News 2001年12月4日 09:12 PM 更新

三洋とKodak,有機ELディスプレイ生産で合弁会社設立

次世代ディスプレイとして,本命視される有機ELディスプレイ。1999年以来,共同開発を行ってきた三洋とKodakは合弁会社を設立し,有機ELディスプレイ量産出荷に向け本腰を入れる。

 三洋電機と米Eastman Kodakは12月21日に,アクティブ型有機ELディスプレイの生産を行う合弁会社「エスケイ・ディスプレイ」を設立する。三洋電機グループで,フラットディスプレイ事業を統括する鳥取三洋電機の近藤定男会長は「有機ELディスプレイは事業化の段階に入った」と合弁会社設立の背景を説明する。

 新会社は,市場への早期参入を目指し,2002年2月より1〜7型の小型有機ELディスプレイの量産出荷を開始する予定だが,近藤会長は「最初の2〜3年は育成期という位置付け。本格的な有機ELディスプレイの普及は2005年になる」と見通しを語った。

 三洋電機岐阜事業所内に設立される新会社の資本金は4億5000万円。出資比率は三洋電機が66%,Kodakが34%で,今後段階的に増資を行う計画。2005年までの投資総額は500億円(三洋:330億円,Kodak:170億円)が予定されている。なお,新会社の社長には,三洋電機セミコンダクターカンパニーの清水英雄氏が,副社長にはKodakのディスプレイ事業部製造部門ディレクターのG.Rajeswaran氏が就任する。

 新会社の有機ELディスプレイ生産計画は,4段階に分けられる。まず,三洋岐阜工場に有機ELディスプレイ製造ラインを設置し,2002年2月より生産を開始する。低温ポリシリコン基板は三洋から購入する。「売上高は数十億円」(近藤会長)を見込んでいる。

 続いて,フェーズIIとして60億円の増資を行い,鳥取三洋工場の1棟(現在はアルファモスTFT製造工場)を有機ELディスプレイ生産ラインに移行。2003年4月稼動予定で,大型ガラス基盤(550×670/680×880ピクセル)を利用した有機ELディスプレイを生産する計画だ。

 そして,2005年には全てのラインがフル稼働するという計画。有機ELディスプレイの製造能力は,岐阜工場が年間500万枚(2.2インチ換算),鳥取工場が年間4100万枚(同)が見込まれている。

 「有機ELディスプレイの価格は,同サイズのアクティブLCDと比較して少し高くなるかもしれないが,歩留まりの問題が解消されれば,値段は下がっていくだろう」(同会長)


三洋が「WORLD PC EXPO 2001」に出展していたアクティブマトリクス方式の有機ELディスプレイを搭載した携帯電話

こちらは5.5型の有機ELディスプレイ

 携帯電話やPDA,カーナビ用途の小型フラットパネルディスプレイ市場は,2005年に8000億円規模になると見られている。そのうち,有機ELは2200億円程度と予測されるが,近藤会長は「新会社ではその30%に当たる700億円のシェアを獲得したい」と意気込みを語る。

 また新会社では同時に,有機ELディスプレイの大型化について,基本技術の開発も継続する。大型の有機ELディスプレイでは,ソニーが13型,韓国のSamsung SDIが15型ディスプレイを開発に成功している。「大型化にはまだ材料の改良が必要なほか,量産面での課題もある。だが,2004年にはテレビ用の有機ELディスプレイも狙いたい。サイズ的には,2005年に30型まではいかないといったところ」(近藤会長)。

 三洋とKodakは,1999年2月に有機ELディスプレイの共同開発を柱とする協業契約を締結。有機ELに関して多くの基本特許を保有するKodakと,有機ELと同じ電流駆動型の低温ポリシリコンTFTで培った技術を融合させ,同年9月にアクティブマトリックス型フルカラー有機ELディスプレイを開発,2000年5月には当時では世界最大の5.5型有機ELディスプレイの開発に成功した。

 こうした背景もあり,近藤会長は「新会社のコアコンピタンスは,有機EL材料の開発技術力と,低温ポリシリコンTFTの製造技術力にある」とアピール。次世代ディスプレイの最有力候補とされる有機ELディスプレイ事業での成功に自信をのぞかせた。

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[中村琢磨, ITmedia]

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