News:アンカーデスク | 2003年6月30日 07:44 AM 更新 |
6月19日に発表された、バーテックスリンクの「MediaWiz」(6月19日の記事参照)。PC内にあるDivXファイルをイーサネットでつないで再生できるというこの製品は、普通の人にはただのPC周辺機器に過ぎない。しかしこの製品のリリースを巡って、思わぬところでの反響と混乱が巻き起こっている。
まずMediaWizとはどのような製品なのかを、もう一度押さえておこう。
10/100BASE-TXのイーサネットを搭載した本体には、米Sigma Designs製の統合チップ「EM855x」が搭載されている。PC側に保存されているMPEG-2やDivXをはじめとするMPEG-4系ファイル、オーディオデータやJPEGなどを、テレビ画面へ出力することができる、というPC周辺機器だ。PC側にはあらかじめ、付属のサーバソフトをインストールしておく必要がある。デコードはMediaWiz内部で行なわれるため、PC側の負荷が低いのがポイントだ。
これはどこかで聞いたような……というブツがあるだろう。メルコの「Play@TV」? うーん惜しい。いいセン行ってるが、残念ながら不正解だ。あれはPC側でデコードするため、結果的なソリューションは同じに見えても、技術ベースが全然違う。
筆者の言う“どこかで聞いたようなブツ”とは、ソニーの「RoomLink」だ(2002年10月11日の記事)。バイオに収録されているテレビの映像、音楽、写真などをやはりイーサネットで引っ張ってきて、リビングルームで楽しもうという製品である。PC側はバイオにインストールされているVAIO Mediaサーバを使い、デコードはルームリンク側で行なうため、やはりPC側の負荷が少ない。
ルームリンクとMediaWizは、どちらもオープン価格であるが、価格帯は近い。ルームリンクがSonyStyleで2万4800円、MediaWizはまだ発売されていないが、バーテックスリンクの直販サイトでは2万2800円という価格となっている。
価格は近いが、両者の違いをざっと違いを数え上げると、以下のような点がある。
製品名 | RoomLink | MediaWiz |
PC側サーバ | VAIOMedia搭載バイオのみ | Windows98SE以降のPC |
映像出力 | Sビデオ、コンポジット | Sビデオ、コンポジット、コンポーネント、DVI |
音声出力 | アナログLR/オプチカル | アナログLR、オプチカル、コアキシャル |
ネットワーク | 10/100BASE-TX | 10/100BASE-TX、PCスロット利用で無線LAN対応 |
その他 | RoomLink側から録画予約可能 | DivX、Xvid、RMP4再生可能 |
コンシューマー向けPC周辺機器としてみると、とりあえずMediaWizなら大抵のPCで使えるので、汎用性が高い。そしてこの汎用性が、ITビジネス分野に衝撃をもたらそうとしている。
その正体は、VOD端末か?
バーテックスリンクによれば、PC側のスペックが十分であれば、MediaWiz付属のサーバソフトだけで30台程度のクライアントは十分に動かせるという。これの意味するところは、小規模のVODならこれで運営できてしまうということである。
[小寺信良, ITmedia]
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