News | 2002年8月12日 10:54 AM 更新 |
ホビイストたちの自慢の2足歩行ロボットが、熱いバトルを繰り広げる「ROBO-ONE」。世界初のロボットの格闘大会として大成功をおさめた第1回大会から、まだ半年しかたっていないというのに、早くも第2回大会が開幕した。エントリーしたロボットは全部で72台。「前回大会を見て、絶対次は参加したいと思っていた」というホビイストも多い。このような情熱が、草の根のロボットムーブメントを支えているのだろう。
8月10日に行われた予選を見て、ロボットのレベルが非常に上がっていることに気が付いた。ラジコンで操縦するタイプが減少し、PCからコマンドを無線LANで送信するロボットが増えたほか、自律型ロボットまで登場した(動きはまだまだこれからといったところだったが)。前回大会では、予選には“インパクトだけはスゴイ”というロボットも多数見られたが、解説の芳賀義典氏(バンダイ戦略開発室)が予選について「これだけ全体のレベルが高いと、第3回大会はどうなるのか、今から本当に楽しみ。半年でこんなにレベルが上がるとは思わなかった」と絶賛したほどだ。
予選で注目を集めたのが、HMD(Head Mounted Display)を使用した加藤史樹さんの「ERC-H1」。ロボットの頭部にカメラを装備し、HMDでその映像を見ながらロボットの視点で操縦することができるのだ。実際の演技はどうだったかというと、「(ロボットの頭に)カメラを載っけたから、重たくなってしまった」と自ら言うように、歩いたかなと思ったら、バランスを失ってズッコケてしまった。
その瞬間のことだった。なぜか、加藤さんまで衝撃を受けて転びそうになった。もしかして、エヴァンゲリオンのように、マシンとシンクロしているのか!? と観客の誰もが想像したのだが、加藤さんによれば、「カメラの映像しか見ていないので、ロボットがどんな状況にあるのか分からない。(転倒時に)いきなりカメラの映像が激しく揺れはじめたので、驚いて反射的にのけぞってしまった」とのこと。実際のバトルになったら大変だろうな……。
第2回大会では、レギュレーションの変更により、「屈伸」ができることがエントリーの条件になっている。前回大会では、重心が低いマシンが有利になるという傾向にあったため、「より人間の動き近いロボット」になるよう大会委員会で工夫したわけだ。その甲斐あって、予選にエントリーしたマシンのほとんどに「ヒザ」があった。屈伸しなければならないのだから当然とも言えるが、そんな中、大会委員会の期待を見事に裏切ったロボットがいた。田中章愛さんの「AZ-D1 モリムラ」だ。
下の写真がAZ-D1だが、ほかのロボットではヒザがある部分に、1本のフレームがロボットと垂直になるように取り付けられているのが分かる(このフレームを仮に「フレームA」と呼ぶことにする)。股関節とフレームAを結ぶ2本のフレームが前後に動くことで、ロボットが伸び縮みするというわけだ。ヒザを前と後ろに「2分割」してしまうというアイデアに、解説者も「屈伸することが条件になってはいるが、屈伸については定義しなかった。こういうロボットが出てくることも期待していた」と評価した。
韓国でもパーソナルロボットは人気。
前回大会では、「先行者」の開発者をゲストに招いたROBO-ONE。大会委員会では海外交流を積極的に行っていく方針を打ち出しており、第2回大会には韓国ロボット協会の張事務局長が来日。韓国のロボット事情について解説した。
張事務局長がによれば、韓国では現在、50社程度が「パーソナルロボット」の開発を行っているという。「市場規模は20億円程度」(同局長)。お掃除ロボットや介護ロボットが主流で、日本のように2足歩行ロボットへの取り組みは進んでいないようだが、「今後は、ROBO-ONEと協力しながら、2足歩行ロボットの開発を推進していきたい」(同局長)と意気込みを語った。なお、ROBO-ONE大会委員会では、来年、韓国で「ROBO-ONEアジア大会」を開催する予定だ。
[中村琢磨, ITmedia]
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