News:アンカーデスク 2003年4月14日 10:02 PM 更新

CRTが(やっと)わが家から無くなる日(2/3)


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 したがって、解像度は、現在21インチCRTで使っているUXGA(1600×1200ピクセル)以上のものであることが条件となる。

 また、ピクセルピッチを考えると最低でも19インチクラスのサイズは欲しい。それ以下のサイズでは目の位置とディスプレイが近くなり、長時間の仕事には向かない(コンパクトさを重視する個人ユースでの選択ならば、より小さいサイズを望む声もあるだろうが)。

 19インチサイズであれば、有効表示領域の対角線長が48センチとなり、21インチディスプレイに広げられる表示領域のサイズとほぼ同じとなる。20.1インチあるいはそれ以上の液晶パネルならば、さらにサイズは大きくなる。

 昨年の前半まで、このクラスの液晶ディスプレイは、最低でも30万円台も後半のプライスタグがぶら下がっていた。税込みで40万円という価格は、定評ある、そして長く使えるCRTならば検討する価格レンジにも入るが、自分の中で評価が確定していない液晶ディスプレイに対して支払う金額としては、ためらう価格帯である。

 しかし、昨年も終わりごろになってくると状況が変化してきた。20万円を切る価格帯にUXGA対応DVI接続が可能な大型液晶ディスプレイが登場し始めた。いきなりここまで安くなると、逆に機能や品質の面で心配な面もあるが、まずはその品質を確認するところから始めることにした。

 なにしろこのクラスの液晶ディスプレイとなると、流通量の問題なのか、店頭で確認することが都内でも難しい。一部店舗に展示機が存在するにはするが、低品質なアナログ信号分配機からのデモしか行われていないことも多く、照明環境も一般的な家とは異なる。とてもではないが評価する環境とは言えない。

 現在、20万円を切る価格帯には、飯山電気の「AU5131DT」(20.1インチ)、「AU4831D」の低価格版「AU4831D G」(19インチ)、アイ・オー・データ機器の「LCD-AD201GS」(20.1インチ)、サムスン電子「SyncMaster 210T」(21.3インチ)、BenQ「FP2081」(20.1インチ)などがある。また、一部店舗ではNEC三菱ビジュアルシステムの「RDT201H」(20.1インチ)も、20万円以下の価格レンジに落ちてきた。

 そろそろ腰を落ち着けて評価を行うべき、と思っていたところに、今度はIBMからThinkVision L200pが発表になった。IBMの液晶パネル事業は台湾ベンダーとの合弁で設立されたインターナショナル ディスプレイ テクノロジー(通称IDテック)に移管されているが、IDテック製ではないようだ。しかも、価格はIBMダイレクト価格で17万8000円である。

 このうち飯山電気の2台とアイ・オー・データ機器のLCD-AD201GS、それに最新製品であるThinkVision L200pをピックアップしてみた。SyncMaster 210Tも気になるところだが、残念なことに在庫の状況が悪いようで、サムスンのダイレクト販売ダイヤルに電話をしても良い返事がない。RDT201Hは広報担当にアクセスをしてみたものの、貸出機を手配して頂くことが叶わなかった。

 この4台で満足できる結果が得られれば良いが、これで満足できないようならば、ランクを1つ上げてナナオの「Flex Scan L985EX」やシャープの「LL-T2020」といった製品へとターゲットを切り替える必要が出てくる。

意外に差のあるDVI時の画質

 評価を行う前、主な違いはアナログ接続時で、DVI接続時はそれほど大きな差は出ないかもしれない。そう考えていた。DVI接続時でも、デジタルデータを受信してからの処理によって画質が変化する、あるいはパネル自身の品質差で美しさが変わるとは思っていたが、こと色に関してはさほど差はないと踏んでいたのだ。

 というのも、液晶パネルやCCDのカラーフィルタは、世界的にもごく一部のベンダーがシェアを握っており、メーカーごとのオーダーで多少違いはあるものの、基本的に同時期の製品であれば、さほど色再現性に違いがあるとは思えなかったからだ(カラーフィルタを開発している某大手印刷会社から、そうした情報をあらかじめ得ていた)。

 ところが、ふたを開けてみるとDVI接続時でも驚くほどの差がある。もちろん、デジタル接続であるため、色のにじみやちらつきなどはないが、色や明暗のトーンカーブが明確に異なる。

[本田雅一, ITmedia]

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