どのタイミングでどちらを選ぶべき?
ADSLvs.光ファイバー
「いつかはヒカリ」―1990年にNTTが現在の光ファイバーのもとになる「新高度情報通信サービス」構想を発表して以来、日本の通信業界の目標がこれだった。そして2003年のいま、光ファイバーの普及が本格化し始めた。“夢”だった光ファイバーが手の届くところまでやってきたのだ。
一方で、ADSLも進化している。数百Kbpsで開始されたサービスも、いまや12Mbpsまで高速化され、20Mbps超のサービスの開始も発表されている。
ADSLにするか、あるいは将来を考えて一気に光ファイバーにまで上り詰めるのが得策か、大いに迷うところだ。
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今回の調査では、ADSLとナローバンドの利用者に、光ファイバーへの乗り換えについて尋ねた。ADSL利用者の意向をまとめた図1では、「当面はこのままでよい」と回答した人が7割近く。そして、残りの約3割の人が、理由はさまざまだが「乗り換えたい」という気持ちでいる。その中で積極的に「光ファイバーを導入したい」という人は18.5%にとどまる。
一方、ナローバンドを利用している人の中で光ファイバーを希望する人は33.1%(図2)。58.9%いるADSL希望者の半分強という結果となった。“ADSL強し”である。その最大の理由は料金であろう。いくら高速でコストパフォーマンスが優れていても(5ページ参照)、そこに必要性を感じなければ、より安価なADSLの方がいいということである。
ADSL利用者に聞いた |
図1 現在、ほかのブロードバンド回線への乗り換えを検討していますか?
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ナローバンド利用者に聞いた |
図2 利用したいブロードバンド回線は何ですか?
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キーワードはIP電話とデジタル放送
では、今後、光ファイバーでなければならない状況は生まれるのだろうか。それを読み解く2つのキーワードがある。「IP電話」と「デジタル放送」だ。
IP電話の制約がなくなり、通常の一般電話と同じように使える電話に成長したとき、光ファイバーであれば一般電話を解約できる(ADSLは、そもそも電話回線を利用して通信を行うため、一般電話を解約することはできない)。これにより、一般電話の基本料金月額1750円のコスト減が可能となり、ADSLと光ファイバーとの料金差は一気に縮まる。ただし、電話番号がIP電話用のものに変わるという不利な面もあるが……。
また、デジタルテレビ放送も光ファイバーの魅力を引き上げる要因になるだろう。スカイパーフェクTV!は、今秋から光ファイバーを利用したテレビ放送を計画している。2011年に廃止が決定しているアナログ放送に代わって今後主流になるであろうデジタル放送を光ファイバーで視聴する時代はすぐそこまで来ている。また、VOD(ビデオ・オン・デマンド)への期待も大きい。光ファイバー経由で見たいときに好きなビデオが見られるVODが普及すれば、家にいながらにしてビデオレンタルが可能となる。
光ファイバーが一般の家庭に受け入れられる魅力を備えるためには、上記のように、高速回線を生かしたサービスが本格化することが条件だ。逆にいうと、現状のままの利用形態が続くのであれば、当面は安価なADSLで十分ともいえるだろう。
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