写真展
大西みつぐ写真展「放水路」
さまざまな「写真展」を随時紹介していく本コーナー。今回は銀座ニコンサロンで、2014年6月18日から開催予定の大西みつぐ写真展「放水路」を案内する。
荒川放水路は1911年(明治44年)の測量にはじまり、1930年(昭和5年)までの長期間を費やして開削した人工の河川である。
作者は、1985年にこの放水路の近隣に暮らした数年間を「河口の町」と題して発表した(作品は第22回太陽賞を受賞)。バブル期の江東の町だったが、それでもまだ庶民の穏やかな暮らしぶりは残っていた。そして2012年に賑やかなスカイツリーの傍らの辺境として「砂町」を撮り下ろした(作品は日本写真協会企画展として写真展を開催)。その間には唯一のモノクロ作品「wonderland」が幾重にも挟まれている。
これらをすべて太く一本につないでいるのがこの放水路であったことを思い返した時、作者は再びこの川をどこまでも歩いてみたくなった。東日本大震災後の東京臨海部の風景が無防備に曝されていることへの焦燥感も深く関わっている。
一昨年の夏から、作者は赤羽岩淵から河口までの22?を繰り返し歩いた。「放水路の風景」は、昭和初期に永井荷風が詩趣として唱えた「荒涼寂寞」さとは一見無縁の健康で平和な水辺風景が連なっている。しかし、ところどころに広がるヨシ原の間には、ぎりぎりの際で「生」を保ちながらなにかを解き放ち、密やかにそこにいようとする人間の気配が充満している。それらは都市の周縁にこそ浮かびあがる現在性ではないか。そして、川はどこか遠くで投げ込まれたかもしれぬ今日の日本の澱をたっぷり宿しながら、海へとめどなく排出され続けている。
静かで寂しく儚い情景の中に、私たちの明確な明日など見いだせはしないのだが、ここから東京を深く想い続けていたいと作者は考えている。
とめどなく流れる川、密やかなる日々。ぎりぎりの「際」で東京を想う。
カラー約40点(液晶画面による映像も上映予定)。
写真展の詳細
| 名称 | 大西みつぐ写真展「放水路」 |
|---|---|
| 開催期間 | 2014年6月18日(水)~7月1日(火) |
| 開館時間 | 10時30分~18時30分(最終日15時終了) |
| 定休日 | 無休 |
| 入場 | 無料 |
| 会場 | 銀座ニコンサロン |
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