News 2001年9月28日 09:52 PM 更新

シャープ,大画面の液晶TV「AQUOS」を発表(2)

ライバル“プラズマTV”との比較

 薄型大画面TVとして液晶TVのライバルは,なんといってもプラズマTVだろう。

 今回のAQUOSは,30V型で65万円からということで,インチ当たりの価格は約2万円となっている。プラズマTVも低価格化が進んでおり32型で実売40万円台のものも登場しているが,デジタルハイビジョン対応の高精細タイプとなるとやはり1インチ2万円となっている。つまり価格面では,互角ということになる。

 液晶のメリットは,省電力設計とディスプレイの長寿命性,コントラストの優れた視認性などだろう。消費電力は,32型のプラズマTVが300ワット前後なのに対して,AQUOSは154ワット(LC-30BV3)と約半分の電力で済む。ブラウン管タイプと比較しても「30%前後の消費電力削減ができる」(同社)というから,省エネという点では液晶が断然有利だ。

 耐久性はどうだろうか。セルが発光する自発光方式のプラズマTVは,セル自体の寿命問題が懸念されている。一方,液晶は,発光部としてはバックライトだけなので,必然的にプラズマTVに比べて長寿命となる。

 液晶方式である今回のAQUOSは,バックライト寿命を約6万時間としている。日数に換算すると1日8時間の視聴で約20年は持つ計算になる。TVの寿命としては十分過ぎるぐらいだろう。

 逆に液晶のデメリットは,自発光のプラズマTVに比べて視野角が狭いという点だ。しかし,今回の新製品では,プラズマTVとほぼ同等の上下左右170度という視野角を実現している。

 そして,なにより大画面化が最大の課題と言われていた液晶TVで,今回は30V型を投入してきた。さらに同社では,40型までの液晶TV製品化を明言している。「40型の液晶TVは,技術的にはすぐにでも製品化できる。あとは,歩留まりの問題などコスト面の課題をクリアできれば」(同社)という段階だ。

 21世紀の幕開けにふさわしい商品として,今年1月にセンセーショナルなデビューを飾ったAQUOSシリーズ。8月末現在で,累計20万台の出荷を達成するなど,販売は好調だ。液晶TVは,シャープが今年最も注力している商品であり,同分野にかける同社の意気込みは大きい。

 「40インチまで液晶TV,40〜60型は液晶リアプロジェクタかPDP,60型以上は液晶フロントプロジェクタでラインアップをそろえていき,液晶を使った製品で全てのインチサイズに対応していく」(同社常務・AVシステム本部長の濱野稔重氏)。

 主な仕様は以下の通り。

形名 LC-30BV3 LC-30HV3 LC-22SV3
画面サイズ 30V型 22V型
液晶パネル ASV方式低反射ブラックTFT液晶
視野角 上下左右170度
画面輝度 450カンデラ/平方メートル
接続端子 ビデオ入力×4,S入力×2,D4入力×2,モニタ出力×1,RGB×1,アンテナ入力×1,PC音声入力×1,ヘッドフォン出力×1 ビデオ入力×2,S入力×1,D1入力×1,モニタ出力×1,RGB×1,アンテナ入力×1,PC音声入力×1,ヘッドフォン出力×1
PC画像表示 XGA/SVGA/VGA VGA
サイズ(スピーカー,スタンド含む) 1002(幅)×497(高さ)×597ミリ(奥行き) 739(幅)×462(高さ)×250ミリ(奥行き)
重さ(スピーカー,スタンド含む) 約20.9キロ 約19.9キロ 約9.2キロ
価格 75万円 65万円 32万円
発売日 11月17日 12月5日 12月15日

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[西坂真人, ITmedia]