News 2003年1月15日 08:28 PM 更新

Intel、2003年重点投資分野の“中身”

インテル幹部が2002年の業績や2003年の経営方針および製品戦略を語った。好業績の要因は? Centrinoや90ナノメートルプロセス技術など最先端技術への先行投資が意味するものは?

 インテルは1月15日、米Intelが14日に発表した2002年度第4四半期および通年決算に関する説明会を実施。ジョン・アントン社長など同社幹部が、2002年度の実績に基づく2003年度の経営方針および製品戦略を語った。


 Intelの2002年度第4四半期(10−12月)は、売上高が72億ドル(前年同期比3%増)、純利益が10億ドル(前年同期比108%増)と比較的堅調だった。2002年度通年でも売上高が268億ドル(対前年比1%増)、純利益が31億ドル(141%増)と、売上の伸びは微増ながらも、高い利益率を確保している。

 アントン社長は「コンピュータ及び通信業界は史上最悪の景気低迷に直面している。もちろんIntelもそうだ。だがわれわれは、例えば設備投資には47億ドル、研究開発には40億ドルを費やすなど、技術・製品開発、研究設備などに多大な投資を行って技術革新を推し進めた結果、各製品分野で著しい伸びを獲得した」と2002年度の業績を振り返る。


ジョン・アントン社長

 そのIntelが2003年に掲げるテーマが「コンピューティングと通信の融合」。この方針を象徴する製品が、先日、新ブランド名が発表された次世代ワイヤレスモバイルコンピューティング向けプラットフォーム「Centrino」だ。

 同社取締役通信事業本部長の高橋恒雄氏は「2003年度の研究開発費は、2002年度とほぼ同じ約40億ドルを予定。このほとんどが、コンピューティングと通信の融合や、プロセス技術の研究に使われる。デスクトップ向けでは昨年投入したハイパースレッド技術を中心とし、モバイルPCではCentrinoに力を入れる。Centrinoは2003年の上半期中には発表できるだろう。また、2003年の下半期に90ナノメートルのプロセス技術を使った通信チップを投入する予定。このような先進技術で、コンピューティングと通信の融合を進めていく」と語る。


同社取締役通信事業本部長の高橋恒雄氏

 300ミリウエハーへの移行も、大きな変革の1つだ。300ミリ(12インチ)のウエハーは、現在主流の200ミリウエハーよりも直径が50%長く、表面積は225%大きくなる。ウェハーの大型化によって、従業員数/工場数/製造時間などが同じでも、これまでより多くのプロセッサを製造できるため、製造コストが大幅に減少する。

 同社取締役開発・製造技術本部長の城浩二氏は「2003年の設備投資金額(35億−39億ドル)の85%が製造関係だが、このうちの9割が300ミリウェハーと新分野への投資になる。ちなみに、計画したのと同じ規模の製造を200ミリウェハーでやろうとすると、さらに10億ドルの投資が必要となる。300ミリウェハーへフォーカスすることで、効率よい投資を行っている」と語る。


同社取締役開発・製造技術本部長の城浩二氏

 さらに城氏は「トランジスタの技術進化を表すのにわれわれはムーアの法則を引き合いに出すが、ムーアの法則が適用できるということは、今の技術を延長しながら性能アップができるということ。とてつもない大発明や大発見がなくても、トランジスタの技術革新は行えるのだ。昨年、90ナノメートルのテクノロジーをアナウンスしたが、実際にわれわれは15ナノメートルまで検証し、向こう10年間はムーアの法則が適応できるとみている」と語り、同社の技術力の高さをアピールした。


別会場で参考展示されたCentrino搭載ノートPC。左が松下電器製、右が東芝製

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[西坂真人, ITmedia]

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