News | 2002年10月16日 05:13 PM 更新 |
これは、ライティングソフトの対応が遅れていることが原因だ。つまり、前述したようにDVD-R/+RとDVD-RW/+RWは、ほとんど同じように使用できるが、ライティングソフトの対応が遅れ、メディアによってできることが異なってしまうのである(9月30日の記事参照)。
その良い例が、“追記”機能の実装だ。多くのライティングソフトは現在、DVD-R/+Rで使用するマルチボーダー/マルチセッションに対応する機能追加と、DVD-RW/+RWにおいてDVD-ROM互換を保ったままデータの追記を行う機能、DVD-RAMへのオーサリング形式(UDFブリッジ)での書き込みの実装を行っている段階にある。
このため、使用するメディアによって追記が“できる”“できない”といったことが起きてしまっている。メディアとしては同じように使えるにもかかわらず、だ。結局、ユーザーはこのメディアは追記できる、これはできないといったことを知って使う必要が生じている。
CD-R/RWドライブでも確かに追記についての問題はあったが、メディアによってできる・できないという話はなかった。しかし、現状の記録型DVDドライブでは、マルチ化されたドライブを使用する限り、ユーザーはある程度の基礎知識を持っていなくてはならない。
この問題は、すべてのライティングソフトが追記機能を実装すれば、いずれは解決されるものだろう。しかし、これはおそらく、これから半年ぐらいかけて徐々に行われていくはず。どのソフトでも普通に使用できる機能になるには、少々時間がかかるだろう。
将来はシングルドライブへ移行?
こうした点からみて、筆者は将来的にはデュアル規格ドライブではなく、DVDフォーラムまたはDVD+RWアライアンスのみのいずれかに対応するシングル規格のドライブに移行するのではないかと考えている。
最大の理由はコストだ。DVD-R/RWとDVD+R/RWなどのデュアルドライブは、ドライブの製造コストよりも、設計を行う場合に必要となるメディアの検証などに多くの労力(コスト)がかけられることになるからだ。つまり、DVD-R/RWドライブなら、2種類のメディアを検証のみを行えばよいが、デュアルドライブではその倍の4種類のメディアの検証を行う必要が出てくる。単純計算では、2倍の労力がかかる。ドライブの単価が下がってくると、これは製造する側にとって大きな負担となる。
また、将来的にはMt.RainierとDRT-DMのよく似た2つの規格をどうするかという問題点も出てくる(10月8日の記事参照)。例えば、デュアルドライブでは、片方しかサポートしないといったことを行うのであろうか。そうすると同じように使用できるメディアをユーザーに使い分けさせるという問題が今度は起こってくる。
では、両方実装するというのはどうか。これは、ファームウェアが複雑になるばかりか、やはり2倍の労力をかけて2つの規格がきちんと動作するか検証する必要が出てくる。現実的とは思えない。
結局、必要なのは、マルチ化された記録ドライブではなく、すべての規格をきちんと読み出すことができるように設計されたドライブなのだ。DVDプレーヤーなどの再生専用機などのことを考えると、ユーザーにとって最も不利益なのは、規格によって読める、読めないといったことが起きることだからだ。
記録機能としては――肯きたくないメーカーも少なくないだろうが――DVDフォーラムまたはDVD+RWアライアンスのいずれかがあれば十分なのではないだろうか。
[北川達也, ITmedia]
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