News 2001年4月6日 10:42 PM 更新

マイライン競争激化で信頼性は大丈夫?

 どこの事業者にしようかと,まごまごしているうちに,マイラインがすごいことになっている。各社ともに,相次ぐ値下げを申請し,コンマ数円の攻防にしのぎを削っている。自分の利益になるとはいえ,経営は本当に健全に維持できるんだろうかと心配にもなる。もっとも,がんばれば,ここまでできるんなら,「今まではいったい何だったんだろう?」と,ちょっとした腹立たしさも感じるわけで,競争がある社会というのは,すごいものだと痛感する。

 ただ,一般家庭において,通常の加入電話の重要性は,どんどん低いものになろうとしている。個人対個人のコミュニケーションは,確実に本人につながる携帯電話がメインになりつつあるし,比較的長時間の接続が前提となるインターネット利用も,DSLやケーブルテレビなどの定額ブロードバンドサービスへの移行が始まっている。このままいくと,自宅の電話を使う機会というのは,減ることはあっても,増えることはないんじゃないかという様相だ。

安くすれば,たくさん使う?

 現状では,マイラインの競争は,通信の付加価値よりも,その価格ばかりが強調されている。

 たとえば,うちの電話料金の場合,インターネット接続を定額の常時接続にしてから,電話料金に占められるデータ通信費が皆無になったのは当然としても,音声の通話までもが激減し,ダイヤル通話料は1カ月あたり,1000円あるかどうかといったところだ。3分を超えない市内通話を1カ月に100回程度としようか。たとえ,もっとも高い業者と安い業者との3分あたりの価格差が1円あったとしても,100円しか違いが出てこない。

 うちの場合,インターネット依存度がかなり高く,現時点では,電話の利用率はかなり低いほうだとは思うのだが,世の中の流れは,確実に,そういう方向に向かっている。データ通信分をほかのラインに取られてしまったら,電話を使う機会は減る一方だ。安くすれば,たくさん使うかというと,そういう問題じゃないと思う。1日は万民平等に24時間しかないからだ。

 こういう状況が,電話事業者の経営を圧迫をするようなことがあったらどうしよう。自分がマイライン登録している事業者が,その経営状態のために,設備を増強できず,電話がかかりにくくなるようなことがあったり,何か事故があったときに,それを迅速に解消できるだけのバックアップ体制を敷けなかったりといったことはないんだろうか。受話器をとれば,「ツー」という音がして,ダイヤルすればつながるという当たり前の状況が,ある日突然,そうではなくなるといったことはないんだろうか。

 少なくとも,ぼくの数少ない経験では,過去において,NCCと呼ばれる市外電話業者が出てきたころに,頭に,0088などの番号をダイヤルして電話ができなかったことはなかった。

 むしろ,コンサートチケットなどの予約に際してのダイヤルでは,NTTよりも,こうした業者を経由した方が,つながりやすいという噂もあった。実際,NTTでは,すぐに「たいへん混雑しています〜」のアナウンスが流れるけれど,別の事業者経由の電話では話中となるケースによく遭遇する。本当につながりやすくなっているのかどうかは分からないけれど,そういう手段で,難関チケットを次々にゲットしている人たちもいるようだ。

 東西NTTが,最後のアクセスラインを持っている以上は,(どうにも電話を使えないという)最悪の事態は回避できるだけの体制は整ってはいると思うが,この電話戦国時代,いったいどんなふうに収束していくのか,気になって仕方がない。

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[山田祥平, ITmedia]

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