#011 - FTTH Part.2 有線ブロードネットワークス編	High Speed Access

有線放送網に光ファイバーを敷設
100Mbpを月額数千円で

「有線放送」という言葉を聞いて何を連想するだろうか？　筆者の場合は、飲食店などに休みなく音楽を流し続ける特別な放送局というイメージを持っていた。しかし、この音楽の放送業者である有線ブロードネットワークス（以下usen：旧大阪有線放送社）が、いま光ファイバーを使った高速インターネット接続の提供者として一躍注目の的になっている。

　有線放送はその名が示すとおり、電柱に敷いた同軸ケーブルを利用して音楽番組などを契約者宅に直接配信するもの。usenでは全国740万本の電柱、距離にして約22万キロメートル（人口カバー率約80％）の同軸ケーブルを敷設済みだ。そして、このインフラを利用して新たに光ファイバー網を構築し、来年4月からFTTH*1（Fiber To The Home）による定額制の常時接続サービスを行う予定だ。

　本企画では、これまで数々のブロードバンドを紹介してきたが、usenが予定しているサービスは、これまでのものと比較するのがばからしくなるほどの超弩級のサービス内容だ。通信速度は何と100Mbps！ それでいて月額料金は、回線料金と接続料金込みで5000〜6000円（予定）だというから驚くほかない。同じ価格帯のxDSL*2接続が512K〜640Kbpsなので、コストパフォーマンスの面から見ると170倍近くお得となる。

　利用者として最も気になる部分は、usenが実施するFTTHのサービスエリア拡大予定だろう。現在、東京都世田谷区の赤堤というかなり狭いエリアで行われている実験は来年3月末で終了し、4月以降は世田谷区、渋谷区、目黒区、杉並区、大田区をエリアに本格サービスへ移行する予定だ。その後、来年の10月には、東京23区および11の政令指定都市にエリアを拡大し、2002年4月以降は各県庁所在地及び人口30万人以上の都市でFTTHを実現する。そして、2003年4月には全国の主要都市でサービスを開始するとしている。ただし、行政上の区分どおりに提供エリアが拡大する保証はない。「事業コストと採算性を見ながら展開するつもり」（usen宇野康秀社長）なので、一定以上の加入者が見込めない地域では提供されない場合もある。

■FTTHユーザーインタビュー

動画もリアルタイムで再生 　世田谷で鍼灸院を開く藤井雅弘さんは、診療所にパソコンを置いて、治療の合間にインターネットを楽しんでいる。今回の実験に参加するまでは、アナログモデムでインターネット接続をしていたが、「光ファイバーの驚異的な速さに愕然とした」という。アナログモデム時代はプロバイダが従量制だったこともあり、時間を抑え気味で利用していたが、光ファイバーになってからあまりの快適さに時間を忘れ、ついついパソコンの前に座る時間が長くなったという。 　実際に、ネットサーフィンを体験してみると、速いの一語に尽きる。画像だらけのホームページも一瞬の間をおいて、ストンッ！　という感じで表示される。ただし、相手先のサーバーや回線が遅いとどうしようもないが…。また、有線ブロードネットワークスが用意したネットワーク内の映画コンテンツもフルサイズ画面で、びゅんびゅんストリーミング再生される。ウラヤマシイ…。

藤井さん宅では、メディアコンバータは黒いケースに収められ窓の外に設置されていた。宅内にはLANケーブルで引き込む

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