1人何役もこなすプログラマブルな携帯電話チップ
広範な通信プロトコルやマルチメディアアプリケーションを処理できるプログラマブル携帯電話チップを開発したと新興企業が主張している。このチップは携帯端末の価格を引き下げ、カメラなどほかのデバイスにネットワーク機能を加える役に立つかもしれない。
Sandbridge Technologiesのチップを搭載した携帯電話などのデバイスは、Wi-Fi携帯でもGPSデバイスでも、マルチメディア放送受信機でも、何でもメーカーが望むものになれるとSandbridgeの社長兼CEO(最高経営責任者)グエンター・ウェインバーガー氏は語る。同社のチップを使えば、ベンダーは別のベースバンドチップ(各種ネットワーク向けの通信処理チップ)を加えなくてもマルチモード端末を構築できるという。
ベースバンドチップを加える場合、1つ加えるごとに携帯電話チップの価格は約5ドル高くなると、Forward Conceptsのアナリスト、ウィル・シュトラウス氏は説明する。そのコストは、携帯電話の最終価格に約30ドルを転嫁する可能性があると同氏。
主要携帯電話チップメーカーは多くの機能を統合したシングルチップ設計に移行しており、Sandbridgeはおそらく、これらメーカーと端末メーカーの緊密な関係を崩すことはできないだろうとシュトラウス氏は指摘する。それでもSandbridgeは他社に1~2年分先んじ、小規模端末メーカーを(もしかしたら比較的大規模なメーカーも)取り込み、市場に価格圧力をかけるかもしれないと同氏は話している。
Sandbridgeは2001年、少ない消費電力で多くの機能をこなせるプログラマブルベースバンドチップの開発を目指して設立されたとウェインバーガー氏は話す。同社のチップアーキテクチャ「SB3000」をベースにした最初のチップ「SB3010」は、現在サンプル出荷されている。ベースバンド処理に加え、このチップはアプリケーションとマルチメディアを処理できるだけのパワーを持っているという。3010は3G携帯向けに設計されており、Sandbridgeは来年にはHSDPAなどの3.5GネットワークやWiMAXに対応したチップを投入する考えだ。ウェインバーガー氏はチップの価格は明かさなかったが、競争力のある価格になると述べた。
Sandbridgeは、このチップを携帯電話メーカーに販売し、メーカーがキャリアと共同でチップの機能を定義できるようにする計画だ。アセンブリ言語でプログラムしなくてはならないほとんどの携帯電話チップとは違って、SB3000ベースのチップはC言語でプログラムできる。これは大きなアドバンテージだとシュトラウス氏は言う。
「Cでコードを書く場合は、アセンブリ言語で書く場合よりも安く上がる」(同氏)
Sandbridgeは、同社のチップの機能に限界はないと主張する。例えば、わずか1個のチップでWi-Fiと携帯電話を組み合わせることができるとウェインバーガー氏。そうした携帯電話は、ユーザーが外にいるときには携帯ネットワークで通話し、Wi-Fiネットワークの範囲に入ったらWi-Fiに切り替えることができる。一部のキャリアはこのような端末を、室内の受信状態を改善し、顧客に新しいサービス計画を提供する手段ととらえている。ほかに、GSMとCDMAの両方のネットワークに対応するシングルチップ携帯という可能性もある。
最近のワイヤレス技術の普及は、2001年に生まれたSandbridgeの戦略が賢明であることを証明しているとウェインバーガー氏。
「携帯電話市場、ワイヤレス通信市場で過去3年間に起きたことはすべて、完全にわれわれにとってプラスになった」(同氏)
しかしアナリストらは、携帯電話市場ではFreescale Semiconductor、Texas Instruments、Intelが競争しており、新規参入者が入り込むのは難しいと指摘する。既存のチップサプライヤーと提携している端末メーカーにとっては、新しいアーキテクチャへの移行は費用がかかるとIn-Statのアナリスト、マックス・バロン氏。しかしSandbridgeのチップは、新しいメーカーの製品に居場所を見つけるかもしれないと同氏は言う。
バロン氏は、場所に応じてさまざまなネットワークを介してインターネットに接続できるデジカメやビデオカメラなど、新種のデバイスにおいてSandbridgeは最大の影響を与えるかもしれないと話す。同社のチップに十分なパワーがあれば、ユーザーの優先順位に応じて、価格、速度、消費電力に合わせてデバイスを最適なネットワークに移行させることができるだろうと同氏は語り、その機能は車の中で便利かもしれないと付け加えた。
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