NVIDIAのGPUでさらに羽ばたく東工大「TSUBAME」
「スーパーコンピューティングの歴史に残る日。5年前に夢見ていたことが実現した」──米NVIDIAのジェン・スン・フアン社長兼CEOは12月2日、東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME」がGPUコンピューティングの導入で強化されたことを喜んだ。
TSUBAMEは多数のOpteronサーバなどをグリッド化したスーパーコンピュータ。このほど、NVIDAの「Tesla GPU」を導入して処理能力を強化。理論ピーク性能を約160TFLOPSに高め、Linpackベンチマークで77.48TFLOPSをマーク。スーパーコンピュータの世界ランキング「Top500」で29位に入った。
NVIDIAは、グラフィックスに使われてきたGPUの高い処理能力を科学技術計算などにも活用するGPUコンピューティングの普及を推進している。来日したジェン・スン・フアン社長兼CEOは、TSUBAMEが稼働している東工大大岡山キャンパス(東京都目黒区)を訪れ、「演算処理によって科学に貢献できるのはわれわれにとっても非常に光栄なことだ」と喜び、「従来のCPUが全ての問題解決に向いているわけではないことの証だ。プロセッサはCPUだけではない。GPUとCPU、2つのプロセッサによるヘテロジニアス(異種混合)な構成が必要になる」などと話した。
GPUは「クラシックなベクトル計算機に類似」
同大学術国際情報センターの松岡聡教授によると、GPUは(1)ピーク性能の高さ(N体問題などの密結合問題に適する)と、(2)3次元高速フーリエ変換性能の高さをもたらすメモリバンド幅の大きさ(疎結合問題に適する)という2つの特徴を持ち、性質の異なる問題解決をアクセラレーションできる。「クラシックなベクトル計算機に類似している」が、技術的な制限などもあり、多数の汎用CPUによるスカラー型を主流にしたような多くの研究が必要だと指摘する。
松岡教授は「ソフトは当初はうまくいかなかったが、『CUDA』のようなプログラマブルなGPUが出てきてうまくいった」と話す。スーパーコンピューティングでは、計算を実行させるプログラム開発も重要になる。Teslaの導入では唯一のベクトルスーパーコンピュータベンダーであるNECが協力しており、同社のノウハウ活用も考えているが、「GPUはワークステーションやパーソナルなところから出てきているので、デバッギングなどでまだまだのところがある」という。
GPUの汎用化を進めるNVIDIAに対し、米Intelはx86アーキテクチャを採用するGPU「Larrabee」の開発を進めるなど、GPUとCPUを近づけていくていく方向でプロセッサの将来を描いているが、松岡教授は「GPUはシンプルなため、開発サイクルが早いから進化している。GPUの良いプロパティを犠牲にしてまでCPUに近づいてほしくない。計算はヘテロに分担したほうがいいと思っている」と話した。
GPUコンピューティングの導入で「1.2」に進化したTSUBAMEは、2010年度に「2.0」にバージョンアップし、処理能力をペタレベルに高める計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
2
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
3
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
4
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
5
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
6
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
7
「対策を後回しにしたサーバが軒並み狙われている」 相次ぐ不正アクセスにラックCTOが警鐘
-
8
メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
-
9
GMO不正アクセスの犯人サイト、ドメイン停止を確認
-
10
Anthropic、独自の“創薬活動”に着手 社員1人のバイオ企業を買収、小児難病の治療薬研究を進める
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR