激レア“完全機械式”チェキ「TTArtisan 203T」先行レビュー エモい撮影体験と、試作機ならではの不満点(5/6 ページ)
2026年春に同社のグローバルサイトでひっそりとβテスターが募集されており、何げなく応募したところ選ばれたというのが入手の経緯である。ほれ込んだ魅力も、正直うんざりした欠点も包み隠さず率直にレビューしていく。
シャッタースピードの限界と、フィルターネジがないことによる露出調整の難しさ
完全機械式ゆえに内蔵露出計がない点にも注意が必要だ。チェキフィルムはダイナミックレンジ(許容露出幅)が極めて狭く、厳密な露出決定が求められる。しかし、これを肌感覚で行うのは到底無理であり、単体露出計やスマートフォンの露出計アプリの利用が必須となる。
その際にネックとなるのがチェキフィルムの仕様だ。本家の暗いレンズ(F12.7)を補うため、チェキフィルムはISO800という高感度に設定されている。一方で、TTArtisan 203Tの最高シャッタースピードは1/300秒と遅い。
レンズシャッターという機構上、またベース機がISO100以下のフィルムを前提とした時代のカメラであることを踏まえれば仕方ないとはいえ、快晴の屋外などでは1/300秒・F22の最小絞りでも露出オーバーになってしまうシーンが存在する。
こういったシーンでは、減光用のNDフィルターをレンズに装着して解決するのが定石だが、驚くべきことにTTArtisan 203Tのレンズ先端にはフィルターネジが切られていない。ハードウェアのスペック上、露出オーバーになることは容易に想像できたはずである。
香港MINT社が製造する蛇腹チェキカメラ「InstantKon」シリーズも同様の課題を抱えているが、あちらはレンズにフィルターネジが用意されており、純正のNDフィルターもオプション展開されている。TTArtisan 203Tの場合、「フィルターを付けたまま蛇腹を収納すると機構が破損するリスクがある」ために搭載を見送ったのだと推測されるが、物理的にネジが切られていない仕様には理解に苦しむ。
細かい点で課題が多く、まだまだ試作機だと感じる
この他にも、細かい課題は散見される。カメラ上部にはアクセサリーシューが搭載されているが、電子接点を持たないただの溝、いわゆるコールドシューとなっている。チェキといえばフラッシュ撮影が定番だが、シャッターと連動したフラッシュ発光はできない。定常光のLEDライトや、外付けのクリップオン露出計などを装着するためのものと割り切るしかない。
操作性や品質で微妙に気になる点もある。例えばフィルム排出ノブは、回す方向の表記がなく操作時に迷いが生じる。さらに、カメラを上下反転させると自重でノブが落ちてくるなど、ビルドクオリティーの面で不安を覚える部分があった。
また、本体は光沢のある金属仕上げである一方、蛇腹の収納部は梨地仕上げで質感が統一されていなかったり、ストラップホールが後付け感の強いパーツだったりと、「あくまで試作機なのだな」と感じさせる細かな不満点が残る。
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