News 2003年8月28日 06:54 PM 更新

MSのオルチン副社長が示すLonghornのタイムテーブル(2/2)


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オルチン それは定義の問題になりますが、この点は注意が必要です。例えば、64ビット対応は機能なのか、機能ではないのか。無線セキュリティのサポート強化は機能なのか、バグ修正なのか。つまり、われわれは最近、新たな無線サポートを開発し、既にWPA(Wireless Protected Access)対応でリリースしましたが、これはバグ修正だったのか、機能だったのかという問題です。このように、何が機能で何がバグ修正かというのは、非常に紛らわしい点だと思います。見方は人によってさまざまです。

 サービスパックでは、QFE(Quick-Fix Engineeringアップデートプログラム)をまとめるとともに、社内で着目し、顧客に提供する価値があると考えたものを加味しようというのが、われわれの基本的なスタンスです。

――すると、Windows XP SP2ではQFEのほかに何が提供されるのですか?

オルチン 注目していてください。

――64ビット対応に触れられましたが。

オルチン われわれは来年初め、あるいはそれより前に、クライアント版で64ビットに対応するつもりです(8月7日の記事参照)。64ビットクライアントが利用できるようになります。ただしこれは、x32ベースのアーキテクチャに64ビットサポートを追加することを意味しています。クライアント版、サーバ版共にこれを実現しますが、これはサービスパックにも関係してきます。

――そうして2004年にサービスパックが登場するわけですね?

オルチン リリースを早めることもないとは言えません。スケジュールを厳格に決めているわけではありませんから。担当チームを設けているのですが、彼らを特定の計画で縛りつけるつもりはありません。新しいことが起こってくるからです。ここ数週間にも新しい出来事があり、集中的にフォローしているところです。

――ここ数週間のセキュリティ問題のことですか?

オルチン そのワームのことです。サービスパックについては社内スケジュールがありますが、われわれは慎重の上にも慎重を期しています。もちろん私もそうです。何かが起こってスケジュールを動かすことになる可能性があるからです。それはわれわれがやるべきことに関する社内の決定による場合もあれば、何か外部の要因による場合もあります。そんなわけでこのワームはスケジュールに大きな影響は及ぼしませんが、起こり得ることの一例を示しています。

――クライアント版Longhornの開発は、2005年の出荷に向けてまだ予定通りに進んでいますか?

オルチン それは確率の問題としか言えません。われわれはその時期の出荷を目標にしています。しかし、うまくいく可能性もうまくいかない可能性もあります。結局のところ目標なのですから。β1を出すところまでいけば、もっとずっと見通しがはっきりするでしょう。今度のPDC(Microsoftが10月にロサンゼルスで開催するProfessional Developers Conference)では、まだβ1の段階まではいきません。β1をリリースすれば、顧客からフィードバックを得ることができます。顧客から何らかのフィードバックを受けるまで、製品の出荷時期は予測が付きません。

――新しもの好きを除けば、Longhornを待望している企業顧客はまれですが。

オルチン マスコミはWindows 2000でもそれを問題にしました。出荷時期と品質のトレードオフという形で取り上げたのです。経験談ですが、とにかくWindows 2000のときは、記者とのミーティングは全部が全部、「出荷時期はいつか。スケジュールからどれだけ遅れているか」というテーマでした。そして私は、「気にしていません」と答えていました。品質だけに注意を払っていたのです。このOSは、われわれが挑戦したどんな製品をもしのぐ重大なリリースだったからです。

 私は品質のことしか眼中になく、品質について質問してもらいたいし、出荷時期のことは忘れてほしいと思っています。今もこれがエンジニアとしての私の気持ちです。もちろん、Longhornが特定の時期に出荷されることを顧客が当てにするようになったら、われわれは別のモードに入ります。それは私も承知しています。しかし、今は出荷時期にこだわるべきではありません。PDCに集まる開発者がLonghornについてどう思うか、β1はどんなものになるか、そこに目を向けてもらえればと思います。

――MicrosoftがSoftware Assuranceプログラムを開始した結果、出荷時期は多くの顧客にとって大きな問題になりました。このプログラムでは、3年間の契約期間中に製品の新しいリリースが登場するという前提で、企業は年間料金を支払うからです。LonghornではWindowsのリリースサイクルは少なくとも4年になりそうですが。

オルチン われわれは顧客に対して正しい対応をします。

――どういう意味ですか?

オルチン 正しいことをするという以外の意味はありません。われわれの知る限りでは、今はそれ以上のことは言えないんです。つまり、出荷時期が分からないからです。2005年の初めなのか終わりなのか、2006年になったら問題があるのか、私には分かりません。いずれにしても、われわれは正しいことをします。

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[Carol Sliwa, Don Tennant & Mark Hall, IDG News Service]

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