激レア“完全機械式”チェキ「TTArtisan 203T」先行レビュー エモい撮影体験と、試作機ならではの不満点(6/6 ページ)
2026年春に同社のグローバルサイトでひっそりとβテスターが募集されており、何げなく応募したところ選ばれたというのが入手の経緯である。ほれ込んだ魅力も、正直うんざりした欠点も包み隠さず率直にレビューしていく。
蛇腹の光漏れ問題で交換することに、製品化には品質が安定するかが課題
しばらくテスト撮影を続けていると、チェキフィルムを縦構図にした際の左上部分に光漏れ(感光)が発生していることに気づいた。蛇腹部分のピンホールなどが原因とみられ、最終的に新品交換の対応となった。
遮光性を保ちながら柔軟に折りたためるフィルムカメラ用の蛇腹を製造する技術は、現代ではほとんど枯渇していると聞く。歩留まりが悪いといううわさ通り、蛇腹の製造には相当な苦労をしていることがうかがえる。
さらに本機には、ベースとなったクラシックな中判カメラ同様の厳密な「お作法」が存在する。
例えば、「蛇腹を収納する際はピントを無限遠に合わせないと破損の恐れがある」「シャッターをチャージした後は機構に負荷がかかるため速やかに切る」「チャージ後にシャッタースピードを変更すると機構にダメージを与えるため厳禁」といった具合だ。正しい手順を守らなければ容易に壊れてしまう、極めて繊細なカメラなのである。
βテストを通じて、品質や操作性にまだまだ課題が残るカメラであると痛感した。とはいえ、新進気鋭のメーカーがこのような挑戦的なプロダクトを市場に投入しようとする姿勢は、大いに歓迎したい。
TTArtisan 203Tは、本家Instaxのような「みんなでワイワイ撮る」カメラではなく、武骨なメカニズムを操りながら、一枚の写真と深く向き合うための孤高のカメラだ。最終的に製品化されるかは未知数だが、このコンセプトが深く刺さる写真愛好家は少なくないはずだ。不満点がブラッシュアップされた完成版が市場に登場することを、心から願っている。
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