News 2002年2月21日 10:47 PM 更新

4社がepステーションを展示──仕様の違いをチェック!

世界初の蓄積型双方向サービス「epサービス」。専用受信機の「epステーション」は,デジタル放送チューナーとHDDビデオレコーダー機能を搭載しながら,8万円前後という価格設定が魅力となっている。発表された4社のepステーションをチェックしてみた。

 イーピーは2月21日,世界初の蓄積型双方向サービス「epサービス」を今年4月1日から開始すると発表した(詳細は別記事を参照)。

 発表会場では,松下電器産業/東芝/日本ビクター/シャープの4社が発売するepサービス専用受信機「epステーション」が発表・展示された。epステーションは,5月17日より順次発売される予定となっている。


展示された各社のepサービス専用受信機「epステーション」

 epステーションのハード仕様では,デジタル放送(BSデジタル/110度CSデジタル)のチューナーと56Kbps以上のモデム,60Gバイト以上の内蔵HDDを搭載することが基本性能として決められている。内蔵HDDは,20Gバイトをep放送の蓄積サービスに使うが,残りの40Gバイト以上はユーザーエリアとなっており,HDDビデオレコーダーとして使用できる。

 HDDビデオレコーダー+2つのデジタル放送チューナー+モデムというハードの性能だけを単純に考えても15万円以上になりそうなものだが,今回発表されたepステーションの価格は7万9800〜8万3800円と全機種が10万円を大幅に切った。

 販売形態は各メーカーからリリースされるのではなく,携帯電話のように基本的に「epブランド」として家電量販店や専門店などで売られる。ただ,やはり携帯電話と同じく,型番に「P」が付けば松下電器産業製といったようにどのメーカー製なのかがユーザーに分かるようになっている。

 発表会場に展示された各社epステーションをチェックしてみた。


東芝製EP-T100

 東芝製のEP-T100は,SDメモリーカードとスマートメディアのダブルスロットを搭載している。HDDは60Gバイトを内蔵,HDDビデオレコーダーとして利用できるユーザーエリアは,40Gバイトとなっている。前面に透明パネルを使用し,大型液晶表示を採用。見やすくデザイン性に優れたボディとなっている。

 HDDビデオレコーダーの予約番組は32番組と4機種中一番多く,480iから480pへのIP変換にも唯一対応しているのが特徴。価格は7万9800円。


松下電器製EP-P100

 松下電器製のEP-P100は,60GバイトのHDDを内蔵し,SDカードスロットを装備。iLINK経由でD-VHSへのデジタル編集が可能となっている。コンパクトながら文字入力がしやすい「かんたんリモコン」を採用。

 会場ではEP-P100のみが,メール機能が紹介されていた。メールの作成から送受信,添付画像の操作までリモコン1つで操作できるように,工夫されたインタフェースとなっている。添付画像の閲覧は拡大/縮小のほか左右への90度回転も可能。epステーションはハード仕様が共通となっている部分が多いが,このメール機能の部分などは各社が独自の機能を盛り込んでくる部分だけに注目したい点だ。価格は7万9800円。


日本ビクター製のEP-V100

 日本ビクター製のEP-V100は,実は松下電器のOEM。そのため,ハードの仕様はEP-P100と同じとなっている。ボディデザインに違いがあり,松下製がやや丸いイメージのフロントビューなのに対し,日本ビクター製はスクエアな外観となっている。展示されていた機器がモックアップであったため,メール機能など搭載されるアプリケーションに違いがあるかどうかは不明。価格は8万3800円。


シャープ製のEP-S100

 シャープ製のEP-S100は,80GバイトのHDDを内蔵し,ユーザーエリアが60Gバイトと他社モデルよりも20Gバイト容量が多い。SDメモリーカードスロットを装備。サイズが360(幅)×270(奥行き)×70(高さ)ミリと4機種中一番コンパクトに仕上がっている。リピート再生など多彩な特殊再生機能を搭載した。価格は8万3800円。

 各社epステーションの仕様は以下の通り。

製品名 EP-T100 EP-P100(EP-V100) EP-S100
HDD(ユーザーエリア) 60GB(40GB) 60GB(40GB) 80GB(60GB)
メモリーカード SDメモリーカード,スマートメディア SDメモリーカード(MMC含む) SDメモリーカード
予約番組数 32番組 24番組 16番組
サイズ:幅×奥行き×高さ(ミリ) 370×334×78 430×339×72 360×270×70
重さ 3.9キロ 4.2キロ 4.3キロ
共通機能 BSデジタル/110度CSデジタルチューナー,56Kモデム,D4端子,S出力端子,ビデオ出力端子,iLINK端子,ビデオコントロール端子(EP-S100は無し),EPG予約など

 epサービスは,リモコン1つで全ての操作が行える点が大きな特徴だ。そのためepステーションでは,リモコンが各社の“工夫の見せ所”となっている。

 東芝製EP-T100のリモコンはかなり大きめで,「決定」ボタンや「ep」ボタンの配列も独自となっている。チャンネル操作部の下側にアルファベットボタンが隠されている二重構造となっており,メール入力の際にはフタを開けて操作する。


EP-T100のリモコンは下側にアルファベットボタンが隠されている二重構造

 シャープ製EP-S100のリモコンは,BSデジタルチューナー用とよく似たボタン配列となっている。全体的に大きめのボタンを採用しており,上下左右のカーソルボタンや番組表,epボタンなどよく使うボタンは特に大きくなっている。


大きめのボタンを採用したEP-S100のリモコン

 一方,松下製EP-P100のリモコンはサイズの大きな他社と比べると非常にコンパクトに仕上がっている。「当社製i-mode端末を参考にした」(松下電器)というキー配列は,片手で操作できるコンパクトさも含めて携帯電話世代には使いやすいかもしれない。なお,松下電器OEMのEP-V100も同じリモコンが搭載される。


i-mode端末を参考にしたコンパクトなリモコン

 ただ,いくらリモコン1つで全ての操作ができるとはいえ,メールなど長文を入力する際にはやはり辛い。そんなメール活用派のために,epステーションではキーボード(EPK-100)もオプションで用意されている。PCやワープロと同じJIS配列となっているほか,epボタンやデータ放送ボタン,チャンネル/音量切り替えなど,リモコンと同じ機能ボタンが追加。epステーションとは赤外線で接続されるワイヤレスキーボードとなっており,どのメーカーの端末でも使用できる共通仕様となっている。

 価格は未定だが「片手(5000円以下)ぐらいの買いやすい価格を予定している」(イーピー)。


リモコンと同じ機能ボタンが追加された赤外線ワイヤレスキーボード

 今回発表されたepステーションには,通信機能として56Kbpsのモデムが搭載されているが,今年秋頃には10BASE-T/100BASE-TXを内蔵したADSL対応epステーションも登場する予定。ネットワークを利用したコンテンツ配信やストリーミングなどにも対応する。

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[西坂真人, ITmedia]

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