News | 2003年9月19日 10:43 PM 更新 |
前回のインタビュー記事で、マザーボードを初めとするパーツ事業が好調な伸びを示していると語ったASUSTeK。しかし、そのASUSTeKにしても「パーツ以外の事業を拡張していかなければならない」と認識している。
もともと、ASUSTeKにおいてパーツ事業に割り当てられているリソースはそれほど多くない。「ASUSTeKの開発陣のうち、マザーボード開発に従事しているのは全体の20%」(Joe Hsieh氏 MB Business Unit Sales & Marketing Division Vice President)と、ASUSTeKはパーツビジネスの依存度は現在でもそれほど高くない。
そのASUSTeKが、今年になってことさらにパーツ以外の「IAビジネス」をアピールするようになったのは、やはり「成熟したPC DIY市場は、この先成長は見込めない。ASUSTeKが拡張していくためには新しい市場を開拓しなければならないのだ」(Hsieh氏)
ASUSTeKのIA事業が、主に法人やSI企業をターゲットに展開されるのはライバルのGIGABYTEと同じだが、法人向けに集約していく彼らとは異なり、ASUSTeKはコンシューマーに対しても積極的に事業を展開していくつもりでいる。
「日本のコンシューマービジネスの目標は、前年度の2倍」(Andrew Tsui氏 ASUSTeK 東京事務所所長 日本営業統括担当)。
パーツ事業が横ばいと見込んでいるわけなので、IA事業だけでこの目標を達成しようとすると、パーツの売り上げと同じぐらい、ベアボーンやネットワーク周辺機器、そしてノートPCを日本のユーザーに買ってもらわなければならないことになる。MSIが「IA事業の目標はパーツビジネスの1割程度」といっていたのとは桁が違う。
確かにASUSTeKは自社ブランドのノートPCをかなり早い段階から販売するなど、IA製品のビジネスである程度の実績はある。スペックと軽さ、そして斬新なデザイン(レモンイエローの“Kiss”という薄型ノートPCを記憶しているユーザーも多いのではないだろうか)など、日本のノートPCに匹敵する製品を送り出して、注目も集めている。
しかし、それはアキバなどのパーツショップに出入りして、すでにASUSTeKを知っているパワーユーザーを中心に話題になっていたという事実もある。「あのノートPCを出しているASUSTeK」というよりも「あのASUSTeKが出しているノートPC」という認識だったのだ。
パーツユーザーと同じ規模のIAユーザーを新たに創出しようとしたら、いままでASUSTeKに触れたことがない、ASUSTeKをまったく知らないユーザーにも浸透していかなければならないはずだ。
しかし、日本の量販店流通に対しては「日本独自の量販店に慣れている代理店を探してすべて任せる」(Tsui氏)と述べている。ASUSTeK自身で量販店販路を一から構築するのではなく、長年のパーツビジネスで築き上げてきたこれまでの販路を利用してIA製品を展開していく考えているようだ。
PCパーツの販売チャネルを利用する限り、「自作ユーザーには有名なASUSTeK」のままではないだろうか。
その疑問に対してASUSTeKは「既存の販売体系は飽和しつつある。ある意味限界に達しているのではないだろうか。これからは、もっと新しい形の販売方法を模索していかなければならないはずだ」(Tsui氏)と答えてくれた。
ただし、その「新しい形態」については、ASUSTeKもまだはっきりとした姿は描けていないようだ。インターネットを介したネットワーク販売も数多くの外資系企業が挑んでいるが、量販店に並ぶ製品に匹敵するプレゼンスは発揮できない。
ASUSTeKが考える「新しい形態」が、どのようなものになるのか。まずは期待して待つことにしてみたい。
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[長浜和也, ITmedia]
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