「現場と経営者のITギャップを埋める」――新装月刊アスキー編集長に聞く
ITmedia リニューアル発表後に始まった、なぎら健壱さんを起用した「月刊アスキーは、何の雑誌になったらいいでしょうか?」(アスキーリボーナー)というプロモーションキャンペーンには驚かされました。
小林誠司編集長 今までとまったく違ったことをやるのでプロモーションもまったく違った手法をやりたかったのです。なぎらさんはITに遠いけれども何かやってくれるのではないか、ということでふさわしいと考えました。(プロモーションでの)なぎら健壱編集長就任には結構本気に受け取る人が多くて、「それで小林さんはどういうお立場で?」などと聞かれました(笑)。
ITmedia ビジネス誌への新装刊を果たしたわけですが、総合PC誌はもう存在しえないのでしょうか。
小林編集長 月刊アスキーの最終号に掲載した「卒業宣言」は偽らざる心境です。パソコン総合誌といっても、月刊アスキーはパソコンとその周辺の一番最先端のところをピックアップしてやっていました。新しいトレンドが起こっていることを示すのが月刊アスキーの基本スタンスだったといえます。ただパソコンのコモディティー(日用品)化して広く使われるようになった替わりに、コンピュータそのものに興味を持っていた人はネットで情報を得るようになり、雑誌から離れていったと感じていました。
ITmedia 以前の月刊アスキーの読者は新しい月刊アスキーの読者とはまったく重ならないのでしょうか。
小林編集長 一番最近まで読んでくれていた読者とは重ならないですね。ただ以前の読者がまったくターゲットでないかというとそうではなく、70年代、80年代に月刊アスキーを読んでビジネスやコンピュータの世界に入り今はマネージャー層になっている、そういう人たちが新しい月刊アスキーのターゲットです。個人的にはそのような過去の読者が半分、これまでは月刊アスキーになじみのなかった人が半分という風に考えています。
ITmedia 読者ターゲットとして情報システム部門ではなく、事業部門のマネジメント層とした理由は何でしょうか。
小林編集長 これまでは情報システム部門が企業内のITすべてを握っていたと思います。社内外のITシステムを構築するというのが情報システム部門の役割でした。そうしたシステムの改革やコスト削減などはこれからも当然必要でしょうが、それ以外の部分でのITのボリュームが大きくなっているよね、というのが僕らの狙い所です。具体的には、eコマースとか、ショッピングサイトを自社で立ち上げるという動きや、インターネットを使って別のビジネスをやってみようという動きがそうです。これからはビジネスのすべてにITが絡んでくるようになりますから、ビジネスの現場にいる最前線の人たちがIT情報を必要としてきます。
ITmedia そういう現場が必要としているIT情報とはなんでしょう。
小林編集長 事例や、トピックなどです。例えばマイクロソフトが新しいサーバOSを出しましたと言ったとき、情報が必要な人は情報システム部の人たちも現場の人たちもそうなんですが、現場が必要なのは製品そのものの情報じゃないんです。その上に載っかっているアプリケーションや人やコストなど全部含んだ部分でのトレンドみたいなところ。それが今後の月刊アスキーが記事にする部分です。よそはこうやってるからうちはこういうことができるんじゃないかとか、この人がこういうんだったらやっぱりそっちの方向に進もうといった、ヒントのようなものでしょうか。
ITmedia どっちに進もうか考えている人に指針を示す感じでしょうか。
小林編集長 指針というようなえらそうなもんじゃないと思うんですけどね。ビジネスとして何が最前線なんだろう、一番動いているのはどの辺なんだろうということを少し野次馬的に、少し視線の高いところから押さえているという感じかな。
新しい月刊アスキーのキャッチコピー「ビジネスとITのギャップを埋める」。さんざん悩んでこれになったのですが、例えば現場と経営者とでITとかビジネスに対する考え方が違うとしたら、そこにはなんらかのギャップがあるはずです。ITを使ったのに売れないとかITを使ったのにコスト削減できないとか、問題があるとしたらそこになんらかのギャップがある。そのギャップを埋めるためのヒントを発信していきます。現場と経営層がお互いがどう考えているかを知ることが重要で、その両方に向けたメッセージです。
既存誌では「日経コンピュータ」はいままでの情報システム部のエンタープライズのところを経営層に向けて、その人たちの感度の高い記事をやっている。「日経情報ストラテジー」などはまさに経営層が役立つ情報にフォーカスしていると思います。一方これが「週刊東洋経済」とか「週刊ダイヤモンド」などのビジネス誌になると一般的になりすぎてしまって、今度はITのことを知りたい、という人たちには物足りない。そのはざまがぽっかりと空いていました。ぼくらはITに詳しいし、かといって経営層に向けたものを出していって勝負するつもりもない。ちょうどその現場に落ちてくるITというところに、実際に月刊アスキーで育ったというような人が多いし、そこに向けての情報を僕らは出しやすい。そこのはざまに僕らが攻め込む余地はあるなと考えるわけです。
◆ttp://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B000JFZ5NS/itmedia-22/ref=nosim/◇月刊アスキー◆は毎月24日発売。定価590円。10万部発行。旧月刊アスキーとは異なり、書店ではビジネス書の棚に置いてもらうという。
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