏 75社くらいですかね。すごく増えています。
―― 先進国もあるのか。
三木谷氏 提供しているのはRAN、OSS、クラウド、この3つですが、どれかを使っている会社は欧米にもいっぱいあります。最近は東南アジア、中央アジア、アフリカがかなり興味を持っていますね。アフリカが多いかな、中南米がちょっとまだ少ないかな。
新興国系の方が、コストパフォーマンスのメリットは引き出しやすい。これからネットワークを強化するという局面なので、5Gもまだできていないところが多い。「5Gを使うなら、どうせだったら新しい方法でやろうか」という形が多いですね。
―― 競合はどこになるか。
三木谷氏 トラディショナルな会社もあります。Open RANで言うと、ほとんど楽天だけになってきているかもしれません。vRAN(仮想化RAN)だとサムスンさんとかもやっていますけど。Open RANという意味だと、「5Gだけやっています」とか「4Gだけやっています」という会社はありますけど、今、統合的にやっているのは楽天シンフォニーだけかもしれませんね。
―― そこが強みになのか。
三木谷氏 そうですね。強みは、Open RANとオートメーションを組み合わせることによってトータルコストが下げられることと、ネットワークの安定性が上がることかなと思います。
―― 楽天シンフォニーの収益はどこまで上がってきているか。
三木谷氏 決算で説明していますが、結構上がっていますね。ただ、ハードウェアの部分は、これからできるだけやらないようにしていこうと思っています。ハードウェアは買って売ると売上は上がるんですけど、利益率は低い。ソフトウェアの売り上げは順調に伸びています。
―― 今回のMWCで商談はどれくらい決まりそうか。
三木谷氏 分からないですが、殺人的な(笑)アポの数になっていますよ。「もう勘弁してくれ」みたいな。
―― ここ最近のMWCと比べて手応えはどうか。
三木谷氏 明らかに強くなっていますね。
―― Open RANをやっている側から見て、日本のベンダーの力量はどうか。
三木谷氏 素晴らしいと思います。頑張ってほしいなと、本当に。クオリティーは高いと思います。
―― 現在の楽天のネットワークで、日本ベンダーの比率はどれくらいか。
三木谷氏 5Gはほぼ日本(メーカー)です。4Gはほぼ海外ですね。日本ベンダーさんは、クオリティーが高いし、価格が適正であれば使いたいと思っています。
―― 経済安全保障的な発想も入っているか。
三木谷氏 ありますね。正直やっぱり中国製は使いにくい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
楽天モバイル、2026年は「ネットワーク強化の年」に 2000億円超を投じ、都市部や地下鉄の“5G化・増強”を加速
楽天グループは2025年度通期決算を発表し、連結およびモバイルセグメントのEBITDA黒字化を達成した。モバイル事業は契約数1000万回線を突破し、今後は若年層に加えシニア層の獲得やARPU向上に注力する。2026年は「ネットワーク強化の年」と位置付け、2000億円超の投資で都市部や地下鉄の通信品質を改善する。
KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及
2026年2月6日、KDDIが「2026年3月期第3四半期決算説明会」を開催。松田浩路社長が登壇した。松田氏が楽天モバイルとのローミング契約に言及した。
楽天モバイルのネットワーク改善戦略 都内地下鉄は7月に対策完了へ、「つながりやすさでもNo.1を目指す」と矢澤社長
楽天モバイルが2月2日、「つながりやすさ強化宣言2026」と題して、ネットワーク改善の見通しについて説明した。繁華街や混雑する場所では5G基地局を整備してトラフィックを分散している。都内の地下鉄は、2026年7月に電波対策が完了する見通しだ。
「楽天モバイルは2000万回線を目指す」 三木谷氏が語る、楽天市場への送客効果と“最強の福利厚生”
楽天グループは2026年1月、東京都内で楽天市場の出店店舗などを対象としたイベント「新春カンファレンス2026」を開催した。本カンファレンスでは、楽天グループ 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏が登壇。グループの中核事業である「楽天モバイル」の最新動向と、それが「楽天市場」をはじめとする各サービスや出店店舗にどのようなメリットをもたらすかについて、具体的な数値や事例を交えて講演を行った。
楽天モバイルが「2025年内に1000万回線」の公約を果たせたワケ 次の目玉は「衛星通信」と三木谷氏
楽天モバイルは2025年12月25日に1000万回線を突破し、2020年4月の開始から約5年8カ月で達成。内訳はMNO単体で914万回線となり、法人やMVNOなどを含むが、11月からの1カ月半で50万回線を急増させた。1000万回線突破イベントには藤森慎吾さんも登壇し、三木谷氏が祈願の「だるま」に右目を描き入れ、悲願の目標達成を報告した。
