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Webサイトは「止められない社会インフラ」へ Movable Type クラウド版×さくらのクラウド、“国内プラットフォームの信念”を経営陣に聞く

日本のWebサイト構築・運用を支えてきたシックス・アパートと、国産インフラの雄、さくらインターネットが協業を開始した。外資全盛の今、なぜ「国内タッグ」なのか。デジタル主権と安全な情報発信基盤を守る両社の信念と、次世代Webサイトインフラの理想型をキーパーソンが語る。

 CMS「Movable Type」で11年連続No.1を維持し、市場をリードしてきたシックス・アパートが、国産クラウド事業者のさくらインターネットとタッグを組んだ。この協業により、マネージドサービスのCMS「Movable Type クラウド版」で新たに「さくらのクラウドプラン」を2026年6月に開始した。

 協業の背景には「日本企業が安心して利用できるIT環境を、安定して届けたい」という共通の思いがある。国内ベンダーだからこそ実現できる情報発信基盤の理想型とは。シックス・アパート 代表取締役の平田大治氏と、さくらインターネット 上級執行役員の高橋隆行氏(高は「はしごだか」)が思いを語り合った。

※以下、敬称略

ユーザーの強い願いが後押しした「国内タッグ」の誕生

――外資系クラウドが主流になる中、国内の企業や官公庁のIT環境を支えてきた両社が、このタイミングでタッグを組んだ背景を教えてください。

平田: Movable Type クラウド版は13年近く、多くのお客さまにご利用いただいています。ただ、長らく特定のインフラで運用してきたため、長期利用のお客さまから「BCP(事業継続計画)の観点から複数のインフラを選択できるようにしてほしい」とのご要望が増えていました。マネージドサービスを安定して提供するには、APIを介してインフラを自動管理する仕組みが欠かせません。技術検証を重ねて要件をクリアできるめどが立ったのが「さくらのクラウド」でした。そこで、当社からお声掛けしたのがきっかけです。

高橋: Movable Typeといえば、日本のブログ文化の黎明(れいめい)期からCMS市場をリードしてきた実績を持ち、私たちにとっても非常に親しみのあるプロダクトです。お話を頂いたときはうれしかったですね。

平田: 実は技術的な検証以前から、「さくらのクラウドを使いたい」と名指しでご要望を頂くケースが多くありました。最近は「重要なデータを海外に出さず、国内だけで安全に管理できる点」を重視する企業も増えています。データが海外を経由しないMovable Type クラウド版と、さくらのクラウドの組み合わせならその要件をクリアできます。

シックス・アパートの平田大治氏(代表取締役 CEO & CTO)

高橋: まさにそこが、今このタイミングで二社が組む意義ですよね。地政学的なリスクなど外部の環境変化に振り回されず、日本のお客さまに「確かな安全と安心」を主体的にコントロールしてお届けするためにも、シックス・アパートさんの国内開発アプリケーションと当社の国産インフラがタッグを組む――この掛け合わせは、日本のデジタル社会にとって非常に重要だと考えています。

顧客への責任を全うするために行き着いた「内製主義」

――両社がCMSやインフラを提供する上で大切にしていることは何でしょうか。

平田: 私たちが最も重視しているのは、サービスを長期間、安定してお届けすることです。Movable Type クラウド版だけでなく、パッケージ版のMovable Typeも含めれば当社は20年以上にわたり一貫して自社開発して、自分たちで責任を持ってコントロールできる体制を重視してきました。

高橋: その姿勢は、当社のスタンスに深く通じます。まさに「内製主義」ですよね。さくらインターネットも創業以来、自前でシステムを作り育てる姿勢を大切にしています。データセンターの建築こそ外部にお願いしていますが、クラウドサービスやインフラの設計、開発、日々の運用を全て自分たちで担っています。他社システムや海外の既製品を活用することも重要ですが、それがブラックボックス化を招くことがあってはなりません。障害発生時に、自社で対応できなくなりますから。

平田: そうですね。一方で、サイバーセキュリティ事情を考慮するとお客さまが自力でシステム環境を安全に保つのは難しくなっています。だからこそ当社はマネージドサービスとして運用の負担を担うのですが、裏側の物理インフラ領域まで全てを単独でカバーできません。インフラ運用を得意とし、かつ「自分たちが提供するものを主体的にコントロールして責任を持つ」パートナーが不可欠でした。さくらインターネットさんは、まさにその価値観や責任を共有できるパートナーだと考えています。

高橋: 光栄です。私たちはインフラ事業者として妥協のない可用性と品質を追求できます。実際、さくらのクラウドはISMAPをはじめとする厳格なセキュリティ要件や品質基準をクリアしています。これも内製主義を地道に貫いてきた成果だと自負しています。

さくらインターネットの高橋隆行氏(上級執行役員)

日本の商慣習に合致した「料金定額制」「デジタル主権」の安心感

――クラウドサービスは、毎月の従量課金や為替変動による「予算管理の難しさ」が課題になりがちです。さくらのクラウドプランは、現場にどのような安心感を与えますか。

平田: Movable Type クラウド版は、システムの監視やバックアップなどの運用に必要な要素をパッケージ化して固定料金で提供しています。さくらのクラウドプランは転送量に応じた超過料金も発生しないため、予算管理が楽になります。官公庁や大企業は事前の予算確定が重要なので、突発的なアクセス増でも追加費用が発生せず、追加稟議(りんぎ)に忙殺される心配がありません。また、お客さまから「長期利用が確定しているので5年分を前払いしたい」というご要望を頂くこともあります。従量課金や為替変動の影響を受けない料金体系なら、こういったお客さまの声に応えられます。

高橋: 同様のご要望は、当社のインフラにも多数寄せられています。現在は激しい為替変動や燃料費の高騰などの影響で、将来のコスト予測が極めて困難ですよね。中長期の予算をしっかりコントロールしたいお客さまの声に応え、コスト変動の影響を受けにくい料金体系を提供しています。

――最近は「デジタル主権(ソブリンクラウド)」を重視する声も高まっていますね。データを守るという使命についてどうお考えですか。

高橋: やはり「自前で作り続けること」に尽きます。私は、デジタル主権には「データ」「運用」「技術」という3つの側面があると考えています。インフラを国外の環境変化に左右されるサービスのみに依存した場合、利用条件や提供環境の変更などによる影響を受ける可能性があります。インフラ層における「データ」「運用」「技術」をコントロールできることが、デジタル主権を支える重要な要素だと考えています。

平田: インフラ層の主権が守られて初めて、私たちはその上のアプリケーション層でデジタル主権をお客さまに保証できます。当社は、保存データがお客さまに帰属する原則を明確にしています。ソースコードも公開して、不透明な処理がないことをお客さま自身で検証できます。常に透明性を保って、お客さまと長く歩んでいける存在でありたいですね。

AI時代に高まる「一次情報」の価値 止まらない情報発信基盤の重要性

――さくらインターネットの強固なインフラの上で、Movable Type クラウド版は企業にどのような価値を提供しますか。

平田: 先ほど話した通り、最近はWeb技術の進化やセキュリティ要件の高度化によって自前でWebサイトの環境を維持するのは手間がかかります。だからこそ、お客さまが本来の目的であるコンテンツ創出に専念できる環境が必要です。Movable Type クラウド版とさくらのクラウドの組み合わせにより、インフラからアプリケーション保守までの複雑な運用を全てお引き受けできます。お客さまが裏側のシステムを意識せず、安全に情報発信に没頭できる環境が整うのです。

高橋: お客さまからすれば、一気通貫で安心して任せられるのは非常に大きいですよね。

平田: はい。Movable Typeはブログシステムとして誕生し、現在は多様なWebサイトを管理できるプラットフォームへと進化しました。「ブログ記事」という枠組みにとらわれず、製品情報や店舗一覧など扱いたい情報をパーツごとに構造化して自在に定義・管理できる「コンテンツタイプ」機能を利用すれば、複雑な構成のWebサイトも容易に構築・管理できます。

 そして「静的生成」の基本設計により、アプリケーション層と公開用Webサーバを完全に分離可能です。外部からアクセスされる公開サーバにはデータベースやプログラムを置かず、静的ファイルのみを配置するため、動的CMSに比べてシステム(CMS本体)への不正アクセスやハッキングによる乗っ取りリスクを極限まで低く抑えられます。安全かつ低コストに情報発信できる点を評価していただいています。

高橋: 公共性の高い官公庁はもちろん、企業であっても情報発信基盤の停止は許されません。AI時代を迎えてWebサイトの役割も変化しています。今はAIが情報を直接収集して回答を生成する時代ですから、公開されている情報そのものの重要性がはるかに高まっていますよね。

平田: おっしゃる通りです。AIが活用されるほど、企業が責任を持って発信する一次ソースの価値は相対的に高まります。AIに正しい情報を伝えて、多くの方に情報を届けるためには一次情報を自らの手で発信する必要があります。そのような中で、インシデントなどでWebサイトが停止してしまうと、社会に必要な情報を届けられなくなります。Webサイトは今や、止められない重要なインフラに変わったと言えます。

「Made in Japan」の強力なエコシステムを世界へ

――日々の情報発信やインフラ運用に悩む全国のWebサイト運用担当者に向けて、両社が今後どのように連携してユーザーに伴走するのか、メッセージをお願いします。

平田: シックス・アパートはお客さまに長く継続して価値をお届けすることを最も大切にしています。Movable TypeおよびMovable Type クラウド版が進化を止めないためには、それを支えるインフラ環境にも長期にわたる安定稼働が求められます。さくらインターネットさんという心強いパートナーと共に、今後もお客さまの情報発信基盤を支えます。

高橋: 国内拠点のパートナーエコシステムをさらに広げることで、将来的には「Made in Japan」の優れたデジタルサービスを日本から世界へ発信する流れを作れると期待しています。シックス・アパートさんと成長し合えるエコシステムを構築して、国内サービスの価値をさらに高める。そんな未来を目指して今後も連携を強化したいですね。

※富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場」2016年版〜2026年版(2015年〜2025年度実績)、2025年度商用パッケージ型CMSの国内導入シェア(数量ベース)より

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シックス・アパート株式会社

アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2026年9月25日

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