ライター内蔵スマホが中国Oukitelから登場 日本発売も予定、2万mAhバッテリー内蔵でSOS発光も可能
MWC 2026にてOukitelが展示した「WP63」は加熱式ライターを内蔵する異色のタフネススマホだ。2万mAhの大容量バッテリーや充電ケーブル、高輝度ライトを備え、サバイバル性能に特化した設計を持つ。航空機への持ち込みには注意が必要だが、過酷な環境での「道具」としての本質を追求した極めて個性的な1台だ。
「MWC Barcelona」で最新の製品や技術が展示される中、これは変態的でいいアイデアだと思ったスマートフォンを発見したので、紹介したい。
ライターを内蔵、ケーブルまで本体に仕込んだ究極のサバイバルスマホ
今回は、中国Oukitelが展示していたスマートフォンの新型モデル「WP63」を紹介する。出展者によると「加熱式ライター」を備えるスマートフォンとアピールする本機種は、スマートフォンでありながら本体にライターを組み込んでいる。この時点で「普通のスマートフォン」ではない異端な製品だと伝わるはずだ。
最大の特徴であるライター機能は、本体上部にある保護カバーの下に加熱コイルを内蔵したもので、車載シガーライターに近い仕組みで動作し、専用アプリの操作で発熱させる。アウトドアやキャンプシーンでマッチが使えないような状況でも、このスマホ一台で火起こしが可能になる。
ライターのポップアップは手動で行うが、安全性重視のためか少々固めの設計で、引き出すにはコツが必要だった。また、アプリからは火起こし用に1回で最大10秒までの連続加熱ができる。タバコからたき火まで、この1台でこなせる柔軟性を備えており、ある意味では通常のライターよりも自由度が高い。
実際に点火する様子は現地では確認できなかったが、プレス向けの資料ではロール状に丸めた紙に着火する場面が収められており、動作が制御されていて安全であることが伝わってきた。
次に注目したいのが、本体に収納されたUSB Type-Cケーブルとモバイルバッテリーとしての機能だ。WP63は2万mAhという、スマートフォンとしては大容量のバッテリーを搭載しており、キャンプでも充電を気にせず使い続けられる。33Wの急速充電にも対応する。さらに本体から引き出せるUSB Type-Cケーブルが内蔵されており、別途ケーブルなしで他のデバイスを最大18Wで逆充電できる。スマホをはじめ、USB端子で充電できる機器をその場で給電できるのは実用的だ。
加えて、背面には広範囲を照らすキャンプライトを搭載している。一般的なスマホのフラッシュより大きく、かつ明るい設計で、テントサイト全体を照らすことができるという。最大光量では直視すると目を傷める恐れがあるという警告が出るほど明るく、遭難時のSOSの発光信号表示にも対応している。
本体上部の大型スピーカーは最大130dBの大音量再生が可能で、緊急時のアラームとしても機能する。火を起こす、照らす、音で知らせるという「サバイバルに必要な手段」がこの1台に凝縮されており、「無人島に持っていくべきスマホ」のトップ候補といえる。
WP63の主なスペックは、SoCにUnisoc T8200を採用し、メモリ8GB、ストレージ512GBという構成になっている。ディスプレイは6.7型のHD解像度で、120Hzのリフレッシュレートに対応する。カメラは6400万画素を採用し、暗いところでも明るくとれるナイトビジョンにも対応する。防水・防塵(じん)はIP68とIP69K、耐衝撃はMIL-STD-810H準拠で、高所からの落下にも耐えられる頑丈な作りになっている。堅牢(けんろう)性が高く、本体を金づち代わりにくぎを打ち込んでも問題ないという。
そんなOukitel WP63は2026年の第2四半期以降の発売を見込んでいる。価格は約400ドル前後を想定している。さらに、本機種には技適マークの表示も確認できた。説明員によると日本のAmazonでの販売も予定しているという
スマホながら航空機持ち込みはグレーゾーンか
Oukitel WP63はスマートフォンにライター機能を内蔵しているがゆえに、特に航空機への持ち込みには注意が必要だ。
JALおよびANAの公式サイトによると、喫煙用の小型ライターはいずれも1人1個までに制限されている。衣服のポケットに入れるなど身に着けた状態での機内持ち込みが可能だが、携帯手荷物や受託手荷物などカバンに入れた状態での持ち込みはできない。また、ターボライター・ジェットライター・ブルーフレームライターをはじめとした「着火用のライター」は、機内への持ち込みも預け入れもできないと明記されている。
本機種に比較的近い、IQOSなどの加熱式たばこについてはどうだろうか。電子たばこや加熱式たばこは機内に持ち込むことはできるが、機内での使用はできず、また預け入れ手荷物に入れることもできないというのがJALとANAの共通ルールだ。
WP63の加熱コイルは「喫煙用ライター」としても使用できるが、リチウムイオン電池を搭載したヒーターに区分される可能性もある。あまりに異端すぎる存在なので、現行のルールがそのまま適用されるかは現時点で不明確だ。メーカー側も「ご利用になる航空会社に事前にお問い合わせいただきたい」としており、搭乗前の確認は必須といえる。
異端すぎる存在だからこそ、大舞台で注目された1台
翻って考えると、WP63はMWC会場にあふれる薄型フラグシップとは真逆の方向性を持つ端末だ。大手メーカーが薄さやAI機能を競い合う中、Oukitelはニッチなアウトドアユーザーやサバイバルシーンにフォーカスし、スマホの「道具としての本質」を追求している。
「ライターを内蔵する」というアイデアは奇抜に映るが、防水、防塵、耐衝撃という堅牢性を備えつつ、大容量バッテリーを生かしたモバイルバッテリー機能、キャンプライト、大音量スピーカーなどを搭載しており、「過酷な環境に耐える」というコンセプトを貫いている。
もしも、無人島に持っていくべきスマートフォンを選べと言われたら、迷わず本機種を選択したい。火を起こせれば暖を取ったり、のろしで合図したりもできる。大容量バッテリーは、キャンプライトは明かりを確保する上でも心強い。
正直、このような機能を備える機種こそ「変態スマホ」といえる。実際、MWC2026のベストオブショーの一角に選出したメディアも複数あり、その存在感は際立っていた。そんな常識外れな機能を持つスマホが、MWCという最先端の舞台で注目を集めた。これもまた、スマートフォンの「在り方」の1つの答えだと感じた。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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