News:アンカーデスク 2003年5月26日 08:42 AM 更新

もう1つのデジタル、「地上波デジタルラジオ」が実は面白い(1/2)

デジタルというと放送ばかりが注目されるが、より現実的で、可能性に満ちているのが「ラジオ」だ。高音質放送から簡易動画放送、なかにはお気に入りのアナの声で一日中しゃべってもらえるようにするといった研究も行われている
顔

 先週5月22日から25日までの4日間、世田谷区砧のNHK放送技術研究所が研究成果を一般公開する、「2003技研公開」が開催された。いわゆる「技研」は、小田急線成城学園前駅からバスで10分ぐらいのところにある。以前はまるで田舎の中学校を連想させるような古い建物だったのだが、2002年3月に真新しくも巨大な建物に生まれ変わった。

 技研と一口に言うが、ここで研究ばかりやっているわけではない。もう一つの顔として、同建物内には放送事業者を育成するための「NHK技術研修センター」がある。研修センターは、NHKの職員研修はもちろんのこと、地方採用のNHKスタッフ、CATV事業者、発展途上国の技術者を養成するための、いわば「放送虎の穴」のような機能を果たしている。

 筆者も時々呼ばれては、若い技術者相手に「虎だ、オマエは虎になるのだ」と、後進の指導にあたることもある(ゴメンな、これ40過ぎじゃないとわかんないや)。

 さて筆者は初めてその技研公開に出かけたのだが、予想とは裏腹に、デジタル放送間近ということもあって一般来場者の関心は高く、かなりの賑わいであった。来場者の年齢層は、半数はお年寄りだが、3割程度はどこかの会社のやり手エンジニアとおぼしきスーツ族だ。

 なかなか姿が見えてこないデジタル放送の形をなんとか早くつかみ、基礎技術を取り込んでビジネスとして先手を打ちたいという現われなのかもしれない。

デジタルラジオは10月から

 デジタル放送の船出については以前にも書いた(2月24日の記事参照)ことがある。その後、総務省から放送開始エリアに関する資料などが発表されたが、やはり放送開始直後は東京タワーの周囲のみ、2005年末でもまだ東京都全域カバーは難しく、八王子あたりは圏外という目処であることが明らかになった。

 地上波デジタルに関してのビジネスモデルは、エリアは狭いわ、チューナーはないわ、試験放送は先だわでまだまだ暗中模索状態だが、もう1つのデジタル放送をすっかり忘れていた。  デジタルラジオ放送である。

 テレビがデジタル放送になるんだから、そういえばラジオもやるんだよなぁと漠然とは思っていたのだが、地上波デジタルラジオ放送はテレビよりも一足早く、今年10月にも実用化試験放送として東京・大阪でスタートするそうである。電波塔はテレビと同じく、関東は東京タワー、関西は生駒山となる。

 ラジオにはテレビのような「アナアナ変換待ち」という状況はないので、最初からまずまずの出力が出る。関東では1セグメントあたり100ワットというから、おおざっぱに東京・神奈川・千葉・埼玉の東京タワー寄り半分ぐらいの地域では聞こえるはずだ。

 もっともこのエリアは固定受信で、移動体で受信するエリアは一回り狭くなる。

 筆者は個人的に、地上波デジタルラジオ放送は案外スムーズに立ち上がるのではないかという感触を持っている。というのも、デジタル化するメリットがはっきりしているからだ。

デジタル化が容易なラジオコンテンツ

 まずその1つは、音質の向上だ。現状のFM放送もちゃんと受信できればまずまずの音質ではあるが、CDには一歩及ばずである。だがデジタルラジオ放送の品質は、CD並みのクオリティになるという。

 先ほどちょこっとセグメントという話をしたが、ラジオにおいてもセグメントという単位がある。

 CD並みの高音質放送は、3セグメントを使って放送する場合だ。高音質が必要ない場合はセグメントを1つずつ使って、3種類のコンテンツを同時に放送することができる。ちょうどデジタルテレビ放送のHDとSDの関係に似ている。

 ただ圧倒的に条件が違うのは、テレビがHDのコンテンツを制作するには莫大な設備投資が必要になるのに対し、ラジオがCDクオリティのコンテンツを作るのは、現状の設備で十分対応できる点だ。

 NHKなどはラジオ講座などリピートすべきコンテンツが沢山あるから、3ストリーム同時放送は使い手があるだろうが、民放では無理に番組数を増やす必然性はない。

[小寺信良, ITmedia]

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