News:アンカーデスク 2003年6月23日 10:17 AM 更新

着々と包囲網を完成させるDivX(1/2)

今やライセンスビジネスの代名詞的存在となったMPEGの“縛り”を嫌って、根底ではMPEG-4の流れを汲みながらも、そうは呼ばないビミョーなコーデックが乱立するようになっている。その中にあって、映像記録・保存分野では、どうやらDivXが一歩リードし始めたようだ。
顔

 次世代映像圧縮フォーマットのデファクトスタンダードをめぐる熾烈(しれつ)な戦いは、おかしなことにMPEG-4の否定から始まった。音楽のMP3、映像のMPEG-2と、MPEGの技術がこれまでデファクトスタンダードの位置を占めてきたわけだが、ここにきてそのライセンス料が馬鹿にならないということが分かってきたのだ。

 本来MPEGとは、どんなプラットフォームでも、誰でも自由に利用できる圧縮技術を作ろう、というところから始まったはずだ。MPEG-1の頃までは、存在意義としてそういったアカデミックな要素が多分に含まれていたものである。

 それもまあそのハズで、当時のMPEG-1は、同世代のコーデックであるMotionJPEG、IndeoVideo、CinePackなどに対して、画質でも使い勝手でも負けまくっており、誰でも使えるんだけど誰も使わないという崖っぷちにいたのである。それがMPEG-2のDVD採用からデジタル放送採用に至る過程で、いつの間にかライセンスビジネスの代名詞的な存在へと変貌していった。

 その結果、そういうライセンスの縛りを嫌って、根底にMPEG-4の流れを汲みながらも、MPEG-4とは呼んでいないというビミョーなコーデックが乱立することとなった。WMV、RealVideo、DivX、XviD、RMP4……。ストリーミング系は相変わらずWMVとRealの一騎打ち状態だが、こと映像記録・保存という分野に目を移すと、どうもDivXが一歩リードし始めたようだ。

 まずソフトウェアでは、DVD再生ソフトの両雄、PowerDVDWinDVDも、それぞれDivX再生可能なパッケージをリリースしている。基本的に再生ソフトは、ソフトウェアのデコーダさえ入れれば動くわけで、製品としての対応はそれほど難しいものではない。

 しかし再生ハードウェアが豊富になってきたのは、ちょっと面白い現象だろう。比較的初期の製品では、PCIカードのハードウェアデコーダとしてSigma DesignsのREALmagic XCard(国内販売はバーテックスリンク)の存在が印象的だった。DivXは再生負荷が高いということで、このような製品も存在価値がある。

 しかしパソコン云々ではなく、単体のプレーヤーもぼちぼち出始めている。DVD兼用のDivXプレーヤーでは、デンマークのKiSS Technology社 DP-450(国内販売はバーテックスリンク)や、MOMITSUのDVD-V880(国内販売は長瀬産業)がある。

ハードウェアありき

 これらの製品の背景には、ハードウェアデコーダチップの存在がある。XCardにはSigma Designs製の「EM8475」が、DP-450とDVD-V880には同「EM8500」が搭載されている。

 またハードウェアデコーダの珍しい製品として、先週発表になったバーテックスリンクのMediaWizも面白い(6月19日の記事参照)。本体内にはストレージを持たず、LAN経由でPC内にあるDivXファイルを再生するという、まあ言ってみれば外部接続のデコーダだ。これに搭載されているのはSigma Designsの「EM855x」である。

 記事の中で興味深いのは、「Windows Mediaはバージョンごとに互換性がない。すべてサポートするのはコスト的に難しい」として、WMVとの決別を明らかにしている点だ。ソフトウェアベースの圧縮技術をハードウェアに搭載する難しさは、以前別のコラムで述べたことがあるが、バーテックスリンクの判断は、まさにこれを裏付けるケースだろう。

 今後DivX再生機能付きDVDプレーヤーは、さらに加速するかもしれない。というのも、DVDプレーヤー用DSP製造の大手Cirrus Logicも、チップ内にDivX再生機能を組み込むことを明言しているからだ。

 さらにDivXのデファクトスタンダード化に拍車をかける記事が、先週もう一つあった。カノープスのテレビキャプチャーカード、MTVシリーズ新製品の発表である。高画質を売りにしてマニアに人気の高いMTVシリーズだが、新ラインナップではMPEG-2での録画と同時にDivXで追っかけエンコードを行なうという。

 テレビキャプチャー製品で、DivXで録画可能な製品は以前からあった。しかしカノープスのMTVでは、MPEG-2はハードウェアエンコードで、DivXはソフトウェアエンコードという二刀流を実現した点がユニークだ。さらに旧製品ユーザーもソフトウェアのアップデートでこの機能が使えるという。

 ビデオ系ソリューションでは、カノープスが業界に与える影響力は大きい。この製品とアップデータのリリースにより、今までMPEG-2と記録型DVDにハマっていたマニア勢が、一斉にDivXに流れるという可能性も出てくる。

[小寺信良, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 1/2 | 次のページ



Special

- PR -

Special

- PR -