楽天モバイルの「ローミング継続」条件は本当に「エリア外」だけ? 2社のマップから見えた“食い違い”
2026年10月からKDDIによる楽天モバイルへのローミング提供エリアが大幅に縮小された。両社の公表マップには一部重複するエリアが存在し、ローミング条件の説明に食い違いがある。都市部でも限定的に提供が継続されており、今後の展開は流動的とみられる。
10月1日から、KDDIが楽天モバイルに提供しているローミングのエリアを大幅に縮小した。
KDDIは「楽天モバイルとの現行の枠組みでのローミング提供は2026年9月をもって終了し、10月から新たなローミングの枠組みに合意している」と説明する。
この新たなローミングの枠組みでは、「楽天モバイルが自社で提供しているエリアについては9月末でローミング提供を終了し、楽天モバイルが自社で提供していないエリアについては、楽天モバイルが基地局整備を行う大前提のもと、一部地域について今後も一定期間インフラ維持に協力する」としている。
依然としてマップには“重複エリア”が存在
KDDIは9月末に10月以降のローミング提供エリアをマップで公開したが、このマップを見ると不可解な点が多い。確かに、横浜市や京都市などの都市部で大幅にローミングエリアは縮小しているものの、依然としてローミングを提供しているエリアは点在している。
例えば横浜市では、みなとみらい1丁目や2丁目の一部、馬車道などは10月以降もローミング対象になっている。しかし楽天モバイルが公開しているパートナー回線エリアマップを見ると、横浜市はほぼ全域が楽天モバイルのLTEエリアになっており、みなとみらいもしっかりカバーしている。つまりローミングと自社のエリアで重複している箇所がいまだ存在するのだ。
京都市内も、KDDIが公開しているローミング提供エリアマップでは、やはり市内の一部エリアがローミング対象となっているが、楽天モバイルのエリアマップでは自社回線でカバーされている。
つまり、10月以降にローミングが継続しているエリアは、必ずしも「楽天モバイルが自社で提供していないエリア」ではないと分かる。
KDDIの松田浩路社長は、2026年度第3四半期の決算会見で、楽天モバイルへのローミングは予定通り9月末で終了し、一部のルーラルエリアで継続する旨を説明していたが、横浜市のみなとみらいや京都市内はルーラルとは言いがたい。
KDDIと楽天モバイルでローミング継続エリアの認識にズレ?
10月以降もローミングを提供する条件について、KDDIに再度確認したが、「楽天モバイルの自社エリア外」で間違いないという。「都市部を中心に、当社のと楽天の自社エリアで重複している箇所があり、先方のエリア拡大により当ローミングエリア社の役割は十分に果たしたと判断、協議の上、楽天の自社エリア内でお貸ししているエリアは、26年9月末でローミング提供を終了することになったもの」とのこと。
KDDIの説明通りだとすると、10月以降のローミング提供マップは、楽天モバイルがカバーできていないエリアを意味し、「スカスカのネットワーク」と言わざるを得ない。しかし、実態としては楽天モバイルの自社エリアも含まれており、説明に食い違いが生じている。これは、「自社で提供していないエリア」の定義に関わってくる。
楽天モバイル側にも確認したところ、以下の回答が得られた。
「楽天モバイルが自社エリアを増強していくにつれてローミングは順次縮小していくことを従前よりご説明しておりますが、2026年10月以降も、この方針はこれまでと変わらず、楽天モバイルがカバーに時間を要するエリアに関しては、ローミングは継続されます。一方、楽天モバイルが十分カバーできているエリアはローミングを縮小していきます」
ローミングを縮小するのは「楽天モバイルが十分にカバーできているエリア」ということは、言い換えると、楽天モバイルのカバーが不十分なエリアがローミングの対象になる。そしてその中には、楽天モバイルのエリアも含まれている。そうでなければ、2社のエリアマップで重複する部分があることの説明がつかない。
なお、KDDIによると、ローミングは10月1日から順次終了するので、1日時点で切り替わるわけではないが、ローミング提供マップは、10月に順次終了するエリアも反映されているとのこと。
KDDI側のスタンスや説明を100%反映させるなら、本来ならローミングエリアはもっと減るはずだが、KDDIのローミング提供マップを見る限り、「思ったよりも残ったな」という印象を抱く。楽天モバイルのエリア外のみローミング継続とすると、通信品質が一気に落ちることを懸念した措置だと推測される。ユーザー視点で見ても、10月に入って、9月比で極端につながりにくくなったという人は少ないのではないか。
ローミングを継続するエリアの条件について、KDDIと楽天モバイルの説明にズレがあるが、ローミングを早く終わらせたいKDDIと、できるだけ延長したい楽天モバイルとの間で温度差が生まれているのかもしれない。
KDDIが「枠組み」という言葉を使っているのも気になった。これまで、KDDIと楽天モバイル、沖縄セルラーは、「契約」「協定」という形で期間を決めてローミングを提供してきた。今回は、あえて新たな契約を締結したり、協定を延長したりすることなく、枠組みとすることで、今後のローミング展開は流動的であることがうかがえる。
ローミングエリアは順次縮小される予定だが、完全終了して楽天モバイルが「独り立ち」するまでにはまだ時間がかかりそうだ。
なお、楽天モバイルは10月7日にエリアマップのデータを更新。現在は9月28日時点のデータを参照できる。
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