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富裕層向けカードの潮流が変化 アメックス、三井住友、ダイナース、ラグジュアリーカードが狙う“特別な体験価値”とは?(1/2 ページ)

富裕層向けプレミアムカードでは物消費から体験価値へのニーズ変化が起きており、各社がイベント提供を強化している。アメックスや三井住友カードは貸切イベントや独自カスタマイズの限定体験で顧客との接点を拡大させている。ダイナースやラグジュアリーカードも限定グルメや会員同士の交流機会を用意し、独自の価値を提供している。

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 富裕層向けのプレミアムカードでは、会員特典として、レストランやホテルの優待、国内外の空港ラウンジの利用、コンシェルジュサービスなどが受けられるのが一般的だ。

 だが最近では会員のニーズが変化し、モノを所有することよりも、特別な体験や経験をすることにシフトしている。その傾向は特に若い人ほど顕著なのだそうだ。

 そのため、各カード会社では、独自の体験価値が得られるイベントなどを多く提供している。一体どのような体験価値が得られるのか。アメリカン・エキスプレス、三井住友カード、ダイナース、ラグジュアリーカードの4社に聞いた。

アメリカン・エキスプレス:唯一無二の興奮が得られる会員限定のエンタメ体験

 1993年に日本初の「プラチナ・カード」を発行したアメリカン・エキスプレス。日本のプレミアムカードのパイオニアとして、アメックスでしか得られない体験を意識する。中でもスポーツ、芸術、音楽などのエンターテインメント特典では、会員限定イベントの先行申し込みや専用エリアなど、プラチナ・カード会員だけの特別体験を用意している。

 例えば、グローバル・オフィシャル・パートナーであるF1では、アメックス独自のスペシャルな現地観戦を提供。ビリー・アイリッシュなど、チケット獲得困難なイベントの先行販売や、紅葉時期の清水寺の貸切ナイトビューイングなど、通常では得難い体験を用意する。2024年には日本最大級の野外音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」の協賛を開始した。

 「アメックスがターゲットとするアクティブに人生を楽しんでいる層と、フジロックの参加者が合致していると考え、スポンサーシップを開始しました。アメックス独自の体験価値を感じていただきやすいと感じています。昨年(2025年)は初年度と比較するとアメックスブースへの来場者が大幅に増え、認知度がより高まった印象です」と、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド 広報の浅見健介氏は説明する。

プラチナ・カード
年会費16万5000円の「プラチナ・カード」

 3年目となる2026年は、アメックスのカード会員限定で特別価格のチケットを販売。プラチナ・カードの新規入会特典としては、3日通し券、越後湯沢駅付近のNASPAニューオータニの2泊3日の宿泊、3000円分のドリンクチケットなど、豪華特典を用意したところ、大きな反響が得られたという。

 現地では、アメックスブースの隣に、プラチナ・カード会員限定のラウンジを併設。野外イベントだけに、雨宿りや日差しを避ける休憩スポットとして利用するなど、多くの会員が訪れた。中には、「昨年のフジロックでアメックスの協賛を知り、今年プラチナ・カードに入会した」と語る会員もいたそうだ。

 会場内の多くの対象店舗では、アメックスのカード決済で10%キャッシュバック(上限3000円)を実施。このキャッシュバックキャンペーンは初年度から好評で、2025年と2026年夏にも実施された。

アメックス
FUJI ROCK FESTIVALでのアメックスブース。今夏は隣にラウンジが初登場した
フジロック
フジロックの思い出を語り、その興奮レベルに合わせてキャップやバンダナなどをプレゼントした
プラチナ・カード
プラチナ・カード会員限定のラウンジ

 アメックスでは、7月1日にプラチナ・カードをリニューアルし、トラベル、ダイニング、エンターテインメントの特典を強化。10万円分の海外航空券のクーポンや、1泊5万円相当の無料宿泊など、新たな5つの特典を用意した。

 「今後も日本独自のパートナーシップや、アメックスが持つグローバルネットワークを活用するからこそ実現できる体験価値に、より磨きをかけていきたい。イベントを目的に旅やダイニングの特典を利用するなど、それぞれの体験価値が積み重なることで、よりアメックスの会員であることの価値を感じていただければと思います」(浅見氏)。

三井住友カード:多様化するニーズに応える独自カスタマイズによる上質な体験

 Visa最上位の「Infinite(インフィニット)」ランクのカードとして、2025年9月に「三井住友カード Visa Infinite(以下、Visa Infinite)」、2026年5月に「Oliveフレキシブルペイ Visa Infinite(以下、Olive Infinite)」を発行した三井住友カード。

 「富裕層の多様化や若年化、キャッシュレス比率の上昇による裾野の拡大によって、これまでのプレミアムカードに求められてきたステータス系サービスに加え、合理的な経済性を求められる方が増えていると感じています」と、三井住友カード 執行役員 マーケティング本部長の伊藤亮佑氏は話す。

三井住友カード Visa Infinite
年会費9万9000円の「三井住友カード Visa Infinite」
Oliveフレキシブルペイ Visa Infinite
年会費9万9000円の「Oliveフレキシブルペイ Visa Infinite」

 このようなプレミアム層の多様化を踏まえ、グルメ/ダイニング、アート、音楽/エンタメ、趣味/レジャーの4ジャンルをバランスよく展開。例えば食のイベントなら複数の有名シェフのコラボレーション、美術なら著名キュレーターによる解説、音楽なら会員限定の小規模なスペシャルコンサートなど、会員向けに独自カスタマイズをしたイベントを用意。Visaのスポンサーシップの活用により、国際的なスポーツ大会をテーマにしたイベントも開催する。

 既に実施したVisa Infiniteのイベントの中では、世界的なヴァイオリニストである千住真理子氏によるストラディバリウスの生演奏と美食を融合したイベントや、石川遼プロなど、憧れのプロゴルファーと同じフィールドでプレイできるスペシャルラウンド、Visaが協賛する「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」の特別イベントなどが特に好評だった。千住真理子氏のイベント参加者からは、「美しい音色に自然と涙があふれでてきました。期待した以上の素晴らしい体験に、とても満足しました」という感想があったという。

千住真理子
「千住真理子さんのバイオリンリサイタルと富麗華のお料理で新春を祝う午餐会」

 「Infiniteカードのイベントは、ここでしか得られない体験価値にこだわって設計しています。お金をかけても体験できないことに価値を感じる人が増えていると考えています」(伊藤氏)。

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