ヒトと植物の細胞の融合に成功 大阪大学などの研究チームが世界初
約16億年の年月を経てヒトと植物の染色体が再会――大阪大学大学院工学研究科などの研究チームは10月24日、ヒトと植物の部分的な細胞融合に世界で初めて成功したと発表した。ヒトの細胞環境下で植物の染色体が維持されることなどを確認。進化の謎を解く手がかりになるとしている。
植物と動物は16億年前に共通の祖先から分岐したと考えられている。それぞれ、細胞にはDNAや染色体など共通の構造もあるが、機能がどの程度保存されているかは不明だった。ヒトと植物双方の染色体を持つ融合細胞を作製する試みは過去にいくつか行われてきたが、増殖可能な融合細胞の作製に成功した報告はなかったという。
研究グループは今回、モデル植物であるシロイヌナズナ由来の細胞とヒト細胞を融合する条件・方法を検討し、部分的だが融合細胞の獲得に成功した。
融合細胞は、ヒトの全染色体を維持しており、ヒトと同等の細胞環境と考えられるが、細胞内に、植物の染色体領域を持つ「ヒト/植物染色体」が観察された。
この融合細胞を培養すると、「ヒト/植物染色体」の構造が変化し、植物染色体の部分だけが抜け出て独立した植物染色体を形成。ヒト細胞環境下で、植物由来の染色体が独立に維持されており、ヒト染色体を維持する仕組みが植物染色体にも働くことが分かった。
「ヒト/植物染色体」は、さまざまな植物遺伝子をそのまま維持していることも判明。さまざまな植物遺伝子が発現していることも確認し、ヒトと植物の間で、遺伝子発現の仕組みも保存されていることが判明したとしている。
研究グループは、ヒトと植物の間で、染色体を維持する仕組みや遺伝子を発現する仕組みが維持されていることが分かったと解説。「生命の基本的な原理を解明するための、ヒトと植物の融合細胞という新たなツールが開発された」とコメントしている。
研究成果は10月4日に米科学誌「ACS Synthetic Biology」(オンライン)に掲載された。
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