News | 2001年10月12日 07:15 PM 更新 |
壁面にエアコン操作用の「コントロールパネル」を表示,冷蔵庫の中身をテレビに「コピー&ペースト」――。今こんなことを言い出そうものなら,「パソコンのやり過ぎで妄想でも見てるんじゃない」とたしなめられてしまいそうだ。だが,ホームネットワーク時代には,こんな世界が実現するかもしれないのだ。
「CEATEC JAPAN 2001」の会場レポートでも少し触れたが,日立製作所デザイン本部では,ホームネットワークの普及を見据え,冒頭のような操作を実現する次世代インタフェースを開発中だ。
会場では,イメージビデオが紹介されていただけで,実際に“モノ”を見ることはできなかったのだが,今回,東京・国分寺の日立製作所中央研究所にこのシステムのワーキングモックアップが稼動しているモデルルームがあると聞き,早速,取材に出かけることにした。
ちなみに,このシステムを担当しているのは,デザイン本部の丸山幸伸研究員。名前に聞き覚えのある読者もいるだろう。そう,「ボタンのないPDA」の開発を担当していた人物である。今回の研究は,「Waterscape(ボタンのないPDAの名称)のときよりも,社内的には理解されやすかった」とのことだった。
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冷蔵庫に電子レンジ,エアコン,照明器具が整然とディスプレイとされたその部屋は,いかにもモデルルームと言った雰囲気だ |
「Next Era Human Interface for Home Network」。こう名付けられたインタフェースシステムの狙いは,各種家電がエコーネットでつながれた環境で,「デスクトップのGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)」をリビングルームに導入しようというものである。
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エアコンの操作もこの通り(動画を見る【mpeg1形式/約400Kバイト】) |
冒頭でも触れたエアコンの例で説明しよう。操作は,ボタンが2つだけ付いたシンプルなリモコンで行う。リモコンの光ポインターでエアコンを照射すると,その横に操作用のコントロールパネルが表示され,温度調節や冷房/暖房の切り替えなどを行える。
さらに,ボタンのないPDAと同じく“実世界指向”の機能も盛り込まれており,例えば,温度を上げたい場合は,リモコンを上方向に動かし,温度を下げたい場合は,反対に下に向けて動かす。
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これが光ポインター付きのリモコン。先端に光ポインターを装備。上が「Aボタン」,下が「Bボタン」 |
リモコンの2つのボタンには,PCのマウスのようにそれぞれ機能が割り振られていて,エアコンのスイッチを入れたい場合は,「Aボタン」をクリックする。また,エアコンの操作パネルを表示する場合は,同じくAボタンを,ダブルクリックするといった具合だ。
操作パネルが壁面に表示される仕組みが気になるところだが,これはプロジェクタから投影されている。
そのプロセスを,少し順を追って説明しよう。まず,光ポインターをエアコンに照射すると,ポインター追跡用のカメラに接続したPCがその座標位置を割り出し,どの機器に光ポインタが当てられているのかを理解する。この「どこに何がおいてあるのか」は,予め設定しておく。
同時に,リモコン内部の無線モジュールによって,押されたのがどちらのボタンなのか,またシングルクリックなのか,ダブルクリックなのかという情報がPCに伝えられる。最後に,PCからプロジェクタに対して,エアコンのコントロールパネルを投影するよう命令がいくというわけだ。
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モデルルーム用のシステム |