知っていますか? 非常持ち出し袋の電池のこと

地震や水害などの大きな災害に備え、家庭用として普及しつつある防災グッズ・非常持ち出し袋。これに必ず入っているのが懐中電灯とラジオだが、そこで使われる電池のことを考えたことはあるだろうか。「いざというときその電池は使えますか?」

» 2007年01月09日 00時00分 公開
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 1995年1月に発生した阪神・淡路大震災や2004年10月の新潟県中越地震といった大地震の教訓、また最近は数年に1度は繰り返される台風や大雨による水害などの影響か、突然の災害に備えようという意識が高まってきているようだ。災害の際に必要なものをまとめた家庭向けの「非常持ち出し袋」などの防災グッズも、いろいろな製品が販売されており、徐々に普及しつつある。

一般的な防災キットのイメージ 市販されている防災関連製品を集めて一般的な防災キットを再現した。中央奥はLED式のランタン。単1形乾電池を使用するものだが、単3形乾電池をを単1形乾電池に変換する「スペーサー」(中央手前の水色の製品)を使えば、入手しやすい単3形乾電池が利用できる。右手奥のラジオは乾電池のほか、ハンドルを手で回すことでも動作する。実際に被災したとしたら乾電池が切れたときの補助的なものと考えるべきだろう。最近のラジオは単4形乾電池を使うものが増えているので、単4形乾電池も用意したい

非常持ち出し袋は56時間分を目安に

 阪神・淡路大震災で自宅が全壊しながらも被災地に必要な情報を伝えるローカルFMラジオ局「fmラルース」を立ち上げた経験を持つ近兼拓史氏は「防災キットは手元には56時間持つだけの最小限のものを置いておき、親戚など20km以上離れた場所にもっとしっかりした備蓄をしておくのが理想」と話す。「阪神・淡路大震災クラス(マグニチュード7.2の直下型、最大震度7)であっても、壊滅的被害はおよそ半径10kmの範囲だから、被災した中心部から徒歩で脱出するのにかかる2日間、これに8時間の余裕を加えて56時間分」というのが理由だ。被災地から脱出しない場合でも、日本国内での都市災害ならおよそ2日間あれば周囲からの支援・救助を期待できるという。

阪神・淡路大震災後の街の様子 1995年1月17日5時46分に発生した阪神・淡路大震災後の街の様子。最大震度7の大きな揺れを記録し6400人以上もの人々が犠牲となった

 また、ラジオはFMを受信できることが重要だという。これは、AM局は放送エリアが広すぎるため送信される情報も広範囲向けのものとなってしまうため。その点「ローカルFM局は都市部の屋内なら半径2〜3km、戸外で受信するなら半径10km程度が放送エリアとなるため、実際に被災した人たちが必要なきめの細かい情報が得られる」(近兼氏)というわけだ。

近兼拓史氏

 神戸市出身。阪神淡路大震災で自身の自宅が全壊するも、被災地の防災ラジオ局「fmラルース」の社長として街の復興に私財を投じて尽力。以後自身の経験を生かし国内外の災害取材や支援活動を続け、国内外で都市災害・危機管理マニュアル制作の第一人者として高い評価を受けている。

 局社長勇退後、都市災害でのサバイバル術、子供のための防災テクニック、地域のための防災ネットワーク等をテレビ、ラジオ、雑誌等各メディアに提供中。

 精力的に国内外各地での指導講演も行っている。


78.3MHzで放送したfmラルース 近兼拓史氏が阪神・淡路大震災後に西宮市で立ち上げ、被災者のための情報を流し続けた「fmラルース」

 検索サービスで「非常持ち出し袋」や「防災キット」「防災セット」などと入力して検索すると、実に多くの製品があることがわかる。そうした非常持ち出し袋/防災キットの中に、飲料水や保存食、救急セットとともに必ず入っている電気製品が、懐中電灯とラジオだ。ラジオはFMが受信可能であることを確認しておこう。

 それから最近では携帯電話キャリア各社が安否確認や伝言板などの災害時情報サービスを提供しているため、携帯電話を使えるようにしておくことも重要。携帯電話の電池はそう長くは持たないので、乾電池を使った携帯電話の充電器も防災キットに加えておきたい。

乾電池の「使用推奨期限」をチェックしよう

 さて、市販されている非常持ち出し袋/防災キットにもほとんどの場合、乾電池が同梱されている。その乾電池には「使用推奨期限」というものがあるのをご存じだろうか。

 乾電池の使用推奨期限とは、簡単に言うと「その期限までに使い始めれば、問題なくその乾電池の性能を発揮できる」ことを示すもの。もう少し詳しく説明すると、その期限まで保管しても、JIS規格によって定められている一定の性能を発揮できるというものだ。

 マクセルの高性能アルカリ乾電池「ダイナミック」シリーズは、2004年、保存性能を高める独自技術によってそれまで2年だった使用推奨期限を、業界で初めて倍の4年に伸ばした。さらに2005年にはもう1年延長して5年間とし、アルカリ乾電池の高性能を長期間保持できる製品として業界をリードしている。

 一般に市販されている乾電池にはマンガン乾電池とアルカリ乾電池、それに最近登場したニッケル系乾電池がある。ただし、JIS規格で性能が定められているのはマンガン乾電池とアルカリ乾電池だけで、マンガン乾電池よりもアルカリ乾電池のほうが基準となる性能が高い上、マンガン乾電池の使用推奨期限はいまのところ2年だ。

 ニッケル系乾電池はJIS規格で基準となる性能が定められていないので、JIS規格上の使用推奨期限がない。基本的に消費電力が大きな製品向けのハイパワーを狙った乾電池のため、長期保存した後でラジオなどの低消費電力製品に使用するのはコスト面からも見合わない。ニッケル系乾電池は1本あたりの電圧も高いので使用する機器を選んでしまうという弱点もある。

「ダイナミック」シリーズ マクセルのアルカリ乾電池「ダイナミック」シリーズは使用推奨期限5年を誇る。仕様推奨期限は乾電池のマイナス端子近くに「07-2011」といった形で明記されている。なお、乾電池を保存するときには高温多湿を避け、使うまではプラスチックフィルムに包まれたパッケージ(左)のままというのが基本だ。冷蔵庫での保管は取り出したときに結露する恐れがあるので勧められない。機器に入れたまま保管すると、スイッチを切っていても微弱電流が流れ、過放電して液漏れに至ることになるので厳禁だ

 非常持ち出し袋/防災キットに入っている飲料水や保存食の賞味期限は5年程度のものが多いが、マクセルのアルカリ乾電池「ダイナミック」シリーズなら、きちんと保管していれば飲料水や保存食と同じタイミングで買い換えていけば大丈夫で、さまざま機器に使えるというわけだ。非常持ち出し袋/防災キットの乾電池の使用推奨期限をチェックして、期限が近いようであれば買い換えておこう。また、たいていのセットでは懐中電灯やラジオが使用する数だけの乾電池しか入っていないことが多いが、携帯電話充電器用も含めて乾電池は多めに用意しておきたい。

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提供:日立マクセル株式会社
制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2007年1月22日