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翻訳も議事録も視界の中で完結

普通の眼鏡と見分けがつかないAIグラスで感じた「便利さの正体」

ポケットからスマホを取り出し、通知を確かめて戻す動作を、視線を少し上げるだけで代替できるデバイスが登場した。RayNeoが2026年9月4日に予約販売を開始したAIグラス「RayNeo iO Smart Glasses」だ。普段使いにこだわった最新AIグラスは、日々の仕事や生活をどう変えてくれるかを検証した。

 RayNeo iO Smart Glasses(以下、iO)の見た目は普通の眼鏡とほとんど変わらない。それでいて、スマホに届く通知の確認からリアルタイム翻訳、会議の記録・要約、タスク管理まで、視界の中で完結できる。あえてカメラを搭載せず、テキストの情報表示に割り切った設計が特徴だ。

 この最新AIグラスを数日間使って、日常と仕事の場面でどこまで頼れるかを検証した。

RayNeo iO Smart Glasses。普通の眼鏡と見分けがつかない、自然なデザインのAIグラスだ

 RayNeoは2021年10月に中国・深センで設立された、AI・ARグラスの専業メーカーだ。目の前に仮想の大画面を映して映画やゲームを楽しむ「RayNeo Air」シリーズや、視界にフルカラーの映像を重ねる本格的なARグラス「RayNeo X3 Pro」(米TIME誌「The Best Inventions of 2025」に選出)などを手掛けてきた。

 iOはこれらの製品と狙いが異なる。表示をモノクロの文字情報に絞ることで、普通の眼鏡と変わらない軽さと、終日かけ続けられる自然さを優先している。

かけていることを忘れる33グラムの軽さ

 フレームは細身のクラシックな形状だ。表示の仕組みはレンズ内に組み込まれているが、外観上は目立たずガジェット感がない。カラーはグレー系の「Polar Night」とゴールド系の「Dune」の2色で、今回はPolar Nightを試した。

カラーは2種類。左が今回試したPolar Night、右がDune(提供:RayNeo)
iO本体とともに届く、ケースや充電ケーブル、クロスなど付属品一式

 重さは33グラムで、前後の重量バランスを50:50に調整されている。1日かけ続けても鼻や耳への負担がなく、普通の眼鏡と同じ感覚で装着していられた。この軽さがあるからこそ、これから紹介する記録や提案の機能が1日を通して機能し続ける。

 価格は89000円。レンズは度付きレンズにも交換できる。公式サイトまたはAmazon公式ストアで購入する際に、公式のレンズ作成サービスを利用すればいい。申し込みから完成まで約15~20日ほどで、度付きのiOが届く。

 右テンプルの付け根には、腕時計のリューズを思わせる物理ダイヤル「Smart Crown」を備える。回して項目を選び、押し込んで決定する操作は直感的で、音声を使いにくい場面でも指先だけで完結する。

右テンプルの付け根に備わる物理ダイヤル「Smart Crown」。回して選び、押し込んで決定する

 スマホとはBluetoothで接続し、iOSとAndroidに対応している。クラウン上部のボタンを押すと表示が起動して、ホーム画面には時計とタスクが並ぶ。ボタンを押すたびに機能が切り替わる仕組みで、迷うところがない。

 簡単な操作なら、うなずいたり首を横に振ったりするだけで実行できる頭部ジェスチャー操作機能もある。会話に違和感がないレベルの動きで、AIグラスの機能を引き出せた。

目線の少し上に浮かぶ緑色の文字

 表示は両眼式で、緑色単色の文字を片方のレンズに映す。小型の投影ユニット(MicroLED光学エンジン)が出した光を、厚さ0.6ミリの透明な導波路が目まで導く。解像度は540×220ピクセル、視野角は23.5度、明るさは最大1300ニトで、屋外での視認性も高い。

 文字は約30センチ先に浮かんでいるように見える。表示位置は目線のやや上で、前を向いている間は視界を遮らず、視線を上げたときだけ情報が目に入る。表示の距離や高さは、好みに合わせて調整可能だ。

 画面が消えた状態で顔を上げると、時計や天気、予定をまとめたダッシュボードがふっと浮かび上がる。起動する角度は調整できるので、普段の姿勢で誤って点灯する心配もない。表示を止めるフォーカスモードも用意されており、車の運転など場面に応じた切り替えも容易だ。

屋内外の文字表示を比べてみた。写真以上に文字がクリアに見え、屋内外での見え方に大きな違いは感じなかった

通知の確認でスマホを出す回数が減る

 検証中に最も便利だと感じたのは通知の確認だ。LINEやメールなど、スマホに届いた通知が視界に流れるので、その場で内容を確かめて、返信が必要なときだけスマホを取り出せばいい。

グラスに表示する通知はアプリごとに選べる(アプリの設定画面)

 ポケットからスマホを出してロックを解除する動作は、1回なら数秒でも、1日では相当な時間になる。作業や会話を中断せずに用件を確認できるのは眼鏡型ならではの利点だ。

音声アシスタントで予定管理もスムーズに

 iOの目玉といえるのがAI機能だ。音声アシスタントは「Hey RayNeo」との呼びかけで起動して、天気のようなリアルタイム情報の回答や、「牛乳を買う」といったタスク追加に日本語で対応する。

 会話AIは標準のRayNeo V1とGemini 3.1 Flash Liteに加え、月額9.99ドルの有料プランでClaude Sonnet 5、ChatGPT 5.5、DeepSeek V4 Proなどに切り替えられる。使い慣れたAIを、眼鏡越しに呼び出せるわけだ。

 記憶の手間を大きく減らせるのが、記録と提案の機能だ。アプリは利用記録から装着者の好みや活動を学習して、関連するタスクやイベントを提案する。その中核を担うのがLife Logで、オンにすると装着中の会話を記録して1日の要約を生成する。

 検証中には、電話で伝えた予約日時をカレンダーに登録する候補として提案した他、「登山用品を買いに行こう」という雑談から買い物タスクを抜き出した。聞き取りは正確で、日常の発話から予定や用事を適切に拾う。

 提示された候補から必要なものだけをカレンダーやタスクに取り込めばいい。1日の要約は出来事の流れをよく再現していて、読み返せばその日にどこで何を話したかを短時間で思い出せる。日記が自動で出来上がる感覚だ。

Life Logが生成したサマリー。時刻ごとのハイライトで一日を振り返れる

視界に字幕が浮かぶ55言語のリアルタイム翻訳

 聞こえる音声の訳文をライブ字幕で表示させる機能も便利だった。スマホの翻訳アプリと違って画面をのぞき込む必要がなく、目を離さずに会話を続けられる。対応言語も55言語と豊富だ。

 集音は4つのマイクと、骨の振動から声を捉える骨伝導マイクが受け持って、騒がしい場所でも装着者や対話相手の声を聞き分ける設計だ。

 英語の動画で試すと、最初の訳文が出るまでに要した時間は約10秒。その後も10秒ほどの間隔で更新される。同時通訳のテンポではないものの、字幕を追えば大筋は理解できる。会話はもちろん、スピーチや会議の大意をつかむといった話の流れを見失わないための道具としても十分に機能する。

 翻訳は双方向に対応しており、自分が話した日本語は設定した言語に訳されてスマホのアプリ画面に表示されるので、画面を相手に見せればいい。翻訳の記録は音声とともに保存されて、後から会話を振り返れる。

 同じように会話を聞き取って動作するのが、Live Cuesだ。会話中に「スイカはどうやって切るのがいいか」と口にすると、切り方の説明が視界に浮かぶ。調べ物のためにスマホを開かなくても、会話を続けながら答えを確認できる。

プレゼン原稿が目の前をスクロール

 テレプロンプターは、アプリに登録した原稿を自動スクロールで5行ずつ表示する機能だ。試すと、残り2行になると新しい行が追加されて、話す速度を上げればスクロール速度も上がった。手元のメモに目を落とさず、前を向いたまま話し続けられるので、登壇や動画撮影の機会がある人は試してほしい。

 会議では音声メモが役立つ。テンプルのボタンを押すだけで録音が始まって、アプリで文字起こしと要約ができる。3時間を超える録音もファイルで残せたので、長丁場の会議も任せられそうだ。

打ち合わせで筆者も利用してみた。目線を変えずに会話を進められるためテンポ良く話が進んだ

録音しっぱなしで半日動いたバッテリー

 バッテリー容量は240mAhで、公称の駆動時間は通常使用で約48時間、録音しながらの連続記録使用で約18時間だ。検証でもLife Logの録音を続けたまま12時間近く使ったが、バッテリー切れにならずに使えた。眼鏡は充電のたびに外すことになるだけに、バッテリー持ちの良さは頼もしい。

 充電方法は2通り。付属の充電クリップ(USB Type-C)をブリッジ部分に取り付ける方法と、別売りの「RayNeo iO専用充電ケース」を使う方法だ。ケースは大容量バッテリーを内蔵し、グラスを収めるだけで充電できる。

充電はブリッジ部分に取り付けるクリップ式。USB Type-Cケーブルで給電する
別売りの充電ケースならグラスを収めるだけで充電が始まる。2000mAhの大容量バッテリーで最大5回もフル充電にできる

 防じん・防水性能はIP54に対応しており、日常の雨や汗を気にせず使える。マイク使用中は物理LEDが点灯して周囲に知らせるなど、常時装着するデバイスとして、プライバシーへの配慮も設計に組み込まれていた。

スマホをほとんど取り出さない生活へ

 iOの持ち味は、かけて過ごすだけで会話や予定が整理される受け身の体験にある。通知の確認でスマホを取り出すことも、会議でメモを取り続けることも、用事を忘れないよう気を張ることも、眼鏡が少しずつ肩代わりする。iOの便利さの正体は、この積み重ねだ。

 自分がしたいことを眼鏡が先回りしてくれる心地よさは、まさに「Your next glasses think ahead」というiOのスローガンの通りだ。2026年9月4日に予約販売が始まったばかり。会議の記録や翻訳を日常的に行う人に限らず、AIというパートナーを必要とする多くの人にとって頼もしいパートナーになるだろう。

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RayVision AR Limited

アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2026年10月3日