「ソフトバンクの株価なぜ低迷」「料金値上げの影響」「PayPayに次ぐ新事業は?」 株主総会での質疑応答(1/2 ページ)
ソフトバンクは株主総会を開催し、宮川社長らが株価低迷やAIへの投資、料金改定などの質問に回答した。AI事業が収穫期に入ったことをアピールし、ネオクラウドや次世代メモリなどの新規領域の進捗を示した。宇宙データセンターへの参入は否定し、国内のインフラ拡大を急ぎ地球上で圧倒的優位を築く方針を語った。
ソフトバンクは6月23日、第40回定時株主総会を開催した。都内の会場で993人、オンラインで264人の合計1257人が出席。同社代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏が議長を務め、2025年度の業績を動画で振り返った後、5月に発表された新中期経営計画(2026年度から2030年度)を同氏が説明した。
AI関連事業が利益の収穫フェーズに入ったことをアピールした他、10月から提供を開始するネオクラウド事業や自社開発する革新型バッテリー、次世代メモリなどについて紹介した。
その後の質疑応答では、株価低迷、不正取引やサイバー攻撃対策、データセンターやAIサービス開発におけるパートナー、ワイモバイル料金改定についてなど、多彩な質問・提言が出された。回答は宮川社長と、一部を創業者で取締役の孫正義氏が行った。主なやりとりは以下の通りだ。
株価低迷の理由に質問集中 収穫期に入りながらも成長を約束
―― 5月の通期決算発表でもしっかり利益を出しており、増配の予告もあったが、株価に反映されてこないのはなぜか。
宮川氏 本当にふがいない話。日経平均株価が7万円台に上昇している中で、当社が置いてきぼりになっていることを悲しんでいる。われわれの行っているAIへの投資が本当に回収できるのか、不安に思っている人が多いからだと思っている。当社の実力や将来性が反映されていないと感じている。AIへの投資は収穫フェーズに入った。近いうちに必ず結果をお見せできると考えている。
―― ソフトバンクグループの株価は急騰しているが。
宮川氏 成長の止まった通信業界という側面があるのではないか。金利上昇が続いている局面では評価されにくいのかもしれない。この5カ年でAI投資をしっかりと行い、収穫期に入ったという結果を出し、さらに成長し続けることで市場の評価も徐々に変化していくと考えている。
ソフトバンクグループについては、孫さんが情報革命の未来を予見して、ArmやOpenAIへの大胆な投資を行ってきたことが、今の株価上昇につながってきたのではないか。当社も今後のAI時代を見据え、AIデータセンターなど一番時間のかかる建設を伴うインフラ投資を積極的に行ってきた。AIサービスの開発にも注力してきたので、大きな成果に結び付けて株価を向上させていきたい。親(ソフトバンクグループ)の背中はまだまだ遠いが、追い付けるように精いっぱい頑張りたい。
孫氏 私はこれからさらに頑張りますよ(笑)。宮川君にはいつも発破をかけている。果敢に挑戦する文化はソフトバンクにも大いに受け継がれているので、ぜひ楽しみにしていただきたい。
―― ソフトバンクは投資、そして営業の会社というイメージが強くて株価が上がらないのでは。ソフトバンクの研究開発体制を知りたい。
宮川氏 会社を設立した孫さんは、どちらかというと技術畑(出身)。私も当社にジョインしてから15年、CTOを務めており、どちらかというと技術畑。当初は資金的に苦しい中で戦ってきたので、まずはベンダー側にわれわれのアイデアを伝えて開発してもらい、数を買うというコミットで支援献金に置き換えてやってきたり、孫さんが得意な投資をしながら研究に強い会社と連携し、その技術を取り込んでみたりといった形でやってきた。
私が社長になった5年前、先端技術研究所を設立し、予算を乗せて、やりたかった研究をし始めた。その中で生まれてきたのがバッテリーやHAPS。これからも積極的な研究開発をしていきたい。東京大学と一緒にやっている「Beyond AI」というプロジェクトも今年(2026年)で6年目になる。これは10カ年の計画で、当社から10年で200億円ほど投資し、AIの最先端研究をしている。今後も国の機関、大学、研究機関との連携も模索しながら、グローバルな視点を持って研究開発に注力したい。
―― 株主優待を始めたが、どのような効果があったか。長期保有の株主に対して優待を充実させる考えはあるか。優待の申し込み方法やもらえる時期が分かりにくい。
宮川氏 株主優待は、ソフトバンクを長く応援してくださる株主を増やしたいという思いで導入した。若い人でも買いやすくするために、株式分割も合わせて行った。株式分割後、株主数は100万人増え現在185万人。40代以下の株主の割合が4割を超えている。うれしいことに、新たな株主の中の2割以上が買い増しをしてくれた。当社を応援してくれる人は確実に増えていると感じている。
株式の保有期間や株数に応じた優待を望む声をたくさんいただいているが、まずは会社を成長させ、株主への分配を増やしていくことが大切だと考えている。その上で株主優待の在り方について引き続き検討していく。
優待の申請方法や付与時期が分かりづらいという意見は真摯(しんし)に受け止めている。PayPayアプリの活用も含め、より簡単で分かりやすい仕組みへと改善していく。
不正やサイバー攻撃への対策、料金値上げの影響は?
―― KDDI子会社で架空取引による不正があった。ソフトバンクでは子会社のガバナンスをどのように確保しているか。
宮川氏 子会社は300社を超えている。子会社の不正は決して他人ごとではない。実際、当社の子会社イーエムネットジャパンで不正な取引があった。この件を受け、子会社における内部統制の強化、当社によるグループ会社のモニタリング強化など、必要な対策を実施している。上場会社もあるので子会社の自主性を尊重しながらも、不正を未然に防ぐ仕組み作りをグループ全体で進めていきたい。
―― アスクルで起きたサイバーインシデントの教訓を、グループ全体でどのように生かしているか。
宮川氏 アスクルの件は、業務委託先で付与していた管理者アカウントが乗っ取られ、そこから侵入された。この件が発生した直後、グループ全体で総点検を行った。業務委託も含めて、システムにログインする際のセキュリティ対策を強化した。この経験を教訓として生かし、セキュリティレベルのさらなる向上を目指していく。
―― NTTやKDDIと比較すると自己資本比率が低く、財務健全性が弱く感じる。
宮川氏 自己資本比率がNTT、KDDIと比べて低いという点は認識している。ただ、この点だけをもって当社の財務健全性が弱いとは、まったく考えていない。企業の成長にとって大事なことは、安定してキャッシュフローを生み出せているか、借入を適切に管理できているか、将来の成長に向けて必要な投資ができているかの3点だと思っている。
当社は通信事業を中心に安定したキャッシュフローを生み出し、その上でAIデータセンターといった将来の成長領域に投資しているが、正直、攻め足りないとすら思っている。NTTは逓信省時代もカウントして約140年の歴史があり、KDDIも約70年の歴史を持つ会社。ソフトバンクは通信事業を開始してまだ25年ほどの会社。ここまで成長してきたが、まだ完成された会社ではない。まだまだ伸びていける会社で、今はブレーキを踏む時期ではない。
AIが社会インフラになる大きな時代の変化の中で、仮に守りに入ってしまえば将来の成長機会を逃してしまう。今は成長し続けることが、20年後、30年後のソフトバンクの企業価値を作ると考えている。もちろん、無理な投資をするという意味ではない。財務規律を維持しながら投資を行っていく。
―― 6月、7月にY!mobileの料金が改定される。私自身、Y!mobileユーザーで株主。料金改定の経営インパクトはどの程度か。
宮川氏 料金値上げになるので、経営の視点ではポジティブ。今年後半ぐらいから効いてきて、来年(2027年)、再来年(2028年)と積み上がった利益が加わってくる。コンシューマー事業は一時期、料金値下げで(業績が)下がったが、その後はV字反転を続けており、今年も来年も再来年も続けていく計画。その中の一要因として今回の値上げもある。ユーザーとして値上げを受け入れるのは嫌かもしれないが、何から何までコストが値上がりしており、ご理解いただければと思っている。
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