20代の筆者が2026年に「カセットウォークマン」へ回帰した理由 タイパ時代にあえて“不便”を選んで発見したこと(2/2 ページ)
20代の筆者がフリマアプリでジャンク品のソニー製カセットウォークマンを購入し、自ら修理して使い始めた。サブスク全盛の現代にパケット消費のないラジオや、録音・選曲に縛りのあるアナログ特有の不便さを楽しんでいる。効率や便利さとは真逆にある道具としての手触りや、制限があるからこそ愛着が湧くカセットの魅力を紹介する。
好きなデザインで選べる中古カセットの沼
カセットでオリジナルアルバムが作れると分かると、いろいろなアルバムを作りたくなるが、数百円する新品カセットテープをたくさん買ってはお金がかかってしまう。そこで、フリマアプリで中古のジャンクカセットをたくさん買ってみた。平均すると1個あたり100円以下だ。
昔のカセットは、いろいろなメーカーから発売されており、それぞれデザインが違うのだと感じる。また、通常のカセット(ノーマルポジション)だけでなく、より音質を追求したハイポジション、メタルポジションというカセットもあるらしい。そしてどうやらハイポジ・メタルテープはもう中古品しかないようだ。自分はせっかくなので同じソニー製でハイポジのカセットが入ったセットを購入した。そういう選び方もいいし、好きなデザインのカセットを選ぶ、という楽しみもあるのかもしれない。
ちなみにメタルテープの未開封品は万を超えるものもあるらしい、何と恐ろしい……。
中古カセットを買うと、たいてい消音されて届くが、ラジオの録音やアルバムのダビング、はたまた珍しいものだとバンドの練習録音や読み聞かせ音源が入っていることもある。
個人的には、そういうのは当たりだと思う。もちろん上書き録音してオリジナルアルバムを作るのに使ってもいいが、その前に昔このカセットがどうやって使われていたのかに思いをはせてみるのも1つの楽しみ方だ。自分が買ったものの中で一番の当たりはスピッツのアルバムがダビングされていたもので、かなり古い品だが音質もよく、上書き録音することなく今でも楽しませてもらっている。もちろん昔のアルバムを聞くのもよしだ。
ここまでカセットでどのように遊ぶかという話をしてきたが、もちろん素直にアルバムを聞くことも可能だ。
とはいえ、最新音楽のアルバムはほとんどないので、まず手軽にできるのがリサイクルショップでジャンクカセットを買うことだろう。昔の演歌などは大体数十円で投げ売りされているので、プレーヤーを持って好きな音楽を探してみるというのもまた楽しい。
また、誰しも実家に戻ればたいてい何かしらのカセットテープがあるはず。そういったものを掘り出して、この時代はこんな曲が流行っていたのかと聞き直してみるのも面白い。
僕の場合は親戚から「もう使わないから」と香港音楽のアルバムを何個かいただいたのだが、これまたどの曲もいい曲なのである。古いカセットだからノイズキャンセリングのDolby NRに非対応で、サーというホワイトノイズが強いのだが、その分ハイキーな音楽がジャカジャカとノッて気分もアガる。見よう見まねで中国語のラップを口ずさみながら散歩をすると最高に気持ちがいい。
いま、あえてカセットウォークマンを選ぶ理由
2カ月ほどカセットウォークマンと過ごしてみて、すっかりその魅力にハマってしまった。
まずはやはり絶頂期のソニーが作ったプロダクトとしての格好よさが一番の魅力だ。金属のずっしりとした重みがあって、それを自分で分解して中身がみっちり詰まったメカニカルな構造を目の当たりにすると道具としての手触りを感じてワクワクする。
何でもできるデジタルから逆に縛りのあるアナログに回帰することの心地よさもある。データ通信量を気にせずにラジオで面白い番組に出会い、限られたテープの中に好きな音楽を詰め込んで繰り返し聞く。効率や便利さとは真逆にあるけれど、だからこそ大切に扱っている感覚になれる。
令和の今、あえてアナログなデバイスをポケットに入れて歩くだけで、いつもの散歩道が楽しくなる。最新のデバイスを追い続けるのもいいが、たまにはこういう懐古的なことをしてもいいな、そう思えた1台になった。
最近じわじわとアナログ熱があるようで、少し前に東芝からAUREXブランドで「Walky(ウォーキー)」が復活したり、オーディオブランドのFIIOや、3COINSでもカセットプレーヤーが発売されたりした。中古のウォークマンはハードルが高いかもしれないが、そういったところからカセット入門、いや回帰してみるのもいいかもしれない。スマホとは違った楽しみ方を味わえるのでおすすめだ。
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