News 2002年12月5日 10:54 PM 更新

“成層圏プラットフォーム”の実用化は、どこが早いか?(1/2)

成層圏を浮遊する“高高度飛行体”を通信・放送サービスや観測・監視システムなどに利用する「成層圏プラットフォーム」構想。その最新状況や各国の取り組みが、5日に行われた「高高度飛行体IT基地研究会」で紹介された

 気象条件が安定している“成層圏”(上空20キロ付近)に、通信機材/観測センサを搭載した無人の飛行船やソーラープレーンなど“高高度飛行体”を滞空させ、通信・放送サービスの中継局や観測・監視システムなどに利用するという「成層圏プラットフォーム」構想が、実用化に向けて世界各国で動き始めている。

 ハイパメディアコンソーシアムは12月5日、「高高度飛行体IT基地研究会」を開催。成層圏プラットフォームで欠かせない飛行船など高高度飛行体の最新開発状況や各国の動向、そして日本でのプロジェクト取り組み状況などが紹介された。

 高高度飛行体については2001年11月の研究会で、成層圏プラットフォームの可能性については今年1月のシンポジウムで、その詳細が語られている(2001年11月13日2002年1月25日の記事を参照)。


高高度飛行体による成層圏プラットフォームの概念図

 成層圏に滞空できる高高度飛行体は、「飛行船」「ソーラープレーン」「ジェット機」などが考えられているが、実際に成層圏の無人飛行に成功しているのは現時点ではソーラープレーンのみ。米国AeroVironment社が開発を進めている「Helios」が、2001年8月の飛行試験で地上9万6500フィート(約30キロメートル)のフライトを成功させている。

 だが、ソーラープレーンが積載可能な重量はせいぜい100キロまで。ジェット機なら1トン弱の積載能力があるが、化石燃料を利用するため環境への影響や滞空時間に問題があるほか、パイロットも必要だ。通信/放送/観測/監視システムなどで本格的に利用するためには、1−2トンもの積載に耐えられて、無人飛行も可能な“飛行船”が本命といわれている。


成層圏プラットフォームは、飛行船が本命

 わが国の成層圏プラットフォームへの取り組みは、1998年度から文部科学省(旧科学技術庁)と総務省(旧郵政省)とが別々に行っていた。だが1999年に定められた新規産業を創出する新しい千年期のプロジェクト「ミレニアム・プロジェクト」に選定されてからは、両省庁連携のもと研究開発が進められている。実際の研究開発は、独立行政法人 航空宇宙技術研究所と通信・放送機構三鷹成層圏プラットフォームリサーチセンターとが連携、産官学での協力体制の構築を図りながら実施している。

 だがこの分野の研究で、日本は欧米にかなり先を越されているというのが実情だ。

 航空宇宙技術研究所の江口邦久氏は「国内での成層圏プラットフォームの取り組みはせいぜい5年程度のもので、実際の飛行船(技術実証機)を飛ばすまでにはそうとうの年月が必要。だが、米国のLockheed Martin社はこの分野で80年の歴史があり、英国のATG会社も30年前から取り組むなど、民間企業レベルで数十年前から研究が始まっている。各国での実機による実証時期も、2003−2004年に集中するなど、早期の実用化を狙っている」と語る。


各国が開発を進める飛行船

 特に米国では、昨年9月11日の同時多発テロ以降、上空からの定点監視システムに使うといった“テロ対策の手段”として飛行船が注目されるといった追い風もある。

[西坂真人, ITmedia]

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