IT求人市場はリーマンショック以降最高に IT多様化の時代、「エンジニアの生きる道」は

景気動向は不透明な状況だが、IT業界ではエンジニアの採用マーケットが活況を呈している。エンジニアにとってチャンスだが、「エンジニアの生きる道」の多様化もあり、自分のキャリアをよく見つめる必要もある──キャリアコンサルタントから見える「エンジニアの今」とは?

» 2012年11月22日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
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 大手企業が計上する巨額の赤字が話題になるなど、IT業界は景気が良くない──そんなイメージだが、景況感のバロメータの1つ、人材採用動向からは別の姿が浮かび上がってくる。2012年度の上半期、エンジニアの採用マーケットは活況を呈し、職種によってはリーマンショック以前を上回る求人状況という。

 求人数の拡大はエンジニアにとってはチャンス。だが、以前の大量採用時代とは少し異なる状況もあるという。人材マーケットの最前線で転職活動をサポートしているキャリアコンサルタントへの取材から、エンジニア採用の動向を探ってみよう。

リーマンショック以降では最高に

photo 「DODA」のキャリアコンサルタント、田中彼方さん

 「IT業界では、上半期の採用ニーズはリーマンショック以降で最高水準でした」──転職支援サービス「DODA」のキャリアコンサルタント、田中彼方さんはそう話す。

 注目は、コンサルティングファームやシステムインテグレーター(SIer)のエンジニア採用熱が高まったこと。国内企業がアジア進出を本格化させ、グローバルシステムの構築・運営に乗り出すケース、あるいは自社のサービスドメインを広げるケースなど、企業により理由はさまざま。リーマンショック以降、景気も一定の回復をみた一方、今後は不透明な予測が出ている状況。こうした時期だからこそ、ここで改めて事業戦略、組織強化を見直したいという事業会社のニーズは強く、これに対応できる人材強化に追われているという。

 また、クラウドやスマートデバイスなど、新たなトレンドを活用したビジネススキームの構築といったニーズが増加。従来のコンサルタントの知識ではカバーできない業務に対応するため、「業務領域のエンジニアだけでなく、インフラ系の基盤コンサルタントなども採用を強化している」という。上半期には1社がインフラ系だけで100人以上を採用したケースもあったそうだ。大手SIerも通信関連の開発や、企業のプライベートクラウド対応などで採用に乗り出すケースも。親会社が経営不振に陥っている大手メーカーであっても、そのIT子会社は好調な場合があり、こうしたところが求人を出している場合もあるという。

photo アプリ系は一部を除き、リーマンショック前の水準を回復しつつある

 ソーシャルゲームなどに代表されるWebアプリ企業も引き続き求人数は堅調。ソーシャル系各社の採用意欲は高いが、各社のビジネス展開によって週単位で動きが変わるというスピードの速い業界ならではの事情もあるという。求められるスキルレベルも高くなってきているようだ。

 デザイナーやグラフィックデザイナー、プロデューサーなどの「クリエイティブ」職の求人はリーマンショックの影響をあまり受けておらず、求人案件はリーマン当時を大きく上回る状況という。実際にソーシャルゲームを運営したことがあるプロデューサーなどはニーズが高そうだ。

photophoto インフラ系(左)はサーバ/セキュリティ/DBエンジニアでリーマンショック以前を大きく上回る状況。クリエイティブ系(右)では、スマートフォンの急速な普及に伴いWeb関連求人が増加。特にWebデザイナーは各社とも人員が足りておらず、採用意欲は旺盛という

上期から下期へ

 活況を呈した12年度上期。では下期の見通しはどうか。

 「求人数全体で見ると伸びてはいるが、少しずつ陰りが見えてきている状況です」という。世界的な景気減速の懸念はぬぐえず、積極的な投資に向かうポジティブな材料も特に見当たらない状況で、採用意欲にも若干ブレーキがかかりつつあるのが現状のようだ。

 一方で「現場の逼迫感は解消されていない」という状況もある。「企業側は採用したい意志はあるものの、これに応えられる人材も足りていない。採用基準は落とさない点で、2006年ごろの大量採用とは違うという印象です」という。

 逆に言えば優れた人材であれば自分を売り込めるチャンスでもある。募集案件がまだまだ堅調なこの下期、新しいキャリアを考えるにはいいタイミングになっているようだ。

漠然とした不安の時代に──“羅針盤”の活用を

 「将来に対する漠然とした不安。リーマンショックの時は明確な不安があったが、今は漠然としている。IT業界はどうなるんだろう、でも会社はダメというわけではないし」──。

 日々多くの相談者と接するキャリアコンサルタントは、エンジニアの悩みの変化を感じているという。以前なら、いわば“エンジニアすごろく”のようなものがあり、事業会社の情シス部門や大手SIerに滑り込んだり、社内で順当に役職をアップしていき“上がり”を目指すのが順当なエンジニア人生でもあった。だが「どんなキャリアが正しいのか分からないような状況がある」と田中さんは見る。

 「IT」と呼ばれてきたものの多様化も背景にありそうだ。「SIerでシステム開発を担当しているが、自らもソーシャルメディアに触れるうち、こうしたソーシャル事業を手がけるB2C企業で自分を試してみたい」「大手企業の社内SEで待遇には満足しているが、このまま社内にいて技術力の向上につながるのか」。エンジニアがチャレンジできる領域はITの可能性の分だけ広がる一方、その悩みもまた深まっていく。

 大手企業を飛び出し、ベンチャー系ネット企業に転職するといった結果も出てきているという。「昔ほどSIerやコンサルファームに集中しない」という状況も、こうした事情が背景にありそうだ。

こんなケースも

  • 大手メーカーの社内SE・30代。ASP事業を展開する小規模企業に転職した。事業の優位性を感じ、そこで技術を身につけたいと考えたため。
  • 大手金融で基盤エンジニア・30代。金融系IT企業とB2C向けネットサービス企業から内定を獲得。迷ったがネットサービス企業を選んだ。技術が好きなので「システムへの投資がすごい」ところにやりがいを感じているという。

 「自分で判断して自分で進んでいける人はいいが、『なんとなく大手に入り、そこでキャリアを重ねていければ』という人は壁にぶつかっている時期かもしれない」(田中さん)。では自分にとって何が正しいのか。エンジニア個人がその答えを自ら見つけ、行動していくのは容易ではない。「業界の現状がどうなっているのだろうかとか、外部環境を自分なりに定義できないと、その人の“解”を個人が出していくのは難しいのではないでしょうか」。

 「マーケットや業界構造をちゃんと考えた上での転職は、やはりいいケースになっている場合が多い」。キャリアコンサルタントとしての経験上、そんな実感があるという。ただ、ITトレンドや業界の動き、人材マーケットの傾向など、検討すべきテーマは多く、しかもネットを検索すれば簡単に見つかる情報というわけでもない。

事例1:35歳、大手Sierインフラエンジニア

会社統合があり、転籍先での裁量を持たせてもらえず、このままこの会社にいるのは不安──と転職を検討。活動をスタートするが、マネジメント経験不足や転職理由の納得感のなさを理由にNGが続く。

結果を踏まえ、自分の強みの整理や今後身に付けたいスキル、市場価値をキャリアコンサルタントに相談する中で、現在の市場ニーズの中でコスト管理能力や投資対効果を考えたシステム構築力が不足している事に気づき、現職でその道筋を探る事の方がキャリアアップにつながると判断。転職活動をきっかけに、自分の市場での評価・価値に気づくことができた。


事例2:30歳、中小小売企業の社内SE

転職概要:30歳を迎え、会社組織の状況から将来性に対して不安を感じ転職を検討。「より大手の会社に入社すれば将来も安泰なのでは?」と考えて活動するも、企業側の求める要素とのギャップが大きく、NGが続く。

転職活動を進める中で「大きな会社に身を置けば将来安泰なのではなくて、どんな状態に置かれても転職ができるような力をつけることの方が大事」と気づき、大手ITアウトソーシング企業への転職が決まる。

「自分自身が顧客に対しての価値を提供できなければこの先生き残れない」と感じたことから、持前のコミュニケーションスキルを活用してプロジェクトで活躍。入社最初のPJTで社長賞を受賞。転職先でも、強い発言力で組織をけん引できる人材に成長した。


 「いい転職をする人は、キャリアコンサルタントが持つ情報もうまく使う」という。「どんな方向性が正しいのか、個人も企業も分からなくなってきている世界で、キャリアをドライブしていく羅針盤のようなものとしてキャリアコンサルタントを使っていただければ」(田中さん)。

 上期に続き、下期もエンジニアの求人は堅調に推移しそうだが、その分「深く考えずにライトに転職すると失敗するケースが多い。求人が多い時期はそういうことをしやすい時期でもある」という。

 来春入社の採用もそろそろ活発化してくる。「しっかりキャリアと向き合い、自分なりの答えを出すにはいい時期だと思います」と田中さんは話している。

キャリアを見つめる最初の一歩に

「このままでいいのだろうか」。ネットだけでは得られない、豊富な情報と経験を持つプロの支援・相談を受けられる「DODA転職支援サービス」は、エンジニアが自らキャリアを選ぶための強力な味方になる。納得のいくキャリアとは? 自分のスキル、武器は? そんなもやもやとした疑問も、「転職のプロ」と話すことで道筋が見えてくるかもしれない。一般に公開されていない非公開の求人情報を入手できるのも、こうしたサービスのメリットだ。

 「DODA転職支援サービス」には無料で登録できる。キャリアを考える最初の一歩を、まずは気軽に登録して、“転職のプロ”に相談することから始めてみてはいかがだろうか。

DODA転職支援サービス

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田中 彼方(DODAエンジニア担当 キャリアカウンセラー)

得意分野/実績

アプリ、ネットワーク、サーバ、データベースなどミドルウェアまでのIT基盤に関わる技術職種を担当。

企業規模の大小を問わず、転職支援の実績を持つ。


上記キャリアコンサルタントの指名をご希望の方はこちらからご登録ください。

※ご経験や日程によっては、別のキャリアコンサルタントをご紹介させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。


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提供:株式会社インテリジェンス
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2012年12月21日

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