キラキラSNSに疲れたか 人気のBeRealで相次ぐ内部情報流出 限定公開の油断か罠か
若手社員らが勤務先の内部情報が写りこんだ画像をSNSに投稿し、拡散する事案が相次いでいる。顧客情報の漏えいなど深刻な損害も生じた。発端となったのは公開範囲が限定されたアプリへの投稿。背景には、SNSで写真映えなどを競い合うことに疲れた若者心理があるとも指摘され、専門家は安易な投稿に警鐘を鳴らす。
4月、西日本シティ銀行(福岡市)の支店執務室内を撮影した動画や画像がX上に拡散した。写りこんだホワイトボードには顧客らの氏名が記されており、村上英之頭取は「多大なご迷惑とご心配をおかけした」と謝罪した。
画像は行員がSNSアプリ「BeReal(ビーリアル)」に投稿したもの。ビーリアルはスマートフォンの正面と背面のカメラで撮影した画像をそのまま投稿する仕組みで、1日に1回、不特定の時間に通知が届き、2分以内の投稿を促す。
ITジャーナリストで成蹊大特別客員教授の高橋暁子さんは、通知にあおられるように「授業中や仕事中でも投稿するユーザーがいる」といい、ビーリアルへの投稿をきっかけに内部情報が拡散する事例は相次ぐ。
仙台市では同月、市立小の20代の女性教員が学校で使われているシステムを表示したPC画面を撮影し、投稿した。教員は「通知が届き、深く考えずに目の前にあったパソコンを撮影した」と説明したという。
「キラキラ投稿疲れた」若者多く 炎上回避の非公開アカウント中心に
InstagramやTikTokといったSNSとは異なり、ビーリアルは以前に撮影した動画や画像は投稿できず、加工機能もない。シンクタンク「Fiom合同会社」(東京都)が、Z世代を対象にビーリアルを好む理由(複数回答可)を調査したところ、「リアルタイム性を共有する仲間との一体感」(42%)に続き、「加工をしてキラキラした投稿を作るのに疲れた」という回答が25%に上った。
一方、SNSでの拡散や炎上に対する若者の意識の高さを示すデータもある。デジタル化で生じるリスクへの対策サービスを企業に提供する「エルテス」(東京都)の調査では、自分や知人だけが閲覧できる非公開のSNSアカウントの利用率は20代が約91%で最多だった。
ビーリアルは投稿者が認証したユーザーのみが閲覧でき、投稿内容も一定時間で消える。こうした仕組みが安易な投稿につながっていると高橋さんはみる。
だが、ビーリアルで閲覧した何者かがXに画像を転載することなどで内部情報は拡散する恐れがある。高橋さんは「新入社員は活躍する自分の姿を見てもらいたいと投稿する傾向があるが、閲覧者すべてが好意的とはかぎらない。投稿に嫉妬の感情を持った人が陥れてやろうと拡散することもある」と指摘。「一度拡散されればデジタルタトゥーとして残るので、投稿は慎重にする必要がある」と訴えている。(鈴木源也)
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