MicrosoftとMistralが戦略的提携を拡大 欧州でのAIインフラ拡張とモデル展開を加速
米Microsoftと仏Mistralは7月21日(現地時間)、戦略的提携を拡大すると発表した。企業や規制業界が、自社のデータや運用を管理下に置いたまま最先端AIを導入できるようにするのが狙いで、Mistralのモデルを「Microsoft Foundry」「Copilot Studio」「Azure」などのMicrosoftのプラットフォーム全体に展開する。クラウド規模の運用から、外部接続を完全に遮断したオフライン環境まで、幅広い展開方法を選べるようにするとしている。
提携の柱の1つが、欧州でのAIインフラ拡張に向けた数十億ドル規模の新たな契約だ。Mistralは最新の米NVIDIA製GPU「Vera Rubin」を数千基規模で導入してGPU能力を増強し、トレーニングや推論、大規模展開のための共通基盤を提供する。MicrosoftはこのMistralの欧州拠点のGPUインフラを活用し、自社のクラウドやAIサービスの提供を支える。両社はこの提携を、Microsoftが2025年に発表した「European Digital Commitments」を後押しするものと位置付ける。
モデル面では、Mistralの最新モデル「Mistral Medium 3.5」と「OCR 4」がMicrosoft Foundryで、Mistral Medium 3.5がCopilot Studioで、それぞれ利用可能になった。Mistral Medium 3.5はオープンウェイトモデルで、管理されたAzure環境上でAIアプリの構築やカスタマイズ、展開ができる。OCR 4は構造化された文書処理のパイプラインやエージェント型ワークフローに対応する。
展開環境については、AzureとAzure Localを通じて、クラウド、クラウド接続、完全オフラインの各環境でMistralのモデルを利用でき、データ、運用、事業継続性を自社で管理できる。金融サービスや製造、ヘルスケアなど、レジリエンスが求められる規制業界での利用を見込む。両社は共同の市場開拓でも連携し、概念実証(PoC)への資金提供やAzureクレジットの付与、ワークショップの開催を通じて顧客の導入を後押しするとしている。
MicrosoftとMistralの提携は、2024年2月に発表した複数年契約が起点で、当時からMistralのモデルはAzure上で提供されてきた。今回はその拡大に当たる。Mistralは欧州でのAIインフラ増強を進めており、2026年3月にはパリ近郊のデータセンター運営に向けてBpifranceや三菱UFJ銀行などから8億3000万ドルの融資を受け、2027年末までに欧州全体で200メガワット規模の容量構築を目指すと発表していた。同社はかねてVera Rubinの採用を表明しており、今回増強するGPUインフラもこの流れの延長線上にある。
Microsoftのブラッド・スミス副会長兼プレジデントは「欧州は、データや運用、デジタルの将来に対する管理を損なうことなく、世界で最も高性能なAIを利用できるべきだ」とコメントした。Mistralのアルチュール・マンシュCEOは、あらゆる組織がテクノロジーを管理下に置いたまま最先端AIを利用できるようにすることが自社の使命だと述べた。
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