世界で1.5億人以上利用しているオンライン決済のグローバルスタンダード「ペイパル」。支持されるには理由があった──使い勝手のいい決済サービスとして日本でも普及が始まっているペイパルの魅力をチェックしていこう。
世界1億5700万以上のユーザーを抱え、オンライン決済のグローバルスタンダードとなっている「PayPal」(ペイパル)。日本でも普及が始まっているペイパルが世界で支持される理由はどこにあるのだろうか。改めて決済手段としての魅力や活用法、今後期待される国内での展開について、ペイパル 東京支店 コミュニケーションズ 杉江知彦部長に聞いた。
シリコンバレーの一角、カリフォルニア州サンノゼに米PayPalがスタートアップとして誕生したのは15年前の2000年のこと。その当時、まだ黎明期にあったネットビジネスはカード会社や銀行から信頼を得られず、「カード支払いを受ける」ことができなかった。ネットビジネスにとっては致命的な事態に救いの手を差し伸べたのがペイパルだ。同社がカード会社や銀行の間に入り、安全な決済システムを提供することで、どんな小さいビジネスでもネットで支払いを受けられるようにする。ビジネスの根幹とも言える「支払いを受ける」を可能にし、多くのビジネスを成功に導いてきたペイパルだが、今も変わらないのが「中小企業やスタートアップの成功を支援する」というビジョンだ。
ペイパルは、世界最大のオークションサイト「eBay」をはじめ、海外のECサイトやWebサービスではほとんど利用できるが、逆に日本では「海外サイトで使われているもの」というイメージがあるのも事実。国内ユーザーは100万人超と少なくはない数字だが、ペイパルが広がることで可能になるビジネスの潜在市場は大きい。改めて、ペイパルならではの魅力についておさらいしよう。
最大の特長は、クレジットカードをそのまま使うより、便利で安全な決済ができること。Webサイトからメールアドレスとパスワードを入力すればだれでも簡単にアカウントが作成できる。ショッピングの際には店ごとに住所や氏名などの個人情報、カード番号などを入力する必要はなく、既存IDでログインすれば1クリックでスピーディーに買い物を楽しめる。支払いの際に会員登録する必要もなく、不要なダイレクトメールやキャンペーンメールに悩まされる心配もなくなる。
続いて、高い安全性。世界中で発生している個人情報流出事故の多くはECサイト経由からと言われているが、ペイパル決済の場合はペイパルが間に入ってカード会社と処理を行うので、大切なカード情報をお店と共有することなく、サービスを受けられる。
安全で円滑な決済を支える技術にも、15年のノウハウが詰まっている。1日900万件にものぼるすべての取引を24時間365日監視し、独自のアルゴリズムで不正が疑われるものを抽出。極めて怪しいものは2000人体制の監視チームが1つずつ目視でチェックし、場合に応じてアカウントの一時凍結やユーザーへの確認などを行う。安心してサービスを利用できるバックアップ体制を世界規模で持つのが心強い。
「支払ったのに商品が届かなかった」「商品説明と内容が異なっている」といった買い手が受ける不正利用だけでなく、「発送したはずなのに商品が届いてないと連絡を受けた」など売り手が受ける不正利用まで全額補償する保護制度を設けているのも、安全性への自信の表れだ。
サービスやストアを運営するビジネス側にとっては、初期費用と固定費がないのも人気の秘密。支払いを受けるためにサイトに組み込むAPIやSDKは全て無料、ビジネス向けアカウント作成も無料で、年会費や月額費、複雑な料金プラン、最低利用金額などもない。利用に必要な料金は前月の売り上げに応じて1件あたり2.9〜3.6%+40円の決済手数料のみとなっており、これも一般的なカード決済の4〜10%と比較して割安かつ明快だ。支払いまでの期間も短く、決済から最短3日で銀行口座に入金される。
取り扱い商品の中心価格帯が2357円以下の場合は手数料が一律5%+7円になる「マイクロペイメント」コースも用意。デジタルコンテンツの販売者やクリエイター向けには、通常/少額用の双方の手数料を比較して、よりお得な方を適用するコース「PayPal for Digital Goods」も提供している。
杉江部長は「ユーザーの利便性を常に第1に考えられるのは、15年に渡り蓄積してきた決済ノウハウと不正監視や安全性確保の高い技術、そしてスタートアップや小規模ビジネスを支援したいという創業時から変わらない思想があるから」と話す。
ペイパルはいわゆる物販のEC販売用、といったイメージが強いが、アプリに決済を組み込む「mobile SDK」やEメールだけでオンライン決済を済ませる「請求書ツール」などもツールとして利用できる。
前者はアプリベースでビジネスを展開しているスタートアップなどには極めて需要が高く、例えばUberはこの「mobile SDK」を使い、ペイパル決済、カード決済、そして繰り返しのパスワード入力の手間を省いたワンタッチ決済を実現している。Eメールだけでオンライン決済できる「請求書ツール」は、銀行振り込みにしか対応していない多くの中小企業が、カード決済を受け付けるために利用している。相手のメールアドレスさえわかれば、ログイン後のペイパルサイトで簡単に請求書を作成し、送ることができる。受け取った側は記載されたURLをクリックし、ペイパルアカウントかカードで支払いする。
「習い事や家庭教師、小さな貸別荘や民宿 、意外なところでは海外へサンプルを送る町工場などでも使われている。海外とのやりとりは、銀行口座でやると手続きが煩雑な上、基本的な手数料も高いが、ペイパルを通せばお互いにストレスなく完了。決済した瞬間にリアルタイムに自分のアカウントに着金を確認できるのも安心感が高いと好評だ。現金化したければ登録した銀行口座へ最短3日、長くても6日で出金が可能なため、手元にお金が入るのが速いのも喜ばれているポイント」(杉江部長)
「財布はいらない、カードすらいらない、ペイパルを誰もが当たり前に使うデジタルウォレットに」――2020年の東京オリンピックを控え、世界中の人が使える決済手段として、需要や引き合いが高まっているのを感じるという。スマホやタブレットに挿して使えるモバイルカード決済リーダー「PayPal Here」なども展開し、リアルな小売店で導入することにも積極的に取り組む。米国ではすでに190万カ所のリアル店舗がペイパルIDによる決済に対応しているという。
現在日本のペイパルでは、アカウントにクレジットカード、デビットカード、一部のプリペイドカードしか登録できないが、今年末をめどに銀行口座をカードの代わりに資金源として使えるようになるとのこと。カードを持てない人、使わない人もペイパルを利用してネット決済が可能になるので、スマホを使った割り勘など、個人間のお金のやりとりもも活発化しそうだ。すでにクリエイターやフリーソフト開発者への“投げ銭”やファンディングにも対応しており、個人サイトにペイパルボタンを備えるのも今後ポピュラーになるかもしれない。
「これだけしっかりした物流体制があり、4G環境も整っており、EC需要も高い日本ではもっと便利にペイパルを使ってもらえるシーンやチャンスはまだまだあると確信している。今は既存の巨大ECサイトに一極集中しているが、例えばすべてのサイトにペイパルが導入された場合、第3の選択肢として消費者に多くの店から選ぶ自由を提供できる。巨大ECサイトに囚われることなく、ユーザーが自由にショッピングできれば、成熟したと言われる日本のECマーケットはさらに活性化するはず。中小企業やスタートアップが大企業と競争できるよう支援していきたい」(杉江部長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:PayPal Pte. Ltd.東京支店
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2015年1月28日