News 2003年2月24日 09:43 AM 更新

2004年、モバイルPCはこうなる(2/2)


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 セカンダリディスプレイは、電子メールやインスタントメッセージサービスに常時接続し、PCで管理するスケジュールやアドレス帳へアクセスする機能がある。また継続的に社内システムと接続し、情報を同期する機能も備えているという。ディスプレイの横には、簡単な操作ボタンも3つ用意されていた。

 このディスプレイを活用することで、社内データ、PC内のローカルデータの両方にPCの液晶を開けることなくリーチできる。またセカンダリディスプレイ利用時には、システムのごく一部だけに電源を供給すれば良いため、常時オンのまま利用してもバッテリへのインパクトが小さくても済む。


Newportの写真。右後ろに見えるのはセカンダリディスプレイをカメラで拡大・示したもの。操作や機能の基本はスマートフォンだった


NewPortを開いたところ。キーボードと切り離してタブレットPCとしても利用できる

 PCの中にスッポリとスマートフォンの機能を収め、PC機能との連携を高めたものと言ってもいいかもしれない。実際、New Portのセカンダリディスプレイ部は米国の携帯電話会社VerizonのGPRS端末をアレンジして組み込んだものとのことだ。

 Intelはセカンダリディスプレイのコンセプトを継続的に進化させる予定で、2005年にはBluetoothを通じてスマートフォンやPDAと接続し、スマートフォンの携帯電話機能を通じてネットワークに接続したり、セカンダリディスプレイの表示をスマートフォン/PDA側に映す(バッグの中にモバイルPCを入れていても、その中の情報を端末から取り出せる)といった機能を提供する。


Intelが2004年のコンセプトモデルで最も力を入れているのがセカンダリディスプレイの活用だ

モバイルに高い付加価値をもたらすための整備

 Intelは同時に、PCを携帯して利用するための価値を高めるための環境整備も進める。Always Best Connectedというビジョンに向けては、ワイヤレス接続技術を10メートル以内のPAN(Bluetooth)、100メートル以内のLAN(802.11)、1000メートル単位のWAN(携帯電話ネットワーク)へのアクセス手段をすべて装備させ、その中から常に最適なワイヤレス接続の手段を、ユーザーが意識することなく選択可能にする。

 その上で、単一のユーザー認証、単一の支払い方法でワイヤレスネットワークを利用できる環境を目指す。たとえばある時は携帯電話、ある時はホットスポット、ある時はモデムを使ってネットワークに接続しても、すべてひとつのIDでログオンできるようにし、支払いもID単位で行われるようになる。

 もちろん、そのためには通信事業者やISPとのネゴシエーションが必要になるが、実現されるようになれば、モバイルコンピューティングを行う際の敷居を大きく下げることが可能なはずだ。

 一方、Location Aware Comutingの分野では、社内にある最も近い場所にあるリソース(プロジェクタやプリンタなど)を教えてくれるといった使い方や、現在いる場所のニュース、エンターテイメント、ショッピングなどの情報を提供するサービスなどを想定しているようだ。

 具体的には無線LANや携帯電話の基地局、GPS、利用している有線LANの場所などからロケーションを特定し、オンライン地図サービスなどと連携させながらインフォメーションをモバイルPCに対して配信する。

2004年のモバイルPCハードウェア

 Intelはまた、2004年に実現されるだろうモバイルPCのハードウェア構成についても話している。常に電源オンのまま使え、セカンダリディスプレイ、PAN(Bluetoosh)、LAN(802.11a/b/g)、WAN(GPRS、ただし日本では事情が異なる)を備えるのはすでに述べた通り。

 このほか、セキュリティ機能を高めるためTPM1.1に対応し、改良型の低温ポリシリコンディスプレイや1.8インチハードディスク、リチウムポリマーバッテリー、周辺光センサーによるバックライトの自動調整、スーパーキャパシタ(大容量のコンデンサユニット)などを装備することで6時間以上のバッテリ持続時間を目指す。レガシーフリーのアーキテクチャを持ち、タブレット型で約1キロ、14.1インチのノート型で2キロがフォームファクタのターゲットだ(ただしフォームファクタのターゲットは日本向けでは異なるだろう)。

 省電力とバッテリ技術に関して、2004年はディスプレイの省電力化が鍵となるようだ。低温ポリシリコン液晶パネルを用いれば、液晶をドライブするバス部分を省電力化でき、開口率の高さからバックライトの省電力化も行える。Intelによると最新の低温ポリシリコンディスプレイは14.1インチサイズで消費電力は3ワット。前述の周辺光センサーとの組み合わせで、平均消費電力はさらに下げることができる。


周辺光センサーを用いたバックライト自動調整の概念。ユーザーは望む見やすさを選ぶだけで、周辺の明るさに合わせてバックライトが自動調整される。同じ設定でも暗い場所と明るい場所では異なる設定となり、ユーザーが手動で調整する必要がなくなる

 2004年のモバイルがターゲットとしているシステム全体の平均消費電力は10ワット。ちなみに2002年は15ワット、2003年は13ワットだった。10ワットという数値は、10.4インチの小型ディスプレイを搭載したマシン並である(ここでの言及している消費電力は14.1インチディスプレイ搭載機)。

 また拡張手段としてPCI Expressベースのフォームファクタにも対応する見込みだ。モバイルPCにPCI Expressを用いることで、高性能化はもちろん、より進んだ電源管理や小さなフォームファクタが実現できるという。ミニPCIライクな内部拡張用のカードやドッキングステーション向けのソリューションとして利用するほか、PCMCIAが発表したNEWCARD(PCI ExpressとUSB 2.0を統合した新しいカード型拡張モジュールの規格。仮称)スロットも装備することになるとした。



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[本田雅一, ITmedia]

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