News:MACWORLD Expo体験記 2001年1月11日 11:59 PM 更新

MACWORLD Expo体験記:ボーナス全部使っちゃったよ……

ラスベガスでCESの取材を終え,流れ着いたのはサンフランシスコ。「MACWORLD Expo」に潜入取材を試みた。

 米国ラスベガスで4日間にわたる「2001 International CES」の取材を終え,次にやってきたのは「MACWORLD Expo/San Francisco」が開催されるサンフランシスコ。CESとMACWORDの開催期間が重なっていたことと,サンフランシスコ経由で帰国する予定であったことから,「それならついでにMACWORLDも取材してきて」という指令が日本を発つ前に下されていたためだ。「まったく人づかいが荒いよな」などとぼやきつつ,実はPoweBookの愛用家であったりするため,取材半分,ミーハーな気持ち半分でMACWORLDの会場に乗り込んだのであった。


MACWORLD Expo/San Franciscoの会場である「MOSCOW COMVENTION CENTER」。会場の周りにJobs氏の基調講演を聴こうとする人で長蛇の列ができるのはいつものこと

 サンフランシスコ入りしたのは8日深夜。レジストレーションは9日の早朝に行うことに。基調講演が9時には始まってしまうため,長蛇の列を作っている人々を横目にあせって登録所へと向かう。オンラインで予備登録はしていたのだが,フォトIDとこれまでに執筆した記事のコピーをFAXし忘れていたため,事前登録が完了しておらず,「入れなかったりしないよな」という不安がよぎる。

 名刺を見せてみるも,予想通り,登録所の金髪のお姉さんに「それじゃプレス登録はできないわ」と断られる。だが,ここで諦めるわけにはいかないので,つたない英語で「I tried to send my Photo ID and articles. However, your fax machine was busy. So I failed」とハッタリをかましてみると,なにやらそばにいた別の係員と相談し始めた。そこで,パスポートを突き出しながら,「If you want to read my articles,access ITmedia. My articles are online」とトドメをさす。もちろん,プレスパスをゲット。オンラインメディアの記者で本当によかった。

30万円かぁ


昨年はさんざんだったAppleだが,今年はどんな1年になるのか
 潜入に成功したJobs氏の基調講演は,「今年は最初からガツンといくぞ」の言葉通り,新製品ラッシュ。特に,最後までもったいぶってみせた新型PowerBookについては,予想以上の変貌振りに披露されると会場は興奮のるつぼと化す(1月10日の記事を参照)。CESで聴いたIntelのGraig Barrett氏やMicrosoftのBill Gates氏の基調講演と比べると,Jobs氏の場合はキーノートというよりもライブに近い。プレス向けに用意された席に座っていたのだが,前列に座っていた少年は,ほとんど立ちっぱなしで,インスタントカメラで写真を撮っているか,雄たけびとともにJobs氏に盛大な拍手をおくっているのかどちらか。信者と揶揄される熱狂的なMacファンのようだが,本当にプレスなのか?

 講演の中でJobs氏は,2001年のAppleのビジョンとして「デジタルハブ」というアイデアを披露。これは,PalmのようなPDAや,シリコンオーディオプレー,デジタルビデオ,ならびにデジタルカメラといったデジタルデバイスを,Macを核としてつなごうというもの。「iTune」や「iDVD」といったツールは,デジタルハブを実現するものとして位置付けられる。

 だが,こうしたアイデアはJobs氏の専売特許ではない。CESの基調講演では,Barrett氏やGates会長も似たようなことを言っていた(1月7日の記事1記事2を参照)。2001年のPC業界は,Intel,Microsoft,Appleという代表的な3社が同じゴールに向かって舵を取るという構図で見ることができそうだ。

 さらに,Jobs氏の基調講演では,MacOS Xの発売日と価格も明らかになった。パッケージが3月24日で価格は129ドル。製品へのバンドルは6月からとのこと。そのMacOS Xのデモンストレーションでは,QuickTimeムービーをドックに格納した状態でも再生できる機能などが明らかにされ,会場からは歓声があがったが,そんなことをしたら全体のパフォーマンスが低下するのではないかと心配になってしまう。

 MACWORLDに何回も取材に来ているというある記者は,今回のMACWORLDについて,「あんまり活気がないね」と感想を述べていた。だが,新しいデザインのPowerBookを見ることができて個人的には非常に有意義なものだった。出張前,愛用していたPowerBook G3が損傷して修理に出そうとMac専門店に持ち込んだところ,ピックアップサービスしかないことを今さらながら知り「Windowsノートに乗り換えようかな」と考えたりもしたが,やっぱりPowerBookはかっこいい。多少の不便には目をつぶってでも,また買っちゃうんだろうなぁ。でも,30万円はちょっと高いかも……。ボーナス全部使っちゃたし。

[中村琢磨, ITmedia]

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