テレビ放送帯の“ホワイトスペース”を活用、NICTがタブレット端末を試作
情報通信研究機構(NICT)は8月27日、テレビ放送帯で通信を行えるタブレット端末を試作した。テレビ放送帯のホワイトスペース活用に向け、伝搬特性評価などを行う。
ホワイトスペースは、放送など特定の目的のために割り当てられているものの、地理的な条件や時間的な条件によって、ほかの目的にも利用できる周波数帯のこと。通信用周波数が逼迫(ひっぱく)する中、その解決法の1つとして検討が進んでおり、470M~710MHzのテレビ帯についても米国や英国では既に運用の制度設計が始まっている。また、IEEEでもホワイトスペースで無線LANを運用するための国際標準規格の策定に向け、2009年にIEEE802.11afタスクグループが発足、2014年の規格策定完了を目指している。
ただし、ホワイトスペースを活用するには、一次利用者の情報(送信所の場所、周波数、送信電力など)や地形情報などを考慮して二次利用者が利用できる周波数を選択する仕組みが必要だ。NICTでは、「ホワイトスペースデータベース」を構築し、昨年5年にはテレビ周波数を利用したホワイトスペース通信の実証実験に成功。また10月にはテレビ帯ホワイトスペースで運用できる無線LAN基地局の開発を発表している。
今回発表したタブレット端末は、テレビ放送帯ホワイトスペースにおける移動通信システムの運用を行うためのもの。テレビ放送帯は従来の無線LAN周波数よりも低く、また帯域も広いために回路の小型化が課題だったが、試作機では市販のAndroid 2.3端末に“周波数変換装置”と制御回路を内蔵することに成功。2.4GHz帯(IEEE 802.11b/g)とテレビ放送帯を状況によって切り替えながら、昨年NICTが開発した無線LAN基地局を介してインターネット接続が可能だ。電源も内蔵バッテリーだけで駆動できるという。
このほか、ホワイトスペースデータベースから一次利用者(テレビ放送)の情報を取得し、テレビ放送帯の各チャネルのホワイトスペース状況と端末の現在地を同時に地図上に表示する機能や、状況によって端末からの出力レベルを制限する出力レベル調整機能も備えている。
NICTでは今後、この端末を用いて伝搬特性評価などを行い、技術基準や制度設計に役立つ情報を提供していく予定だ。「今後、携帯型タブレット端末によるホワイトスペースの利用が可能になれば、据置型の機材を利用した固定地点間の通信だけでなく可搬利用の道も開ける」としている。
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